J.ROCKETT AUDIO DESIGNS ジェイ・ロケット・オーディオ・デザインズ / ARCHER Ikon【オーバードライブ】

アンプの歪みをもう一段だけ前に押し出したい。でも、original の音色そのものは変えたくない。そんなときに名前が挙がるのが「ケンタウロス系」と呼ばれるオーバードライブです。ただ本家Klon Centaurはすでに生産を終え、中古市場では手の届きにくい価格になってしまいました。

J. ROCKETT AUDIO DESIGNSのARCHER Ikonは、そのケンタウロス系のなかでも特別な立ち位置にあるペダルです。というのも、このブランドはCentaurの後継機「KTR」の初代ロットを実際に製造した経歴を持っているからです。回路を内側から知る立場だったメーカーが、あらためて自分たちの解釈で作り上げた一台。それがArcher Ikonです。

目次

KTRの製造を手掛けたブランドが作る、ケンタウロス系オーバードライブ

Klon Centaurは1994年から2008年まで、Bill Finnegan氏の手作業で約8,000台が製造された伝説的なオーバードライブです。2014年、Finnegan氏は小型化した後継機「KTR」を発表しますが、その製造は外部に委託されました。このとき初代モデルの製作を担ったのが、J. ROCKETT AUDIO DESIGNS傘下のRockett Pedalsです。

同社が2014年に発売したシルバー筐体の「ARCHER」は、そうした背景もあってケンタウロス系のなかでも高い評価を得てきました。そして2015年10月、筐体をゴールドに変更し、クリッピング・ダイオードを見直した上位機として登場したのがARCHER Ikonです。シルバーからゴールドへという流れは、まさにCentaur自身がたどった歴史をなぞるものでした。

ゴールド期の音を狙って選ばれたダイオード

ケンタウロス系のペダルは数えきれないほど存在しますが、音の差を生む最大の要因としてよく語られるのがクリッピング・ダイオードです。Archer Ikonでは、シルバーのArcherとは異なる希少なゲルマニウム系ダイオードが採用されています。国内では「Rare Russian Diode」という表記で紹介されることが多いパーツです。

メーカーによれば、この選定はゴールド筐体期のCentaurが持っていたキャラクターを再現するためのもの。Archerと比べるとゲインはわずかに控えめで、より温かみのある鳴り方になるとアナウンスされています。同じ回路でもパーツひとつでここまで語られるあたりに、このジャンルの奥深さがあります。

9V駆動で18V相当のヘッドルーム

Archer Ikonは9Vセンターマイナスのアダプター(および9V電池)で動作しますが、内部のチャージポンプ回路で電圧を18Vまで昇圧しています。これによって余裕のあるヘッドルームが確保され、音を潰さずに前へ出すというケンタウロス系らしい振る舞いが生まれます。

Gainをゼロまで絞ればハリのあるクリーン・ブースターとして、上げていけばクリーン成分と歪み成分がブレンドされたオーバードライブとして機能します。ひとつのノブを回すだけで役割が連続的に変わっていくので、自分のアンプとギターで気持ちいいポイントを探す時間そのものが楽しいペダルです。なおOutputは効きがかなり強いので、最初は絞り気味から始めるのが安心です。

スペック

コントロールOutput / Treble / Gain
スイッチエフェクトOn/Off(バッファード・スイッチング)
入出力Input / Output / DC In
電源9V電池、または9VDCアダプター(センターマイナス・別売/内径2.1mm・外径5.5mm)
消費電流26mA
サイズ104(L)×59.5(W)×47(H)mm
重量約390g

ARCHER Ikonが向いている人

  • 本家Klon Centaurに近い質感を、現実的な価格で手に入れたい方
  • アンプの持ち味を活かしたまま、音の輪郭と押し出しを足したい方
  • クリーン・ブースターとオーバードライブを1台で兼ねたい方
  • シルバーのArcherより、少し落ち着いて温かい方向のキャラクターを求めている方
  • バンドのアンサンブルで埋もれないリード・トーンを作りたい方

逆に、ハイゲインなディストーションや、原音を大きく作り変えるタイプの歪みを探している方には向きません。Archer Ikonはあくまで「今出ている音を、良い方向に押し上げる」ためのペダルです。

よくある質問

ARCHERとARCHER Ikonの違いは何ですか?

筐体カラー(シルバー/ゴールド)とクリッピング・ダイオードが異なります。メーカーの説明では、IkonはArcherよりゲインがわずかに控えめで、より温かみのあるサウンドとされています。それぞれオリジナルCentaurのシルバー期・ゴールド期に対応する位置づけです。

18V電源で使うことはできますか?

いいえ。入力は9Vセンターマイナスのみです。内部のチャージポンプ回路が自動的に18Vまで昇圧する設計なので、外部から高い電圧を供給する必要はありません。

クリーン・ブースターとしても使えますか?

使えます。Gainを絞り切った状態でも豊かなヘッドルームが確保されているため、音量とハリを持ち上げるブースターとして機能します。Outputの効きが強いので、少しずつ上げていくのがおすすめです。

バイパス方式はトゥルーバイパスですか?

バッファード・スイッチングを採用しています。長いシールドや複数のペダルを経由する環境では、信号の劣化を抑えるうえで有利に働きます。

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この記事を書いた人

13歳よりエレキギターを始め、学生時代はバンド活動に明け暮れる。音響機器やPAの基礎を専門学校で学びつつ、18歳頃にアルバイトとして始めた大手楽器店にて楽器の買い取り業務を担当。約10年間にわたり音楽機材の買取査定、販売・リペアなどに携わり、数多くのエフェクターに触れる。楽器店退職後、2009年よりエフェクター専門サイト『EFFECTOR COLLECTION BOX』の運営をスタート。

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