Vin-Antique ヴィンアンティーク / PPSE Classic Ver.1 【オーバードライブ】

真空管アンプの前でオーバードライブを踏んだとき、思ったより音がギラついてしまう。倍音は豊かなのに、そこまでは要らなかった——そんな微妙な引っかかりに応えて作られたのが、Vin-Antique PPSE Classic Ver.1です。

Vin-Antiqueは2019年に京都で発足したハンドメイドペダルブランド。本機はそのCustom Shopラインの製品で、通常ラインのPPSE ’79を使っているユーザーからのフィードバックが開発の出発点になっています。

目次

何が「Classic」なのか

両モデルの違いは、クリッピングの方式にあります。

通常ラインのPPSE ’79は、TS回路をベースにしながら2:4という非対称クリッピングを採用しています。かなり変わった比率で、その分だけ倍音が強く前に出る。クリーンアンプに繋いでクランチからオーバードライブまで作り込むと、凛とした密度のある歪みになるのが ’79 の魅力です。

対してPPSE Classicは、あえて本家TSと同じ対称クリッピングに戻しています。倍音の出方が整理され、飽和しすぎない方向へ。狙いは明快で、真空管アンプの音をベースにしたうえで、ペダルをブースターとして踏み込んだときにギラつかせないことです。

ただし、単に大人しくしただけではありません。両電源で動作する構成や、PPSE ’79が持っていたレスポンスの速さと音の分離感はそのまま引き継いでいます。「ウォームなのに速い音」という制作テーマは、この両立を指しています。

結果として、TS系と呼ばれる割にはハイが詰まりません。いわゆる「TSらしさ」を期待すると肩透かしを食うかもしれず、クラシカルな質感を持ったトランスペアレント系、と捉えたほうが実像に近い一台です。

真空管アンプを前提に作られている

ここは購入前にはっきりさせておきたい点です。本機は真空管アンプを使う人に向けて設計されており、アンプ自体の音を土台に、その手前でプッシュする役割を担います。

裏を返せば、ジャズコーラスのようなソリッドステートアンプでは、この設計が狙った効果は出にくくなります。アンプ側の歪みを前提にしたチューニングだからです。使用環境がソリッドステート中心という場合は、この点を織り込んだうえで検討してください。

他の歪みペダルとのスタッキングにも向いています。ミドルの艶と分離感が保たれるため、重ねても音が団子にならず、組み立てやすいという性格です。

3つのノブと、その使いどころ

コントロールはTone、Gain、Volのシンプルな3ノブ構成です。ただし、それぞれに効かせ方のコツがあります。

  • Tone:トレブルのコントロールに重きを置いた設計です。左に振り切った状態から、少しずつトレブルを足していく——という順序で操作すると狙いが定まりやすくなります。
  • Gain:歪みの量を決めます。深く歪ませるほど低音が大きく聞こえてくるため、ハイゲイン寄りで使うときはToneを右へ回しながら、使っているギターに合うポジションを探します。
  • Vol:通常はバイパス音との音量バランスを取るために使います。時計回りに回し込めば、ソロ時のゲインアップと抜けを稼ぐハイミッド・ブースターとしても機能します。

GainとToneが互いに影響し合う関係にあるので、片方だけを動かして判断せず、2つを行き来しながら着地点を探すのが近道です。

見た目にも理由がある

筐体のカラーは、PPSE ’79の看板が塗りたてだった頃をイメージしたもの。通常のPPSEカラーの上にこの色を重ねたマルチレイヤー塗装で、ノブの色も通常ラインから変えられています。Custom Shopラインらしく、仕上げにも手間がかけられた一台です。

電源まわりの注意点

電源は9VセンターマイナスのACアダプター、または9V電池(006P)に対応します。消費電流は約10mAと小さく、パワーサプライの空きポートを選びません。

ただし12V以上の電圧をかけると内部の電源ICが故障します。電圧切り替え機能のあるパワーサプライを使っている場合は、出力設定を必ず確認してから接続してください。

スペック

製品ラインVin-Antique Custom Shop
コントロールGain/Tone/Vol
クリッピング対称(本家TSと同方式)
回路両電源動作
入力インピーダンス約1MΩ
消費電流約10mA
電源9V センターマイナスACアダプター/9V電池(006P)※12V以上をかけると内部の電源ICが故障します
外形寸法122(D)×67(W)×40(H)mm(突起物含まず)
製造日本・ハンドメイド

よくある質問

PPSE ’79とはどう違いますか?

クリッピング方式が異なります。PPSE ’79は2:4の非対称クリッピングで倍音が強く出る性格、PPSE Classicは本家TSと同じ対称クリッピングで、飽和しすぎない整理されたサウンドです。レスポンスの速さと分離感は両モデルに共通しています。

ジャズコーラスなどのソリッドステートアンプでも使えますか?

本機は真空管アンプの音をベースにブーストする使い方を前提に設計されています。ソリッドステートアンプでは、この設計が狙った効果は出にくくなります。

電池でも使えますか?

9V電池(006P)に対応しています。9VセンターマイナスのACアダプターでも駆動できますが、12V以上の電圧をかけると内部の電源ICが故障するため、電圧設定にご注意ください。

ブースターとしても使えますか?

使えます。Volを時計回りに回し込むことで、ソロ時のゲインアップと抜けを補うハイミッド・ブースターとして機能します。真空管アンプをプッシュする用途はもともとの設計意図でもあります。

Toneはどう設定すればいいですか?

トレブルのコントロールに重きを置いた設計です。左に振り切った位置から少しずつ足していくと調整しやすくなります。Gainを上げて使う場合は、Toneを右へ回しながらギターに合うポジションを探してください。

BRAND

Vin-Antique

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この記事を書いた人

13歳よりエレキギターを始め、学生時代はバンド活動に明け暮れる。音響機器やPAの基礎を専門学校で学びつつ、18歳頃にアルバイトとして始めた大手楽器店にて楽器の買い取り業務を担当。約10年間にわたり音楽機材の買取査定、販売・リペアなどに携わり、数多くのエフェクターに触れる。楽器店退職後、2009年よりエフェクター専門サイト『EFFECTOR COLLECTION BOX』の運営をスタート。

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