Ghost Note Audio Signal Generatorは、1kHzのサイン波とホワイトノイズ、ピンクノイズを、校正された基準レベルで出力する小型の信号発生器です。オーディオインターフェースの入力ゲインを合わせる、アンプシミュレーターに送り込む信号レベルを把握する、スピーカーのIRを作るといった作業に、数値の裏付けを持ったスタート地点を用意してくれます。
Ghost Note Audio Signal Generatorとは
Ghost Note Audioは、イギリス・西サセックスを拠点に、エフェクターとスタジオ機材、プラグインを手がけるメーカーです。CloudSeedをはじめとするオープンソースの開発でも知られていて、製品はすべてイギリス国内で製造されています。
Signal Generatorはそのスタジオ機材ラインに属する一台で、役割は名前のとおり、基準となる信号をつくって出力することに絞られています。出力する信号は1kHzサイン波、ホワイトノイズ、ピンクノイズの3種類、基準レベルは+4dBu、1V Peak、-10dBVの3段階。パソコンやDAWを介さずに、ケーブル一本で目的の機材へ直接信号を送り込めるため、卓の裏でもアンプの前でも、必要な場所にそのまま持ち込んで使えます。
3種類の信号を切り替えて出力する
信号の種類はMODEボタンで切り替えます。押すたびにサイン波、ホワイトノイズ、ピンクノイズの順に循環するので、作業の途中でも手を止めずに目的の信号へ移れます。
1kHzサイン波
全高調波歪率0.03%(Typical)、ノイズフロア-110dBという低歪み・低ノイズの正弦波です。レベルの基準としてもっとも扱いやすい信号で、入力ゲインの設定、チャンネル間のレベル差の確認、メーター表示の照合といった場面で活躍します。ピークtoピーク誤差1%未満に校正されているため、表示された値をそのまま信頼して作業を進められます。
ホワイトノイズ
全周波数帯域にわたってエネルギー密度が均一なノイズです。EQやフィルターを通したときの周波数特性の変化をスペクトラムアナライザーで確認する用途に向いていて、後述するスピーカーIRの作成でも中心的な役割を果たします。
ピンクノイズ
オクターブあたりのエネルギーが一定になるノイズで、人の聴感に近いバランスを持っています。マイクのレベル合わせや、スピーカー間・モニター環境のバランス確認など、耳と測定の両方を頼りにする作業で使われる信号です。
3段階の基準レベルとTRIMノブ
出力レベルはスイッチで3段階から選べます。接続先が業務用ラインなのか民生機なのかによって適正な基準は変わりますが、切り替え一つで対応できるため、機材をまたいで使い回しても迷いにくい構成です。
- +4dBu:業務用オーディオ機器の標準的な基準レベル(1.228Vrms/1.736V Peak/3.472Vp-p)
- 1V Peak:ピーク電圧を基準にした確認に使えるレベル(0.707Vrms/2.000Vp-p)
- -10dBV:民生用オーディオ機器で広く使われる基準レベル(0.316Vrms/0.447V Peak/0.894Vp-p)
さらにTRIMノブで出力を絞ることができます。時計回りに振り切った状態でスイッチが示す基準レベルそのままの信号が出力され、反時計回りに回していくと信号が減衰し、最小位置では最大値の10%になります。基準レベルより小さな信号を入れたい機材にも、そのまま対応できるということです。
なお、これらのレベル換算表は本体背面にプリントされているので、dBuとdBV、Vrmsの関係を思い出したいときに、その場で確認できます。
Signal Generatorの使いどころ
オーディオインターフェースの入力ゲインを合わせる
レベルが既知の信号を入れてやることで、プリアンプやライン入力のゲインを、再現性のある数値として設定できます。ノブの目盛りではなく実際の値を基準にできるので、日をまたいだ録音でも同じ条件を再現しやすくなりますし、複数チャンネルを持つインターフェースやミキサーで、チャンネルごとのゲイン差を洗い出す用途にも使えます。
アンプシミュレーターやアナログモデリング系プラグインの入力レベル管理
アナログ回路をモデリングしたプラグインの多くは、入力レベルによって歪み方やコンプレッションの掛かり方が変化します。アナログ入力とデジタル値の対応関係を実測しておけば、プラグインへ送られる信号が設計上の想定内に収まっているかを把握でき、モデル本来の挙動を引き出しやすくなります。Ghost Note Audioは公式サイトで、アンプシミュレーターの入力ゲインを算出するツールやレベル換算ツールを無料で公開しているので、本機と組み合わせて使えます。
スピーカーIRの作成
ホワイトノイズをキャビネットから鳴らして収録し、その周波数特性からインパルスレスポンスを作り出す方法があります。スイープ信号を使う方法に比べて手順がシンプルで、手持ちのキャビネットとマイクの組み合わせを自分でIR化したい場合に現実的な選択肢になります。本機はこの用途を公式に想定している一台です。
テープマシンのバイアス調整
リールtoリールのテープマシンでは、バイアス調整に安定した基準信号が欠かせません。低歪みの1kHzサイン波を任意のレベルで供給できるため、ヴィンテージ機材のメンテナンスにも使えます。
マイクレベル合わせとPA・モニター環境の確認
ピンクノイズを使えば、マイクの出力レベルを揃えたり、左右のスピーカーやモニター環境のバランスを確認したりできます。ライブ会場やリハーサルスタジオのように、測定用のパソコンを持ち込みにくい場所ほど、単体で完結するこのサイズが効いてきます。
EQ・フィルターの動作確認
ホワイトノイズを入力してスペクトラムアナライザーで受ければ、EQやフィルターがどの帯域にどれだけ作用しているかを目で確かめられます。ペダルやアウトボードの効きを把握したいときにも使える方法です。
電源と取り回し
電源は9V電池とUSB-Cの2系統です。USB接続時は常に動作し、POWERスイッチは電池駆動時のみ機能します。モバイルバッテリーからでも動かせるので、電源環境を選ばずに持ち出せます。電池で駆動する場合の目安は、新品の9V電池でおよそ4〜5時間以上とされています。
筐体サイズは90(幅)×130(奥行)×30(高さ)mmと、機材ケースの隙間に収まる程度。ファームウェアはオープンソースで公開されていて、USB-C経由で書き換えられます。自分で信号を追加するようなカスタマイズにも道が開かれている一台です。
- 電源投入後、DCバイアスが安定するまで5〜6秒ほどかかります。この間は信号が歪む場合があるため、少し待ってから測定を始めます。
- 出力は1/4インチTSのアンバランスのみです。バランス受けの機材へ長距離で送る場合は、変換や配線の取り回しに配慮が必要です。
- 電池の輸送規制により、9V電池は製品に同梱されません。
- 初期のRev 1.0にはMODEボタンによる信号切り替えがなく、TRIMノブを12時より反時計回りに回すことでノイズ信号に切り替わる仕様でした(1V/+4dBu設定でホワイトノイズ、-10dBV設定でピンクノイズ)。中古で入手する際の確認ポイントになります。
製品仕様
| 出力信号 | 1kHzサイン波/ホワイトノイズ/ピンクノイズ |
| 基準出力レベル | +4dBu/1V Peak/-10dBV |
| 校正精度 | ピークtoピーク誤差1%未満 |
| 出力端子 | 1/4インチTS(アンバランス) |
| 全高調波歪率 | 0.03%(Typical) |
| ノイズフロア | -110dB |
| 振幅誤差 | 1%未満 |
| 周波数誤差 | 5Hz未満 |
| 電源 | 9V電池またはUSB-C(電池は別売) |
| 外形寸法 | 90(幅)×130(奥行)×30(高さ)mm |
| ファームウェア | オープンソース/USB-C経由で更新可能 |
| 製造国 | イギリス |
よくある質問
- 9V電池は付属しますか?
-
電池の輸送に関する規制により、9V電池は同梱されません。別途用意するか、USB-Cから給電して使用します。
- 信号の種類はどのように切り替えますか?
-
MODEボタンを押すたびに、サイン波、ホワイトノイズ、ピンクノイズの順で切り替わります。出力レベルは本体のスイッチ、減衰量はTRIMノブで設定します。
- バランス出力はありますか?
-
出力は1/4インチTSのアンバランス端子のみです。
- 電源を入れてすぐに測定を始められますか?
-
DCバイアスが安定するまで5〜6秒ほどかかり、その間は信号が歪む場合があります。少し待ってから測定を始めるのが確実です。
まとめ
Signal Generatorがもたらすのは、レベルを「たぶんこのくらい」ではなく実数として扱えるようになる環境です。アンプシミュレーターやモデリングプラグインを使う機会が増えるほど、入り口の信号レベルが音の性格を左右する場面は多くなりますし、キャビネットのIRを自分で作りたい、手持ちのテープマシンを整えたいといった作業にも、基準となる信号は欠かせません。単体で完結して電源も選ばないこのサイズなら、スタジオの棚に置いたままにせず、必要な現場へそのまま持ち出せます。
このエフェクターのユーザーレビュー
実際に使った方が、それぞれの環境で感じたことを投稿しています。
この機材のレビューはまだありません。使ったことがある方は、音の印象や使い方をぜひお聞かせください。
このエフェクターを登録しているユーザー
MY COLLECTION BOXに登録すると、所有状況とコレクションを公開できます。
この機材を登録しているMY COLLECTION BOXはまだありません。

