ジェット機が通り過ぎるような、あの強烈なうねり。エドワード・ヴァン・ヘイレンがロック史に刻んだあのサウンドを生み出すのがフランジャーです。
コーラスやフェイザーと同じモジュレーション系に分類されますが、その音の個性は一線を画しています。薄くかければ音に奥行きと揺れが加わり、深くかければ誰もが振り返るほどのジェットサウンドに。「飛び道具」と呼ばれるゆえんがここにあります。
アナログ・デジタル・ミニサイズとさまざまな種類がある中から、この記事では定番機から個性的なモデルまで6機種を紹介しています。選び方のポイントもあわせてまとめたので、自分のスタイルに合う1台を見つける参考にしてください。
フランジャーとは
フランジャーは、入力した音に対してごく短い遅延を加え、その遅延時間を周期的に変化させることで特有のうねりを作り出すモジュレーション系エフェクターです。音の仕組みの上ではコーラスと近い親戚ですが、コーラスより極端に短い遅延時間を使うため位相の干渉が起きやすく、あの金属的なジェットサウンドが生まれます。
フェイザーとも混同されることがありますが、フェイザーは「位相のずれ」を利用する別の仕組みです。音の性質は似ていても、フランジャーのほうがよりダイナミックで派手なうねり方をするのが特徴です。
使い方の基本は「飛び道具」として、ここぞというタイミングで踏み込むスタイルです。サビ前やギターソロの冒頭など、インパクトを出したい場面で効果的に機能します。一方、RATEを遅めに設定して薄くかけ続けることで、コーラスに近い奥行き感を加える使い方もあります。
フランジャーの選び方
① アナログかデジタルか
フランジャーにはアナログ回路(主にBBD素子を使ったもの)とデジタル処理のモデルがあります。アナログは温かみのある太い揺れ感が特徴で、ビンテージ系サウンドとの相性が良好です。デジタルは音質が安定していて多機能なモデルが多く、扱いやすさに優れています。音の好みがまだ定まっていない段階では、BOSS BF-3のような信頼性の高いデジタル機から試してみるのが無難です。
② サイズと操作性
ペダルボードのスペースが限られているなら、ミニサイズのモデルも有力な選択肢です。ノブの数が少ないシンプル設計のものはセッティングを覚えやすく、はじめての1台に向いています。多パラメーターで細かく音作りをしたい場合は、ノブが4つ以上あるモデルを選ぶとよいでしょう。
③ 予算の目安
フランジャーは1万円以下の手頃なモデルから2万円台の名機まで、幅広い価格帯があります。1万円台前半でも十分実用的なモデルが揃っており、ライブ・練習ともに対応できます。まずは手頃な1台で音の傾向をつかんでから、必要に応じて上位機種を検討するのがおすすめです。
フランジャーエフェクターおすすめ6選
※価格は時期によって変動します。購入前に最新の価格をご確認ください。
BOSS BF-3|多機能な定番フランジャー
BOSSが手がけるフランジャーの現行モデルで、エフェクター市場の中でも長く支持を集めている定番機です。Standard・Ultra・Gate/Pan・Momentaryの4モードを搭載し、オーソドックスなジェットサウンドから断続的なスライサー系効果まで幅広く対応します。
ギター用とベース用の独立したインプット、ステレオアウト対応、タップテンポ機能と機能面も充実。1万円台という価格帯に対して得られる汎用性は高く、はじめてフランジャーを導入する方にまず候補に挙げたい1台です。
MXR M152 Micro Flanger|2ノブで扱いやすいアナログ機
80年代から続くロングセラー、MXRのアナログフランジャーです。RATEとREGENのふたつのノブだけというシンプルな設計で、直感的に好みのサウンドに持っていけます。BBD回路ならではの温かみのある揺れ感は、派手すぎない自然なフランジャーサウンドを求める方にぴったりです。
トゥルーバイパス仕様でエフェクトオフ時の音質劣化を最小限に抑えられる点も好評です。1万円以下という価格帯も含め、最初の1台として選びやすいモデルです。
MXR M117R Flanger|ジェットサウンドの代名詞、名機リイシュー
1970年代に登場したMXRの名機「M117」を現代仕様で復刻したモデルです。エドワード・ヴァン・ヘイレンがかつて愛用したことで広く知られており、あのジェットサウンドを手元で再現したい方の定番の選択肢となっています。
Manual・Width・Speed・Regenの4ノブで、ジェットサウンドからコーラス・ビブラートに近い効果まで幅広い音作りが可能です。18V動作(9V電池2本または18V専用アダプター)のため、購入前に電源環境の確認をお忘れなく。なお、シグネチャーモデルのEVH117 Flangerには、ワンタッチでエディのサウンドを呼び出せるEVHスイッチが搭載されており、よりダイレクトにあのサウンドを再現したい方はそちらも候補に挙がります。
TC Electronic Vortex Mini Flanger|スマートフォンで音色を変えられる次世代機
「TonePrint」機能を搭載したTC Electronicのミニサイズフランジャーです。スマートフォンや専用アプリから音色データをペダルに転送できる仕組みで、プロギタリストたちが詰め込んだサウンドをそのまま書き込んで使えます。
デジタル処理でありながらドライ音はデジタル変換されない設計のため、アナログ的な温かみを残したサウンドに仕上がっています。TrueバイパスとBufferedバイパスの切り替えにも対応。音色の柔軟性を重視する方に向いています。
Electro-Harmonix NEO Mistress|70年代名機を小型化、独自のFilter Matrixが魅力
Electro-Harmonixが1970年代から展開するアナログフランジャー「Deluxe Electric Mistress」のサウンドをコンパクトな筐体に凝縮したモデルです。RATEとFEEDBACKの2ノブというシンプルさながら、独特の「Filter Matrix」モードが大きな特徴となっています。
Filter Matrixモードでは揺れの周期が切り離され、動きのないフランジャー独特の固定フィルター効果が得られます。コーラスにも歪みにも馴染む温かいアナログサウンドで、個性的な音作りを楽しみたい方に向いています。
Ibanez FLMINI|アナログBBDを積んだ省スペース設計
手のひらサイズの筐体にアナログBBD回路を搭載したミニフランジャーです。ビンテージフランジャー特有の温かみと厚みのある揺れを再現しつつ、コンパクトなボディでペダルボードのスペースを節約できます。
メタル筐体で耐久性も高く、1万円台という価格帯でアナログサウンドを手軽に導入できます。すでにペダルボードが埋まってきた方や、省スペースでモジュレーションを追加したい方に向いている1台です。
ボードでの接続位置
フランジャーは一般的に、歪み系エフェクターの後段、ディレイ・リバーブの前段に接続するのが基本です。
チューナー → コンプレッサー → 歪み系 → フランジャー → ディレイ → リバーブ
ただし接続順に絶対的なルールはありません。歪みの前に置けば音全体がうねるような効果が得られますし、アンプのエフェクトループに接続することで原音への影響を最小限にしながらかける方法もあります。いろいろ試しながら自分の好みの位置を探してみてください。
よくある質問
- フランジャーとコーラスの違いは何ですか?
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どちらも「音に遅延を加えて揺れを作る」モジュレーション系エフェクターですが、フランジャーはコーラスよりも極端に短い遅延時間を使うため、位相の干渉が起きやすく、あの金属的なジェットサウンドが生まれます。コーラスが音を”分厚くする”イメージなのに対し、フランジャーは音を”うねらせる”イメージです。
- フランジャーとフェイザーはどう違いますか?
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フランジャーは「遅延」を使って音のうねりを作るのに対し、フェイザーは「位相のずれ」を利用する別の仕組みです。音の性質は似ていますが、フランジャーのほうがより派手で金属的なサウンドになりやすく、フェイザーはよりなめらかでシュワシュワとした揺れ感が特徴です。
- フランジャーははじめてでも使いこなせますか?
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操作自体はシンプルなモデルが多く、はじめてでも取り入れやすいエフェクターです。まずRATEを遅め・深さを浅めに設定してサウンドを確認し、徐々に深くかけていくと感覚をつかみやすいです。BOSS BF-3やMXR M152のようにノブ数が少ないモデルから始めると、より扱いやすいでしょう。
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