オクターバーを使っていて、「もう一声、音を厚くしたい」と感じたことはないでしょうか。下に1オクターブ足すだけでは物足りず、かといって単純に重ねると音が濁ってしまう。MXR M306 Poly Blue Octaveは、4つのオクターブをそれぞれ独立した音量で混ぜられるようにすることで、その調整幅を大きく広げたペダルです。
さらにファズとモジュレーションを内蔵しており、ピッチシフターの枠に収まらない音作りができます。ギターやベースから、オルガンやシンセに近い響きまで持っていける一台です。
4つのオクターブを、それぞれの音量で混ぜる
本機が生成するのはSUB-1(1オクターブ下)、SUB-2(2オクターブ下)、OCT+1(1オクターブ上)、OCT+2(2オクターブ上)の4系統。それぞれに専用のノブが割り当てられており、原音のレベルを決めるDRYノブと合わせて、計5系統のバランスを自由に組み立てられます。
たとえばSUB-1とSUB-2だけを上げればベース的な太さが得られますし、OCT+1とOCT+2を混ぜれば12弦ギターやシンセのような煌びやかさが出ます。上下すべてを立ち上げてDRYを控えめにすれば、もとの楽器の輪郭が消えて、オルガンに近い分厚い響きへ変わっていきます。どこを主役にするかを、ノブの高さだけで決められる構成です。
ポリフォニックとモノフォニック、2つのピッチシフト
ピッチシフトの方式はMONOスイッチで切り替えます。
- ポリフォニック(デフォルト):単音だけでなく和音にも対応します。コードを弾いてもそれぞれの音が正しく追従するため、バッキングにオクターブを足すような使い方ができます。
- モノフォニック(赤いLEDで点灯):一度にひとつの音にフォーカスする方式です。このモードではOCT+1とOCT+2が、Octavio Fuzzのインテンシティを絞りきったような響きに近づきます。アナログ的なざらつきと不安定さが持ち味で、リード向きの性格です。
正確さを取るか、質感を取るか。どちらが上というものではなく、フレーズに応じて切り替える性質のスイッチです。
モジュレーションはモードで中身が変わる
ここが本機の面白いところです。MODノブはモジュレーションのレート(速さ)を調整するもので、左いっぱいに回すとモジュレーションは切れます。そしてかかる効果の中身そのものが、MONOスイッチの状態によって入れ替わります。
- ポリフォニック時:レスリー・スピーカーの効果をシミュレートした揺れになります。オクターブを重ねた分厚い音との相性がよく、オルガン的な質感を狙うならこちらです。
- モノフォニック時:MXR Phase 90に近い響きに切り替わります。オクターブ音にうねりを与える、フェイザー的な使い方ができます。
つまりMONOスイッチひとつで、ピッチシフトの方式とモジュレーションの種類が同時に切り替わる設計です。踏み込む前に、この連動を理解しておくと音作りが早くなります。
ファズは5系統すべてにかかる
FUZZスイッチを押すと、ドライと4つのオクターブ、つまり5系統すべての信号にファズがかかります。一部だけに適用するのではないため、音の変化は劇的です。下のオクターブにかかれば地を這うような重さが、上のオクターブにかかればシンセのような鋭さが加わります。
ファズの音量を調整して保存する
ファズには独立した音量ノブがありませんが、設定方法が用意されています。FUZZスイッチを青いLEDが点滅するまで押し続け、DRYノブで好みの音量に合わせ、もう一度FUZZスイッチを押すと保存されます。ファズをオンにした瞬間に音量が飛び出してしまう問題を、ここで解消できます。
EXP端子でできること
2つの設定を行き来する
DVP5 Volume (X)8のようなエクスプレッションペダルをTRSケーブルでEXP端子に接続すると、2つの設定を滑らかに行き来できるようになります。ヒールダウン位置でノブとスイッチを設定し、次にトゥダウン位置で別の設定を作る。あとはペダルを踏み込むだけで、その2つの状態が連続的に移り変わります。
単にレベルが上下するのではなく、オクターブの構成ごと変化していくため、曲中の展開に合わせた使い方ができます。
FUZZとMONOを足元で操作する
同じEXP端子に、M199 MXR Tap Tempo Switchのような外部スイッチを通常のパッチケーブルで接続すれば、FUZZとMONOを足元から操作できます。本体のスイッチは手で押すタイプなので、演奏中に切り替えたい場合はこの拡張が現実的な解決策になります。エクスプレッションペダルとはケーブルの種類が異なる点に注意してください。
電源はACアダプター専用
導入前に必ず確認しておきたいのがここです。本機は電池では駆動できません。9V ACアダプター(ECB003/ECB003EU)またはMXR Brickシリーズのパワーサプライが必要になります。
消費電流は265mA。一般的なアナログペダルとは桁が違うため、既存のパワーサプライに空きポートがあっても電流が足りないことがあります。ボードに組み込む前に、供給能力を確認しておくと安心です。
スペック
| モデルナンバー | M306 |
| 生成するオクターブ | SUB-1(1オクターブ下)/SUB-2(2オクターブ下)/OCT+1(1オクターブ上)/OCT+2(2オクターブ上) |
| コントロール | DRY、SUB-1、SUB-2、OCT+1、OCT+2、MOD(レート)、FUZZスイッチ、MONOスイッチ、フットスイッチ |
| ピッチシフト方式 | ポリフォニック/モノフォニック(MONOスイッチで切替、赤LED点灯でモノフォニック) |
| モジュレーション | ポリフォニック時:レスリー・スピーカーのシミュレーション/モノフォニック時:Phase 90に近い響き |
| ファズ | 5系統すべての信号に適用。音量はFUZZスイッチ長押し+DRYノブで設定・保存 |
| EXP端子 | エクスプレッションペダル(TRSケーブル)/外部タップスイッチ(パッチケーブル) |
| 入力インピーダンス | 1MΩ |
| 出力インピーダンス | 100Ω |
| 最大入力レベル | +5dBV |
| ノイズフロア | -97dBV |
| 消費電流 | 265mA |
| 電源 | 9V DC(ECB003/ECB003EU、MXR Brickシリーズなど。電池非対応) |
よくある質問
- 電池で使えますか?
-
使えません。9V ACアダプター(ECB003/ECB003EU)またはMXR Brickシリーズのパワーサプライが必要です。消費電流は265mAのため、供給能力に余裕のあるポートを確保してください。
- MODノブは深さを調整するものですか?
-
レート(速さ)を調整するノブです。左いっぱいに回しきるとモジュレーションが切れます。
- モジュレーションの種類は選べますか?
-
MONOスイッチの状態に連動します。ポリフォニック・モードではレスリー・スピーカーをシミュレートした効果、モノフォニック・モードではMXR Phase 90に近い響きになります。
- ファズの音量が大きすぎる場合は?
-
FUZZスイッチを青いLEDが点滅するまで押し続け、DRYノブで音量を設定し、もう一度FUZZスイッチを押すと保存されます。
- FUZZとMONOを足元で切り替えられますか?
-
EXP端子にM199 MXR Tap Tempo Switchなどの外部スイッチをパッチケーブルで接続すれば操作できます。エクスプレッションペダルを接続する場合はTRSケーブルを使用します。
- ベースでも使えますか?
-
使えます。ドライを含む5系統のバランスを自由に組めるため、原音を保ったままオクターブ下や上を足す使い方ができます。
BRAND
MXR
このエフェクターのみんなの記録
このエフェクターについてのひとことや、登録しているユーザーを見ることができます。

