Fulltone フルトーン / Ultimate Octave 【ファズ】

Fulltone フルトーン / Ultimate Octave 【ファズ】

オクターブファズは、踏んだ瞬間の気持ちよさで手に入れたものの、いざバンドで使おうとすると出番が見つからない。そんな経験はないでしょうか。多くのオクターブファズはオクターブの有無をトグルスイッチで決めるか、常時かかりっぱなしの設計で、曲の途中で切り替えるという発想がそもそもありません。結果、バッキングでは使えず、ソロの一箇所だけのために置いておくペダルになりがちです。Fulltone Ultimate Octaveは、この一点を構造から解決しています。BC108トランジスタによるファズにアクティブトーン回路を組み合わせ、オクターブアップは独立したフットスイッチに割り当てられているため、演奏を止めずに必要な瞬間だけ重ねられます。

目次

オクターブアップは独立フットスイッチで足す

このペダル最大の実用的な強みが、2つ目のフットスイッチです。ファズはそのままに、鋭く突き抜けるオクターブアップだけを踏み足せます。バッキングではファズ単体、ソロの入り口でオクターブを重ねる——といった切り替えが、ノブに触れることなく足元で完結します。

この構造がもたらすのは、単なる操作性の向上だけではありません。オクターブの有無が曲中で選べるということは、ファズそのもののセッティングを「オクターブありき」で妥協しなくてよくなる、ということでもあります。バッキングで使えるファズとして詰めておいて、必要な箇所だけ性格を一変させる。オクターブファズが持て余されがちな理由の多くは、ここで解消します。

オクターブ系エフェクトで気になるトラッキングについて、メーカーはギターやピックアップの選択にシビアではなく、ネック上のどのポジションでも安定して追従すると説明しています。そのうえで、最も明瞭なオクターブ効果が得られるのはネックピックアップとのこと。ハムバッカー機でもシングルコイル機でも扱えるという点は、機材を頻繁に持ち替える方には安心材料になります。

オクターブ感をもっと強調したいときのセッティング

メーカーが公式に案内している調整手順があります。

  • Toneを上げる
  • Distortionを少し下げる
  • Volumeを上げて音量を補う

歪みを詰め込みすぎるとオクターブ成分が埋もれるため、あえて引き算する方向です。オクターブファズが思ったほど「効かない」と感じたことがある方は、この順序で追い込んでみてください。

BC108トランジスタ+アクティブトーンという構成

回路の中心にあるのはBC108トランジスタによるファズです。メーカーはこのファズを「滑らかな」キャラクターとして説明しており、荒々しく崩れていくタイプではなく、輪郭を保ったまま歪んでいく方向性であることがうかがえます。

そこに組み合わされているのがアクティブトーン回路です。ヴィンテージ系ファズにありがちな「トーンを回しても実質的に削れるだけ」という挙動ではなく、積極的に帯域を持ち上げられる設計のため、アンプやギターを選ばず狙った位置に音を置きやすくなります。

コントロールはVolume、Tone、Distortionの3ノブ。数を絞った構成なので、ステージ上で迷うことがありません。

Fat/Brightスイッチが持つ2つのキャラクター

ミニスイッチのFat/Brightは、ファズとオクターブの両方に作用し、サウンド全体の輪郭を切り替えます。メーカーによる各ポジションの説明は次のとおりです。

  • Fat:中域が前に出た、太く粘りのあるサウンド
  • Bright:高域が明瞭で、ミッドがやや引き締まった開放的なサウンド

ギター1本のバンドで音の芯を保ちたいならFat、2本のギターが重なる編成やキーボードと帯域を分け合いたい場面ではBright、といった具合に、編成に応じた住み分けができます。オクターブのオン・オフと掛け合わせれば、1台で4通りの表情を使い分けられる計算です。

生産完了から復活した現行モデルという背景

Fulltoneは1991年、ミュージシャンでありエンジニアでもあるMichael Fuller氏が設立したブランドです。USAハンドメイドのペダルとして長く支持されてきましたが、2022年に事業を停止し、Ultimate Octaveを含む多くのモデルが市場から姿を消しました。

転機となったのが2023年です。Jackson AudioのBrad Jackson氏がFulltone Musical Productsのライセンスを取得し、Fulltone USAとして製造・サポート・販売を継承。Winter NAMM 2024で本格的にスタートしました。現在のUltimate Octaveは、この体制のもとで再び手に入るようになったモデルです。中古市場でしか出会えなかった時期を知っている方にとっては、新品で入手できること自体が大きな意味を持つはずです。

オリジナル回路をそのままに小型化

復活にあたって最も大きく変わったのが筐体です。メーカーはオリジナル回路に一切変更を加えておらず、リボイシングもサウンドのアップデートも行っていないと明言したうえで、筐体幅を従来比で半分以下に凝縮したとしています。

2フットスイッチ構成もFat/Brightスイッチも、そのまま残されています。機能を削ってサイズを稼いだのではなく、レイアウトの見直しによって寸法を詰めた設計です。2つのフットスイッチを備えたペダルとしては十分にコンパクトな部類で、旧モデルの横幅がネックだった方にとっては、導入のハードルが下がったことになります。

スペック

コントロールVolume / Tone / Distortion
スイッチFat/Bright ミニスイッチ、フットスイッチ×2(エフェクトON/OFF、オクターブアップ)
サイズ70×120×70mm
重量400g
入出力端子1/4″ TS PHONE
電源/消費電流DC9〜18V(φ2.1mm センターマイナス)/35mA ※電源アダプターは別売
生産国アメリカ

向いている方・そうでない方

Ultimate Octaveが力を発揮するのは、次のような使い方を考えている場合です。

  • ファズとオクターブファズを曲中で踏み分けたい
  • オクターブファズを買ったものの、使いどころが限られて持て余した経験がある
  • 使用するギターが複数あり、ピックアップを選ばない安定感を求めている
  • 編成や曲に応じて、太いミッドと抜けの良いハイを切り替えたい

一方で、オクターブ効果を一切使わずファズ単体だけを求めている方や、電池駆動を前提にペダルを選んでいる方には、別の選択肢を検討する余地があります。本モデルの電源はDC9〜18Vのアダプター駆動として案内されています。

よくある質問

オクターブアップを常時オンにしたまま使えますか?

オクターブアップは独立したフットスイッチで操作するため、踏んだままの状態を維持すれば常時オンで使用できます。逆に、必要な箇所だけ踏み足す運用も可能です。

旧モデルとサウンドは変わっていますか?

メーカーはオリジナル回路に変更を加えておらず、リボイシングやサウンドのアップデートも行っていないとしています。変わったのは主に筐体サイズです。

どのピックアップで使うのが効果的ですか?

メーカーによれば、ネック上のどのポジションでも安定してトラッキングしますが、最も明瞭なオクターブ効果が得られるのはネックピックアップとされています。

オクターブ感が弱く感じるときはどう調整しますか?

Toneを上げ、Distortionを少し下げ、Volumeを上げる手順がメーカーから案内されています。歪みを減らすことでオクターブ成分が前に出てきます。

電源は何を使えばよいですか?

DC9〜18V、φ2.1mmセンターマイナスのアダプターに対応し、消費電流は35mAです。アダプターは別売となります。

まとめ

Ultimate Octaveは、オクターブファズという飛び道具を「常に鳴らすもの」ではなく「必要な瞬間に足すもの」として設計したペダルです。BC108ファズとアクティブトーンという素性の良さに加え、Fat/Brightで性格そのものを切り替えられる柔軟さがあり、そのうえで筐体は従来の半分以下の幅に収まりました。オクターブファズを持て余した記憶がある方ほど、この構成の意味が響くはずです。

Fulltone フルトーン / Ultimate Octave 【ファズ】

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この記事を書いた人

13歳よりエレキギターを始め、学生時代はバンド活動に明け暮れる。音響機器やPAの基礎を専門学校で学びつつ、18歳頃にアルバイトとして始めた大手楽器店にて楽器の買い取り業務を担当。約10年間にわたり音楽機材の買取査定、販売・リペアなどに携わり、数多くのエフェクターに触れる。楽器店退職後、2009年よりエフェクター専門サイト『EFFECTOR COLLECTION BOX』の運営をスタート。

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