アナログディレイに期待するのは、まず温かく減衰していくリピートの質感でしょう。DOD DRAGはその土台をフルアナログのBBD回路で作ったうえで、フットスイッチを踏み込んだ瞬間にディレイ音の時間軸そのものを引き伸ばしたり、急停止させたりできる仕掛けを載せています。かけっぱなしの空間系ではなく、演奏の途中で能動的に操作するディレイです。
DOD DRAGの主な機能
アナログBBD回路が生む、温かいリピート
ディレイ音を作っているのはフルアナログのBBD回路です。ディレイタイムは最大750ms、後述するRubberneckモードを使えば1.5秒まで伸びます。ロカビリー的なタイトなスラップバックから、リピートを重ねて漂わせるサイケデリックな残響まで守備範囲は広く、フィードバックを上げ切れば発振領域まで持ち込めます。
音色を決めるのはTIME、FEEDBACK、LEVEL、FILTERの4つ。FILTERはローパスフィルターのカットオフを動かすコントロールで、右に回せば輪郭の残る明るいリピート、左に回せば奥へ沈んでいく暗いリピートになります。原音との混ざり具合はLEVELで調整でき、うっすらとした空気感から飽和したエコーまで幅を持たせられます。
Friction:フットスイッチで時間軸を操作する
DRAGの核になるのがFrictionです。BBDのクロックを制御することでディレイタイムそのものを動かす機能で、フットスイッチを踏み込んで長押しすると発動します。カテゴリーは3種類あり、CURVEスイッチで切り替えます。
- SlideStop:ピッチを下げながらディレイ音にブレーキをかける、テープストップ系の効果。Shallowは1オクターブ下、Deepは2オクターブ下まで沈み込みます。
- Rubberneck:1オクターブ下、または1オクターブ上へのピッチベンド。上位機Rubberneck譲りの機能で、このモードのときだけディレイタイムが1.5秒まで拡張されます。
- Evade:加速側の効果。HopStopは長押しから足を離した瞬間に加速し、Slide-n-Goはスライドしたあと自動的に元の速度へ戻ります。
FRICTIONノブが決めるのは、この変化がかかり始める速さと元に戻る速さです。じわりと沈み込ませることも、一瞬で急停止させることもでき、同じモードでも印象がまるく変わります。フットスイッチを踏んでいる長さで表情が決まるので、フレーズの終わり際に軽く効かせる、といった細かい使い方も成立します。
Drift:4つの波形で加える揺らぎ
Driftはディレイ音にモジュレーションを加えるセクションです。波形はSine、Reverse Saw、Square、Randomの4種類。CURVEスイッチを短く押すたびに切り替わり、いま選ばれている波形はLEDの色で判別できます。
DRIFTノブでは揺れの速さと深さをlight、medium、heavyの3段階から選択。lightならテープの経年変化のような穏やかな揺れ、heavyまで上げるとリピートの輪郭が崩れるほど大きく動きます。Randomを選んで深めにかければ、同じフレーズでも返ってくる音が毎回違う、予測のつかない響きになります。
ボードに組み込みやすい設計
バイパスは3モードから選べます。信号経路から完全に切り離すトゥルーバイパス(テイルなし)、オフにしてもディレイ音が自然に消えていくバッファードバイパス、そこからドライ音をカットしてディレイ音だけを残すモードの3つ。アンビエントな使い方でも、原音を濁らせたくない場面でも対応できます。
ジャック類はすべて上面配置なので、ボードの横幅を無駄にしません。3.5mm端子に別売のDigiTech FS3Xを接続すれば、タップテンポ、CURVEのオン/オフ、Friction操作を足元に増設できます。FS3Xに被せるマグネット式のプレート「Pit Sign」も同梱されており、増設側にもDRAGと揃ったグラフィックとコントロール名が並びます。
底面のStagePlateは裏表を入れ替えられる構造です。出荷時はゴムの滑り止め面が表になっており、4本のネジを外して裏返せば面ファスナー面に。床置きでもボード固定でも、そのまま使えます。
DOD DRAG スペック
| 回路 | フルアナログBBD |
| ディレイタイム | 最大750ms(Rubberneckモード時 1.5秒) |
| コントロール | TIME / FEEDBACK / FILTER / LEVEL / DRIFT / FRICTION |
| モジュレーション波形 | Sine / Reverse Saw / Square / Random(速さ・深さ 3段階) |
| Frictionカテゴリー | SlideStop / Rubberneck / Evade |
| バイパス | トゥルーバイパス、バッファード(テイルあり)、バッファード+ドライキル |
| 外部端子 | 3.5mm(別売FS3X対応) |
| 電源 | 9V DC センターマイナス |
| 消費電流 | 120mA未満 |
| 外形寸法 | 121(W)×71(D)×38(H)mm ※スイッチ含む高さ53mm |
| 重量 | 0.30kg |
| 保証 | 1年 |
アナログディレイとしての基本性能を押さえつつ、足元ひとつでディレイ音を止めたり、ピッチを持ち上げたりできる。単なる飛び道具ではなく、普段使いのディレイとしても成立するバランスがDRAGの面白さです。
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