QUICK GUIDE
1系統のMIDI信号を、5つのMIDI THRUへ同時に配るKENTONのスルーボックス。各出力に独立したドライバーを備え、遅延は1マイクロ秒未満。MIDI対応ペダルが増えたボードでも、数珠つなぎに頼らず配線をすっきり整理できます。
- ブランド
- KENTON
- 種類
- MIDI機器
- 対応楽器
- ギター用・ベース用
MIDIで操作できるペダルが2台、3台と増えてくると、悩ましいのが配線です。MIDIコントローラーやスイッチャーから出る信号は1系統なのに、受け取りたい機器は複数ある。そんなときに1本のMIDI信号を5本に分けてくれるのが、イギリスのKENTON(ケントン)が手がけるTHRU-5です。手のひらに収まるアルミ製の小さな箱で、ペダルボードの隅にも置きやすいサイズです。
MIDIスルーボックスとは
MIDI機器を複数つなぐ方法としてよく使われるのが、各機器のMIDI THRU(またはOUT/THRU兼用端子)から次の機器へ送る「数珠つなぎ」です。ただ、この方法は台数が増えるほど配線の順番に気を使いますし、途中の機器がTHRU端子を持っていなければそこで止まってしまいます。
MIDIスルーボックスは、受け取った信号をそのまま複数の端子へ同時に送り出す機器です。送り元から各機器へ並列に配れるので、配線がシンプルになり、1台を外しても残りの機器には影響しません。
THRU-5でできること
THRU-5は、MIDI INに入った信号を5つのMIDI THRU端子へ同じ内容でコピーして出力します。クロック、システムエクスクルーシブ(SysEx)、MIDIタイムコード(MTC)を含むすべてのMIDIメッセージに対応し、MPEにも対応しています。中身を加工したりフィルターしたりする機能はなく、「1つを5つに分ける」ことに徹した機器です。
- MIDI IN ×1 → MIDI THRU ×5(すべて5ピンDIN)
- 各THRUに独立したドライバーを搭載
- MIDI INはオプトアイソレート(光学的に絶縁)
- 遅延は1マイクロ秒未満
- クロック・SysEx・MTCを含むすべてのMIDIメッセージとMPEに対応
- 電源は9V DC センタープラス(アダプター付属)
端子と信号まわりの特長
5つのMIDI THRUには、それぞれ独立したドライバーが用意されています。1つの出力を無理に分岐させるのではなく、各端子が個別に信号を送り出す設計です。また信号はシュミットトリガーで整形してから送り出されます。
MIDI INはオプトアイソレート方式で、送り元の機器とは電気的に絶縁されています。遅延は1マイクロ秒未満なので、テンポ同期のためのMIDIクロックを配る用途でも気にする必要はほぼありません。
ケースはヘアライン仕上げのアルミ製。本体には「ACTIVE」と書かれたLEDが1つあり、電源とデータの状態を表示します。
電源はセンタープラスに注意
THRU-5の電源は9V DCですが、プラグの極性はセンタープラスです。一般的なエフェクター(センターマイナス)とは逆なので、エフェクター用のパワーサプライからそのまま給電すると極性が合いません。
付属のスイッチング式ACアダプター(各国対応の交換プラグ付き)を使うのがいちばん確実です。パワーサプライから給電したい場合は、極性反転ケーブルを使うか、極性を切り替えられる出力を使いましょう。消費電流は待機時10mA、最大でも40mAと小さく、電流容量に困ることはまずありません。
ペダルボードでの使いどころ
たとえば、MIDIコントローラーやスイッチャーから出るプログラムチェンジを、Eventide H90やStrymon BigSkyのようなMIDI対応ペダルへまとめて送る、といった使い方です。1回の操作で複数のペダルのプリセットを同時に切り替えたり、テンポ同期のためのMIDIクロックを全員に配ったりできます。
BOSS MS-3のようにMIDI OUTでMIDI対応機器を操作できるスイッチャーと組み合わせるのも、分かりやすい使い方のひとつです。なお、送り元・受け側の端子が3.5mm TRSなどの場合は、5ピンDINとの変換ケーブルが必要です。TRS-MIDIは機器によって配線の規格が異なることがあるので、それぞれの取扱説明書で確認しておきましょう。
配るならTHRU-5、混ぜたいなら別の機器を
MIDI対応ペダルを複数台、1つのコントローラーで動かしたい。数珠つなぎの配線を整理したい、THRU端子を持たない機器にもMIDIを届けたい。そんな場面でTHRU-5はぴったりです。小さなアルミケースなので、ボードの隅にも収まります。
一方、MIDIの送り元が2系統以上ある場合や、メッセージのフィルター、チャンネルの振り分けをしたい場合は、MIDIマージャーやルーティング機能を持つ機器が必要です。THRU-5は分配専用で、信号を混ぜたり加工したりはできません。MIDI以前のテンポ同期規格であるDIN SYNCを分けたいならSYNC-5、MIDIとDIN SYNCを同期させたいならD-Syncを選びましょう。
THRU-5の仕様と電源
| 種類 | MIDIスルーボックス |
| 端子 | MIDI IN ×1(オプトアイソレート)、MIDI THRU ×5(いずれも5ピンDIN) |
| 対応メッセージ | クロック、SysEx、MTCを含むすべてのMIDIメッセージ、MPE対応 |
| 遅延 | 1マイクロ秒未満 |
| 表示 | ACTIVE LED(電源・データ表示) |
| 電源 | 9V DC、2.1mm、センタープラス(安定化・非安定化どちらも可)。スイッチング式ACアダプター付属 |
| 消費電流 | 待機時10mA、最大40mA |
| サイズ | 100×50×35mm |
| 重量 | 110g(アダプター含まず)、200g(アダプター含む) |
| ケース | ヘアライン仕上げのアルミ製 |
仕様はKENTON公式の製品情報によるものです。
よくある質問
- MIDI OUTとMIDI THRUの違いは何ですか?
-
MIDI OUTはその機器が自分で作ったMIDI信号を送り出す端子、MIDI THRUは受け取った信号をそのまま次へ送る端子です。THRU-5の5つの出力はすべてTHRUで、MIDI INに入った信号を同じ内容で送り出します。
- エフェクター用のパワーサプライで使えますか?
-
電圧は9V DCですが、極性がセンタープラスです。一般的なエフェクター用の出力(センターマイナス)とは逆なので、極性反転ケーブルを使うか、付属のアダプターで給電してください。消費電流は最大40mAです。
- MIDIクロックも分配できますか?
-
できます。KENTONはクロック、SysEx、MTCを含むすべてのMIDIメッセージに対応するとしています。
- 3.5mm TRSのMIDI端子を持つペダルにもつなげますか?
-
THRU-5の端子は5ピンDINなので、TRS端子の機器とは変換ケーブルが必要です。TRS-MIDIは機器によって配線の規格が異なることがあるため、つなぐ機器の仕様を確認してください。
- 複数のMIDIコントローラーの信号をまとめられますか?
-
できません。THRU-5は1系統の入力を5系統に分ける機器です。複数の送り元をまとめるには、MIDIマージャーが必要です。
まとめ
THRU-5は、1系統のMIDI信号を5系統へ同時に配る、シンプルなMIDIスルーボックスです。独立したドライバーとオプトアイソレートの入力、1マイクロ秒未満の遅延と、地味ながら信頼できる作りで、MIDI対応ペダルが増えてきたボードの配線をすっきりさせてくれます。
使うときに気をつけたいのは、電源がセンタープラスであることだけ。そこさえ押さえておけば、ボードの隅で静かに働き続けてくれる1台です。
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