ディレイペダルの片隅に、ひっそりと搭載されてきたグリッチエフェクト。入力した信号を細かく刻んで連射する、あの独特な効果です。本来は脇役だったそのグリッチだけを主役に据え、とことん突き詰めたのが BANANANA effects(バナナナエフェクツ)の MANDALA です。日本のハンドメイドブランドが手がける1台で、グリッチだけに特化しながら8つのモードを備え、飛び道具的なサウンドから空間的なテクスチャまで幅広くカバーします。
グリッチを主役にした、8つのモード
MANDALAの核になるのが、この8つのモードです。オーソドックスな繰り返し再生に加え、倍速・逆再生、クロマチックなピッチシフト、入力音をシンセ(矩形波)に変換する系統、そして演奏の切れ目を検知して直前のフレーズを自動でループさせるトリガー系まで揃っています。1台でグリッチの表現をここまで掘り下げられるペダルは、そう多くありません。
8つのモードを一つずつ
- Repeat:オンにする直前に入力された音を繰り返し再生します。再生速度は等速と倍速から選べ、短いフレーズを瞬時にループさせられます。
- Random:オンにするたびに、ランダムな周期で入力音を繰り返し再生します。再生速度は等速・倍速から選択可能。Timeつまみで、ランダムに決まるタイムの最大値を調整できます。周期が読めないぶん、思いがけないリズムやアクセントが生まれます。
- Reverse:直前の入力音を逆再生でループします。再生速度は1/2倍速・等速・倍速の3段階。順再生とはまた違った、浮遊感のある響きが得られます。
- Trigger:入力音が途切れた瞬間をトリガーに、直前のフレーズを自動でループ再生します。再生速度は等速と倍速から選択可能。弾く手を止めるだけでループが立ち上がるので、演奏の流れのなかで自然に扱えます。
- Square Trigger:入力音をシンセサウンド(矩形波)に変換したうえでサンプリングし、音が途切れた瞬間をトリガーにループ再生します。シンセ音は1オクターブ下と入力オクターブをミックスでき、音の太さを調整できます。
- Square:オンにする直前の入力音をシンセサウンド(矩形波)に変換してループ再生します。Square Trigger と同様に、1オクターブ下と入力オクターブのミックスで音色を作り込めます。
- Up:繰り返し再生されるたびに、ピッチが上昇していきます。ピッチシフトはクロマチックで、+1〜+12の範囲で設定可能。上昇していくアルペジオのような効果が作れます。
- Down:繰り返すたびに、ピッチが下降していきます。こちらもクロマチックで、−1〜−12の範囲。重心が下がっていく、独特の緊張感を出せます。
踏んでいる間だけ効かせる、モーメンタリー動作
MANDALAを使いこなすうえで覚えておきたいのが、フットスイッチのラッチ/アンラッチ切り替えです。通常のオン/オフ(ラッチ)に加えて、スイッチを踏んでいる間だけ効果がかかるモーメンタリー(アンラッチ)動作に切り替えられます。狙ったタイミングで一瞬だけグリッチを差し込む、といった使い方はモーメンタリーが得意とするところ。演奏の合間にアクセントとして放り込めるので、グリッチ本来の「飛び道具」的な魅力を最大限に引き出せます。
サイズと基本スペック
独創的なサウンドに目が行きがちですが、機材としての作りもよく考えられています。コンパクトで軽量なので、限られたボードスペースにもすっきり収まります。
スペック一覧
- DIMENSION(WxDxH):52 x 93 x 49mm — 省スペースで、ペダルボードに組み込みやすいコンパクト設計。
- WEIGHT:200g — ミニサイズながら手に取ると程よい重みがあり、ボード上でも安定します。
- BYPASS:BUFFERED BYPASS — バッファードバイパス方式。長いケーブルや多段接続でも、信号を安定して送り出せます。
- INPUT IMPEDANCE:1MΩ — 標準的な入力インピーダンスで、さまざまな楽器や機材と組み合わせられます。
- POWER SOURCE:9V DC(センターマイナス)— 一般的な9Vセンターマイナスアダプターで駆動するため、電源環境で困ることはありません。
- CURRENT DRAW:60mA — 消費電流も控えめです。
- MADE IN JAPAN:日本製のハンドメイド。面白いエフェクターは高価で場所を取りがち、という常識に一石を投じるのがブランドの姿勢です。
どんな人に向いているか
MANDALAはグリッチという特定の効果に的を絞りながら、8モードの多機能さで表現の幅を大きく広げてくれるペダルです。既成のサウンドにとらわれず、実験的なテクスチャや飛び道具的なアクセントを楽曲に取り入れたいギタリスト、ベーシスト、シンセプレイヤーにとって、心強い1台になります。アンビエント、ノイズ、エレクトロニカ、現代音楽など、ジャンルを問わず刺激をくれるはずです。コンパクトで価格も手を出しやすく、「変な音」を気軽に試したい人の最初の一歩としてもよく合います。

