ワウペダルを踏んだ瞬間、思っていたよりも音が細く感じる。ボリュームペダルを組み込んだら、なんとなく高音域の抜けが曇った気がする。ペダルボードを組んでいると、こうした「原因のはっきりしない音痩せ」に行き当たることがあります。Providence VITALIZER WV/VZW-1は、その原因になりやすいハイインピーダンス信号を、影響を受けにくいローインピーダンス信号へ変換するために作られたコンパクトなバッファーです。
VITALIZER WV/VZW-1とは
VITALIZER®(バイタライザー)は、プラグやジャックの接点、長いケーブルなどによるノイズや音質変化の影響を受けやすいハイインピーダンス信号を、そうした影響を受けにくいローインピーダンス信号へ変換するバッファーアンプの一種です。Providenceはこれを単なるバッファーではなくActive Impedance Converterと位置づけており、その回路をペダル単体に落とし込んだのがVITALIZER WV/VZW-1にあたります。
ツマミもフットスイッチもありません。端子は入力・出力の1/4インチ標準フォーンジャックと、DC9V入力ジャックのみ。信号経路に挟み込んで電源を供給すれば、それだけで動作します。設定を追い込む必要がない代わりに、どこに置くかがそのまま効果を左右する機材だと考えるとわかりやすいと思います。
「Hi-Fiになりすぎない」という設計の考え方
バッファーを通すと音が硬くなる、いかにも回路を通った感じになる。そう感じた経験がある方もいるかもしれません。VITALIZER®は、ギターやベース、エフェクターといった楽器側の信号特性を踏まえたうえで、敢えてHi-FiになりすぎないようProvidenceが独自の調整を施しています。いわゆるアクティブ臭さを極小に抑え、楽器ならではの原音にできるだけ忠実な信号を出力することを狙った設計です。
通した直後は一見すると変化が無いように聞こえる、というのがProvidenceの説明するVITALIZER®の姿です。派手に音を作り変えるのではなく、本来届くはずだった信号をそのまま届けるための回路、という位置づけになります。
効果を発揮する3つの設置場所
ワウペダル・ボリュームペダルの直前
ワウペダルやボリュームペダルは、ハイインピーダンス信号を入力するとそれだけで音質劣化や変化を起こしやすいといわれています。VITALIZER®は、こうした音質変化を極力抑えたい箇所で特に効果を発揮します。VZW-1から出力されたローインピーダンス信号をワウやボリュームペダルへ入力することで、劣化を抑えた状態でペダルコントロールができます。モデル名の「WV」が示すとおり、この使い方が本機の中心にある想定です。
ギターから最も近い位置
ペダルボードの入口、つまりギターから一番近い箇所に置く使い方です。ここから先の全ての接点とケーブルをローインピーダンス信号で通過させられるため、システム全体の影響をまとめて受けにくくなります。ボード内のパッチケーブルが多い構成ほど、この位置のメリットが出やすくなります。
アンプへ信号を送るシステムの最終段
ボードからアンプまでのケーブルが長くなる現場では、最終段に置く選択肢もあります。ステージ上を大きく動く場合や、アンプが離れた位置にセットされる場合に検討したい配置です。
こんな環境なら効果が出やすい
パッシブのハイインピーダンス信号は電気信号としては弱く、20mクラスの長いケーブルを引き回したり、トゥルーバイパスのエフェクターを多用したりすると、音質に対して影響を受けやすくなります。VITALIZER®はそうした環境で威力を発揮する、というのがProvidenceの想定する使いどころです。
- ギターからアンプまでのケーブル総延長が長い
- トゥルーバイパスのエフェクターを複数台つないでいる
- ワウペダルやボリュームペダルをボードに組み込んでいる
- パッチケーブルが多く、プラグとジャックの接点が増えている
- パッシブピックアップのギターを使っている
逆に、短いケーブルで直接アンプにつなぐシンプルな環境では、変化として感じ取りにくいこともあります。ボードの規模が大きくなるほど恩恵を受けやすい機材です。
60×73mmのコンパクト設計と電源まわり
ワウペダルやボリュームペダルの大きな筐体の傍に置くことを考え、VZW-1は機能を単一化して60×73mmのサイズに収められています。高さを含めた実寸は60(D)×73(W)×43(H)mm、重量は約100g。ボードを組み直さずに、空いているわずかな隙間へ後から追加できる寸法です。
コンパクト化にあたってバッテリースペースは省略されています。電池で駆動する場合は、付属のアウターバッテリーボックス(LE-OBB-2)をDC9V入力ジャックに接続して使用します。ACアダプターやパワーサプライからの給電も可能で、消費電流は約3mAと小さいため、既存のパワーサプライに空きが1つあれば追加できるケースがほとんどです。
主な仕様
| 端子 | 1/4インチ標準フォーンジャック(入力/出力)、DC9V入力ジャック |
| 電源 | DC9V 006Pバッテリー×1、またはACアダプター/パワーサプライ(別売) |
| 消費電流 | 約3mA(DC9V) |
| サイズ | 60(D)×73(W)×43(H)mm |
| 重量 | 約100g(本体のみ) |
| 付属品 | アウター・バッテリーボックス LE-OBB-2(ふた固定用ネジ付き) |
VZW-1・VZF-1・VFB-1の選び分け
VITALIZER®を搭載したペダルは3機種あり、使用する楽器と目的で選び分けます。同じ回路をベースにしていますが、想定する用途が異なります。
| モデル | 想定する楽器・用途 |
| VITALIZER WV / VZW-1 | ギター用。ワウペダルやボリュームペダルとの組み合わせを中心に、原音に忠実な信号伝達を狙うモデル |
| VITALIZER BF / VZF-1 | ベース用。輪郭がぼやけがちな低音域に向けた調整で、多弦ギターやドロップチューニングにも対応 |
| VITALIZER FB / VFB-1 | VITALIZER®回路にFinal Boosterを組み合わせたモデル。最大20dB(聴感上10倍程度)のレベルコントロールが可能 |
ギターで使うならVZW-1、ベースや多弦・ドロップチューニングが中心ならVZF-1、バッファーに加えてブースターも1台にまとめたいならVFB-1、という整理になります。
購入前に確認しておきたいこと
電池スペースを持たない設計のため、パワーサプライを使うボード運用が基本になります。単体で床置きして使う想定であれば、付属のアウターバッテリーボックスを取り回す形になる点は把握しておきたいところです。
また、スイッチを持たない常時オンの機材ですので、経路上では常にVITALIZER®回路を通過します。ヴィンテージ仕様のファズなど、前段のインピーダンスによって挙動が変わる機材を併用している場合は、その手前に置くか後ろに置くかで印象が変わる可能性があります。設置位置を数パターン試せる余裕を見ておくと安心です。
よくある質問
- VZW-1はベースでも使えますか?
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VITALIZER®の回路自体はギター/ベース双方の信号特性を踏まえて設計されていますが、VZW-1はギター用として位置づけられているモデルです。ベースや多弦ギター、ドロップチューニング主体であれば、低音域に向けて調整されたVITALIZER BF/VZF-1が用意されています。
- スイッチがありませんが、オフにはできないのでしょうか?
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フットスイッチやツマミは搭載されておらず、機能を単一化した常時オンの設計です。接続した経路の信号は常にVITALIZER®回路を通過します。
- パワーサプライで駆動できますか?
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DC9Vのアダプターやパワーサプライから給電できます。消費電流は約3mAと小さいため、電流容量の面で問題になることは少ない機材です。
- ボードのどこに置くのが良いですか?
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ワウペダルやボリュームペダルの直前、ギターから最も近い箇所、アンプへ信号を送るシステムの最終段が、Providenceの挙げる主な設置例です。ボードの構成によって適した位置が変わるため、複数のパターンを試してみるのが確実です。
- 電池は本体に入れられますか?
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コンパクト化のためバッテリースペースは省略されています。電池を使う場合は、付属のアウターバッテリーボックス(LE-OBB-2)をDC9V入力ジャックに接続します。

