RoShi Pedalsの「Plexition Re:voice」は、Plexiが築いてきたサウンドの系譜を、ブランド自身の視点で読み直したオーバードライブです。煌びやかな高域と、弾き手の指の動きをそのまま返してくる独特のレスポンス。そこへ、時代が下るにつれて求められるようになった深い歪みや鋭いエッジが「ひとつのピース」として積み重ねられています。ひとつのアンプが音楽の変化とともに姿を変え、いまなおロックの象徴であり続けている——その進化の途中にRoShi Pedalsが居合わせていたら、という「もう一つの歴史」を想像しながら設計されたペダルです。
Plexitionという名前が背負ってきたもの
Plexitionシリーズの第一弾は、AMPシリーズの起点としてつくられたモデルでした。ファズの音そのものは気に入っているのに、バンドのアンサンブルに入ると抜けてこない、音量が足りない、ブースターを足すとファズの良さが削れてしまう。そうした場面に応えるために、ファズの後段へ置くことを目的のひとつとして開発されたのが最初のPlexitionです。Re:voiceはその設計思想を受け継ぎながら、Plexiという原点そのものをもう一度見つめ直したモデルにあたります。
2つの3段スイッチが生む9通りのキャラクター
本機の音づくりの中心にあるのが、左右に配置された2つのミニスイッチです。右がアンプそのものの性格を決めるAmp character、左が高域の質感を決めるHi character。それぞれが独立した3ポジションなので、組み合わせは9通りになります。片方で音の芯を選び、もう片方で高域の表情を合わせていく、という手順で追い込めます。
Amp character(右スイッチ)で音の芯を選ぶ
- MOD:3ポジションのなかで最もゲインが高く、厚みのあるローミッドを持つセッティングです。RoShi Pedalsが想像した「もう一つの進化」がここに置かれています。
- PA:PAアンプをイメージしたポジションで、フラットで自然なレスポンスが得られます。軽快でありながら芯を失わないサウンドです。
- Plexi:煌びやかさと太い低域を併せ持つ、本機の基本となるサウンドです。
Hi character(左スイッチ)で高域の質感を合わせる
- TB:原始的なトレブルブースターを使ったときのように、高域まで歪みが広がっていくRoShi Pedals独自のボイスです。
- 1960s:素直で伸びやかな高域が得られます。
- 1980s:鋭く、ジャキッとした高域になります。
4つのノブの役割
- GAIN(左):必要とされる歪み量をひととおりカバーする範囲を持ち、最小値でもわずかに歪む設定になっています。完全なクリーンから始まるのではなく、常にどこかで音が動いている性格です。
- TREBLE(中央上):高音域を増減します。あえて狭い範囲でのフィルタリングに設定されているため、高音の細かな表現を追い込みやすくなっています。
- BASS(中央下):低音域だけを動かすというよりも、サウンド全体の重厚感を調整するノブです。3時以降まで上げていくと、重厚感に加えて歪みも徐々に増していきます。
- VOLUME(右):余裕のある出力を備えており、ブースターとしても十分に機能します。
クリッピングダイオードを使わない歪みと「ファズのお供」
Plexition Re:voiceは、クリッピングダイオードを使わず、素子そのものの増幅によって歪みを作り出しています。この構造ゆえにヘッドルームが広く、前段から入ってきた信号の輪郭を潰さずに前へ押し出せます。Plexitionシリーズが最初から掲げてきた「ファズのお供に」という姿勢は、Re:voiceでも変わっていません。Fuzz FaceやTone Benderをはじめとするファズと組み合わせたとき、そのファズが持っている個性はそのままに、アンサンブルのなかで前に出てくる音量と密度が加わります。
もちろんファズと組み合わせる用途に限られるわけではなく、VOLUMEの出力に余裕があることから、単体のオーバードライブとしても、アンプを押すためのブースターとしても成立します。
入力段のヴィンテージトランジスタとIskraのコンデンサ
Re:voiceには、長年集められてきたヴィンテージパーツが投入されています。入力段に使われているのは、もともとRam’sのために集めていたヴィンテージトランジスタです。何種類ものトランジスタを比較したうえで、最終的にこの石へ戻ってきたという経緯があり、代替品を探してもこの質感だけは再現できませんでした。
一部にはIskra製の大型ポリプロピレン・コンデンサが使われています。大型のポリプロピレン・コンデンサでありながら細さを感じさせない高域表現が、このパーツを選んだ理由です。Iskraという選択そのものについては、同社のフィルムコンデンサがTone Benderに採用されていたという、ファズ好きにとってのある種の憧れも動機だったとRoShi Pedalsは率直に明かしています。なお、これらのパーツはストックに限りがあるため、在庫がなくなり次第、変更される予定です。
なぜV2ではなく「Re:voice」なのか
Re:voiceという言葉には、Plexiをもう一度見つめ直して再解釈するという意味と、RoShi Pedalsというフィルターを通して新しい声を生み出すという意味が重ねられています。この考え方はSejiから続いてきたもので、Re:voiceで突然生まれたわけではありません。音と向き合うなかで何に惹かれ、何を提案すべきか、その音にどんな想いを込めるのか。RoShi Pedalsは、それこそが他に代えられない存在になるために必要なものだと位置づけています。Plexition Re:voiceは、単に過去を再現するブランドではなく新しいサウンドを生み出すブランドであるという意思を、初めて明確な形にしたプロダクトにあたります。
製品仕様
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| サイズ | 幅 94mm × 奥行 135mm × 高さ 66mm |
| 重量 | 460g |
| 電源 | 9V DC センターマイナス |
| 消費電流 | 7mA |
| 入力インピーダンス | 1MΩ |
| 出力インピーダンス | 10kΩ |
| 保証期間 | 1年 |
製品の改良などにより、予告なく仕様が変更される場合があります。シルク印刷、アルマイト処理、レーザー印字には1台ごとに微妙な差が生じます。また、曲げ加工やアルマイト処理によるくすみ、削り出しによる小傷が見られる場合がありますが、これらは仕様の範囲内とされています。
よくある質問
- ファズと組み合わせる場合、接続順はどうなりますか?
-
Plexitionシリーズは、ファズの後段に配置することを目的のひとつとして開発されています。Fuzz FaceやTone Benderなどのファズを前段に置き、その後ろにPlexition Re:voiceを接続する形が基本になります。
- クリッピングダイオードは使われていますか?
-
使われていません。素子そのものの増幅によって歪みが作られており、その結果としてヘッドルームが広く確保されています。
- スイッチの組み合わせは何通りありますか?
-
Amp character、Hi characterともに3ポジションのため、組み合わせは9通りです。右のスイッチで音の芯を、左のスイッチで高域の質感をそれぞれ独立して選べます。
- ブースターとしても使えますか?
-
使えます。VOLUMEは余裕のある出力を持っており、ブースターとして十分に機能します。単体のオーバードライブとしても、アンプを押す用途としても成立する設計です。
Plexiという出発点があり、そこから先の時代がアンプに求めてきたものがあり、その延長線上にRoShi Pedalsの手が加わっている。Plexition Re:voiceは、そのつながりを1台のペダルのなかに畳み込んだモデルです。9通りのスイッチの組み合わせと、素子の増幅だけで作られた広いヘッドルーム。前段に置いたファズの表情がどう変わるかを含めて、足元での組み立て方に幅が生まれる一台といえます。
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