BOSS ボス / XS-100 Poly Shifter 【ピッチシフト/ハーモニー系】

BOSS ボス / XS-100 Poly Shifter 【ピッチシフト/ハーモニー系】

ギターを持ち替えずに曲ごとのチューニングを変える。ソロの途中で音程を1オクターブ跳ね上げる。足の動きに合わせて、音程をなめらかに滑らせる。BOSS XS-100 Poly Shifterは、ピッチにまつわるこうした操作をまとめて引き受けるペダル型のピッチ・シフターです。

ギターにもベースにも対応し、ピッチ・シフトの設定幅は半音単位で±4オクターブ。合計8オクターブという広い範囲を、内蔵のエクスプレッション・ペダル、EXPスイッチ、2つのフットスイッチという三層の操作系で動かしていきます。

目次

音色はそのままに、ピッチだけを動かす

BOSSがXSシリーズのために新規開発したのが、楽器の音色やニュアンスを保ったままピッチを変化させるアルゴリズムです。演奏スタイルやピックアップ・ポジション、組み合わせる機材によって結果が揺らがないこと、そしてピッチ・シフターにとって難所である複雑なコードや長いサスティンを含むリード・パートでも鮮明に響かせることを、BOSSはこのシリーズの核に据えています。

信号処理はAD変換が24ビット+AF方式、DA変換が32ビット、サンプリング周波数は48kHz。AF方式はSN比を高めるローランド/ボス独自の方式で、原音の質感を落とさずにDSP側へ渡すための土台になっています。

足で音程を操る、EXP1ペダルとEXPスイッチ

内蔵のEXP1ペダルを踏み込むと、あらかじめ設定したピッチ・シフト量まで音程が変化します。設定できる幅は±4オクターブ。上げ方向にも下げ方向にも振れるので、ワウのように踏み込みながら音程を持ち上げることも、踏み込むほど沈んでいくような動きを作ることもできます。

この動きの性格を決めるパラメーターが3つ。P.CURVEは踏み込み量に対してピッチがどう付いてくるかを、SLOW2/SLOW1/NORM/FAST1/FAST2の5段階で設定します。P.RISEはつま先側へ踏み切ったときのピッチ変化の速さ、P.FALLはかかと側へ戻し切ったときの速さを、それぞれ1〜10で調整します。ペダルを一気に踏んでも音程だけがゆっくり追いかけてくる、といった設定ができるため、エンジンを吹かすような躍動感のあるピッチ変化も足の動きだけで作れます。

ペダルをつま先側へ強く踏み込むと作動するのがEXPスイッチです。ここに割り当てられる機能は幅広く、1オクターブ上げ/1オクターブ下げのジャンプのほか、エフェクトのオン/オフ、ピッチ・シフトのオン/オフ、TUNE DOWN、DETUNE、ダイレクト音のオン/オフから選べます。それぞれに「踏んでいる間だけ効く」モーメンタリ版も用意されています。インジケーターは割り当てた機能に応じて赤・緑・青に色分けされて点灯するため、暗いステージでも今どの状態にあるかを目で確かめられます。反応する踏み込みの深さも1〜10で調整でき、意図しないタイミングで作動しないよう追い込んでおけます。

2つのフットスイッチで、チューニングを切り替える

パネル手前に並ぶ[EFFECT]スイッチと[TUNE DOWN]スイッチには、EXPスイッチと同じ機能群をそれぞれ自由に割り当てられます。さらに各スイッチにはAとBの2系統の設定を持たせられるので、実質的に4つ分の役割を使い分けられる構成です。メモリーの切り替えを割り当てることもできます。

実務で効いてくるのがTUNE DOWNです。こちらもピッチ・シフトとは別枠で±4オクターブを半音単位で設定でき、レギュラーと半音下げ、1音下げをギターを持ち替えずに行き来できます。エフェクトのオン/オフと連動させる設定(EFX)と、エフェクトがオフのときも独立して効き続ける設定(INDIV)を選べるため、ダウン・チューニングを曲全体のベースとして敷いたまま、その上でピッチ・シフトを飛び道具として使う、といった組み立て方ができます。

半音単位のピッチ・シフトとDETUNE

ピッチ・シフト量はオクターブと半音の2軸で設定します。SELECTつまみを回せば半音単位、押しながら回せばオクターブ単位で動くので、コードをまるごと完全4度上へ移すといった音楽的なアプローチも素早く追い込めます。

±50セントの範囲で設定できるDETUNEを重ねると、わずかに音程をずらした音が原音に加わり、ダブリングのような厚みが生まれます。エフェクト音とダイレクト音はそれぞれ音量を調整でき、両者のバランスも100:0から0:100まで設定可能。ピッチ・シフト量がゼロのときはエフェクト音ではなくダイレクト音を通すUNI.THRUも用意されており、原音を軸に置いた設計がしやすくなっています。

30メモリーと、ボードに組み込むための拡張性

作り込んだピッチ・シフト量、デチューン量、ダウン・チューニング量といった設定は30のメモリーに保存できます。設定値はバックライト付きのグラフィックLCD(64×32ドット)に表示されるため、ライブ中でも現在の状態を把握しやすい構成です。

CTL1,2/EXP2端子には、別売のフットスイッチ(FS-5U/FS-6/FS-7)を2つ分、またはエクスプレッション・ペダル(EV-30、FV-500L、FV-500H、Roland EV-5)を接続できます。TRS MIDI IN/OUTを備えており、外部MIDI機器からのプログラム・チェンジ(#1〜#128)を30のメモリーに割り当てて呼び出せるほか、XS-100のペダルやフットスイッチの操作をMIDIコマンドとして送り出し、他の機材をコントロールする使い方も可能です。設定のバックアップはMIDI端子経由のバルクダンプで行います。

INPUT端子の信号をそのまま出力するTHRU端子があるため、並列のセットアップにも組み込みやすい構成です。バイパス時の音はアナログ・スルーとDSPスルーから選択でき、原音の扱いをボード全体の設計に合わせられます。

導入前に確認したい仕様

ピッチ・シフト範囲半音単位で±4オクターブ(合計8オクターブ)
DETUNE±50セント
メモリー30
ディスプレイグラフィックLCD(64×32ドット、バックライト付き)
信号処理AD変換 24ビット+AF方式/DA変換 32ビット/48kHz
バイパスバッファード(アナログ・スルー/DSPスルーを選択可)
入出力インピーダンス入力 2.2MΩ/出力 1kΩ
接続端子INPUT、THRU、OUTPUT、CTL1,2/EXP2(TRS)、MIDI IN/OUT(ステレオ・ミニ)、USB Type-C、DC IN
電源ACアダプター(付属)/電池駆動には非対応
消費電流160mA
外形寸法147(W)×230(D)×72(H)mm ※ペダル最大傾斜時の高さ96mm
質量1.7kg
付属品ACアダプター、ゴム足×4、チラシ、保証書

消費電流160mAは、コンパクト・エフェクターとしては小さくない数字です。パワーサプライの空き容量は事前に確認しておくと安心できます。また、一定時間操作しないと電源が切れるAUTO OFF機能が働きます(20分)。切っておくこともできますが、その場合は消費電力が増えます。

よくある質問

電池でも動きますか?

電池駆動には対応していません。付属のACアダプター、またはDC IN端子への給電で動作します。

ベースでも使えますか?

使えます。INPUT端子はギター/ベースの接続に対応しています。

USB端子でオーディオやMIDIのやり取りはできますか?

できません。USB Type-C端子はプログラム・アップデート専用です。MIDIのやり取りや設定のバックアップ(バルクダンプ)は、MIDI IN/OUT端子経由で行います。

外部のフットスイッチやペダルは追加できますか?

CTL1,2/EXP2端子に、別売のフットスイッチ(FS-5U/FS-6/FS-7)を2つ分、またはエクスプレッション・ペダル(EV-30、FV-500L、FV-500H、Roland EV-5)を接続できます。

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この記事を書いた人

13歳よりエレキギターを始め、学生時代はバンド活動に明け暮れる。音響機器やPAの基礎を専門学校で学びつつ、18歳頃にアルバイトとして始めた大手楽器店にて楽器の買い取り業務を担当。約10年間にわたり音楽機材の買取査定、販売・リペアなどに携わり、数多くのエフェクターに触れる。楽器店退職後、2009年よりエフェクター専門サイト『EFFECTOR COLLECTION BOX』の運営をスタート。

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