重いアンプを担いでスタジオへ向かい、現場のアンプ相性に合わせてゼロから音を作り直す。そんな毎回の消耗から解放してくれるのが、BOSS IR-2 Amp & Cabinetです。ボスコン・サイズの筐体にアンプ・シミュレーターとキャビネットIRローダーを収め、ペダルボードの最後段に繋ぐだけで音作りが足元で完結します。ライブでも自宅でもレコーディングでも、同じ「自分の音」を持ち運べる一台です。
96kHz/32bit float処理が支えるアンプらしい弾き心地
IR-2のサウンドの核となるのは、サンプリング周波数96kHz、内部演算32ビット浮動小数点による処理です。AD変換にはローランド/ボス独自のAF方式(Adaptive Focus method)を組み合わせ、DA変換は32ビット。メーカーによれば、実際のアンプをマイクで収音した際に得られるサウンドが緻密にシミュレートされているとされています。
注目したいのは、アンプ・タイプを切り替えるとトーンだけでなく弾き心地も変化する点です。ピッキングの強弱に呼応するレスポンスまで含めて設計されているため、単に音色を選ぶのではなく「アンプを持ち替える」感覚に近い操作感が得られます。
11種類のアンプ・タイプ+Celestion Digital IR、さらに自前のIRも
搭載アンプ・タイプは11種類。透き通るクリーンからエッジの効いたクランチ、モダンなスタック・アンプ系のハイゲインまでをカバーします。それぞれのタイプにはCelestion DigitalのキャビネットIRがあらかじめ組み合わされており、繋いだ瞬間から完成度の高い状態でスタートできる設計です。
そこから先は、専用アプリ「IR-2 IR Loader」(Windows/macOS)の出番です。手持ちのキャビネットIRを読み込めるユーザー・スロットは11(プリセットIRキャビネットと共通)。対応フォーマットはモノラル、最大500ms、44.1/48/96kHz、16ビット・リニア/24ビット・リニア/32ビット浮動小数点です。アンプ部とキャビネットIR部は個別にオン/オフできるため、「アンプ部だけ使って外部IRに送る」「IRだけ通してお気に入りのプリアンプを活かす」といった使い分けにも対応します。
シーン別・IR-2の活かし方
自宅練習:ペダルボードの音そのままをヘッドホンで
PHONES端子(ステレオ・ミニ)にヘッドホンを接続すれば、ボードのセッティングをそのまま反映した音でモニターできます。USB経由でPCやiOS端末のバッキング・トラックを再生しながら演奏することも可能です。なお、USB端子やPHONES端子の使用時は電池の消耗が早くなるため、メーカーはACアダプター(別売)の使用を推奨しています。
ライブ:会場のアンプに左右されない出音を
OUTPUT A(MONO)/OUTPUT Bの2系統をミキサーやギター・アンプへ接続すれば、作り込んだトーンをそのまま客席へ届けられます。本体のペダル・スイッチとCH SEL端子に接続した外部フットスイッチで2種類の音色を切り替えられるため、曲中のバッキングとリードの持ち替えにも対応します。
導入時に見落としやすいのが接続先の設定です。取扱説明書では、IR-2の性能を最大限に発揮させるために、接続するアンプの種類を必ず設定するよう案内されています。PA卓へ送る場合とギター・アンプへ送る場合で設定が異なるため、初回のセッティング時に確認しておくと安心です。
レコーディング:USB Type-Cで直結
USB Type-C端子をPCやiOS端末に接続すると、そのままオーディオ・インターフェイスとして機能し、ボードの音を高品位にDAWへ録音できます。iOS端末との接続にはLightning-USBカメラアダプター(市販品)が必要です。別途インターフェイスを用意せずに録音環境が整うのは、宅録派にとって大きな利点です。
既存ボードへの組み込みやすさ
コントロールはタイプ、GAIN、TREBLE、MIDDLE、BASS、LEVEL、AMBIENCEの各つまみ。アンプのフロント・パネルと同じ感覚で触れるため、マニュアルを読み込まなくても音作りを始められます。AMBIENCEつまみでは自然な残響量を調整できます。
SEND/RETURN端子を備えているため、ディレイやモジュレーションをアンプ部とキャビネットIR部の間に挟み込む定番のルーティングも構築可能。RETURN端子はTRSによるステレオ入力に対応しているので、ステレオ空間系との相性も良好です。バイパスはバッファード・バイパスを採用しています。
主なスペック
| サンプリング周波数 | 96kHz(内部演算32ビット浮動小数点) |
| アンプ・タイプ | 11種類 |
| プリセットIRキャビネット | 11(ユーザー・スロットと共通) |
| 接続端子 | INPUT/OUTPUT A(MONO)/OUTPUT B/SEND/RETURN(TRS)/CH SEL/PHONES/USB Type-C/DC IN |
| 電源 | 9V電池(6LR61, 6LF22)、ACアダプター(別売) |
| 消費電流 | 160mA(アルカリ電池での連続使用時間 約3.5時間) |
| 外形寸法 | 73(幅)×129(奥行)×59(高さ)mm |
消費電流160mAという数値は、パワーサプライを共用する場合に確認しておきたいポイントです。既存ボードに追加する際は、供給できる電流に余裕があるかを事前にチェックしておくとトラブルを避けられます。
よくある質問
- 電池だけで運用できますか?
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9V電池でも動作しますが、消費電流は160mAで、アルカリ電池使用時の連続使用時間は約3.5時間が目安です。USB端子やPHONES端子を使うとさらに消耗が早くなるため、メーカーはACアダプター(別売)の使用を推奨しています。
- 自分で用意したIRデータは読み込めますか?
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専用アプリ「IR-2 IR Loader」(Windows/macOS)を使えば読み込めます。スロット数は11で、プリセットIRキャビネットと共通です。対応フォーマットはモノラル・最大500ms・44.1/48/96kHzとなっています。
- ギター・アンプに繋いで使うこともできますか?
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可能です。OUTPUT A(MONO)/OUTPUT B端子をミキサーまたはギター・アンプに接続して使用できます。ただし取扱説明書では、接続するアンプの種類を設定するよう案内されているため、繋ぐ機器に応じた設定を行ってください。
まとめ
BOSS IR-2は、ペダルボードの最後段に据えるだけで音作りを完結させ、演奏環境の差をそのまま吸収してくれる存在です。11種類のアンプ・タイプとCelestion DigitalのIRという完成された出発点を持ちながら、ユーザーIRの読み込みやアンプ/キャビネットの個別オン/オフによって、使い込むほど自分仕様に寄せていける懐の深さも備えています。アンプ運搬の負担を減らしつつ音の一貫性を守りたい方にとって、検討する価値の高い一台といえます。

