バッキングとリードで歪みの量を切り替える方法はいくつもありますが、歪みペダルを2台並べると、音色のキャラクターが揃わなかったり、切り替えた瞬間に音量差が出たりと、調整に手間がかかります。Shin’s Music「Dumbloid Twin SP/ODS」は、この課題をひとつの筐体で解決するために作られた、完全独立2チャンネル仕様のDumbloidです。
CH1にDumbloid Special、CH2にDumbloid Over Drive Special。性格の異なる2つの回路をそれぞれ独立して設定し、フットスイッチひとつで行き来できます。
Dumbloid Twin SP/ODSはどんなペダルか
Dumbloid Twin SP/ODSは、伝説のDアンプをベースに開発されたDumbloidシリーズの、デュアルチャンネル版にあたるモデルです。オーバードライブであると同時にプリアンプとしても設計されており、2つのチャンネルは回路レベルで完全に独立しています。
通常のTwinとSP/ODSの違い
Dumbloid Twinには2つの仕様があります。通常のTwinは、CH1・CH2ともにDumbloid Specialと同じ回路構成で、同系統のトーンをゲイン違いでプリセットしておく使い方に向いています。
一方のSP/ODSは、CH2の回路がOver Drive Special(ODS)に置き換わったカスタム仕様です。ゲイン量そのものが異なる2つのモデルを一台にまとめているため、チャンネル間で音の性格を大きく振り分けられます。
2チャンネルそれぞれに独立したコントロール
CH1・CH2のどちらにも、Drive、Accent、Tone、Volumeの4つのノブと、Jazz/Rockスイッチが個別に用意されています。片方のチャンネルを追い込んでも、もう片方の設定には一切影響しません。バッキング用とソロ用のトーンをそれぞれ最適な状態で作り込み、そのまま呼び出せる構成です。
CH1とCH2、それぞれのキャラクター
CH1:Dumbloid Special
CH1に搭載されているのは、Dumbloidシリーズの中核をなすSpecialの回路です。真空管を思わせるスムースなコンプレッション感が持ち味で、ピッキングの強弱がそのまま音の表情に反映されます。
Driveを絞れば、ギターの信号を太らせるプリアンプ的な使い方ができ、上げていけばアンプライクなクランチからドライブサウンドへ。Specialは、John Mayer、Brad Paisley、Marcus Kingをはじめ多くのプレイヤーが定番として使い続けているモデルでもあります。
CH2:Dumbloid Over Drive Special
CH2のODSは、80’sトーンに必要なゲイン量と低域の押し出しを求めるプレイヤーのために作られたモデルです。STDよりもゲインとサチュレーションゲインを引き上げることで、荒れずに伸びるスムースなドライブフィールを獲得しています。
単にゲインを足しただけではなく、内部パーツの定数を変更することでミッドレンジの厚みとブライトネスを両立させている点が、このモデルの設計上の要です。ODSはOz NoyやAllen Hindsといったミュージシャンズ・ミュージシャンからの支持が厚いモデルとしても知られています。
CH1をバッキングやクランチ、CH2をリードやより深く歪ませたトーンに割り当てれば、アンプ2台を使い分けるような感覚で音を切り替えられます。
音を決めるAccentとJazz/Rockスイッチ
Accentはプレゼンス・コントロール
Dumbloidを語るうえで欠かせないのがAccentノブです。これはトーン回路の一部というより、アンプのプレゼンスに近い働きをします。パワーアンプ段をドライブさせたときのような感触で、上げていくほどハードでモダンな鳴りに変化します。
バンドの中での抜け方を決めるのは、Toneよりもこのノブであることが多く、ピッキングのアタック感の出方もここでコントロールできます。
Jazz/Rockスイッチは単なるハイカットではない
両チャンネルに備わるJazz/Rockスイッチは、Dアンプのボイシングスイッチを参考に、開発の初期段階から組み込まれてきた機構です。Rockモードは通常のDumbloidと同じストレートなオーバードライブ、Jazzモードはアタックとハイのぎらつきを抑えた、全体的に丸みのあるトーンになります。
ここで押さえておきたいのは、Jazzモードが一般的なアンプのBrightスイッチのような単純なハイカットではないという点です。初段で十分にドライブさせた信号から余分な成分を一度そぎ落とし、後段で再びドライブさせるという二段構えの設計になっており、Dアンプと同じ発想が用いられています。その結果、暗く沈んだ音になることなく、倍音成分を残したままウォームなトーンが取り出せます。
2チャンネル分のスイッチが独立しているため、たとえばCH1をJazz、CH2をRockに設定するといった組み合わせも可能です。
セッティングの幅とプリアンプとしての使い方
公式マニュアルには、Dumbloid Twinの性格を掴むための4つのサンプルセッティングが掲載されています。
- FAT PREAMP:Driveを0にし、トランジスタアンプの直前に接続する使い方。チューブアンプを鳴らしているような滑らかで押し出しの強いサウンドが得られます。FAT具合はToneで調整します。
- Blues Over Drive:Driveを4〜6あたりに設定した、標準的なドライブペダルとしての使い方。チューブで歪ませたようなFATで滑らかなドライブが得られます。
- FAT Heavy Drive:Driveを7〜10まで上げた深めのセッティング。ピッキングのアタック感はAccent、音抜けはToneで詰めていきます。
- LINE PREAMP:ライン接続用プリアンプとしての使い方。PCへの接続時やヘッドフォンモニター時に、ライン臭くない自然なサウンドが得られます。
ドライブペダルとしてだけでなく、ライン録りやアンプ手前のプリアンプとしても設計されていることがわかります。2チャンネルあるということは、この使い分けを一台の中で同時に持てるということでもあります。
Toneを必要以上に上げると発振する場合があります。音抜けを追い込む際は、Toneを上げきる前にAccentでの調整を試すのがおすすめです。
Purple Scratchという仕上げ
Shin’s Musicのペダルは、筐体のフィニッシュを複数のバリエーションから選べるのも特徴です。Hammer系、Velvet系、Flame系など多彩な仕上げが用意されており、Purple Scratchはその中のひとつ。深い紫にスクラッチの質感をまとわせた外装で、ヴィンテージアンプのトーレックスを思わせる佇まいがあります。
Dumbloidは一台ずつ手作業で仕上げられているため、同じフィニッシュ名でも個体ごとに表情が微妙に異なります。ボード上での見た目を重視して選ぶ楽しみがある点も、このブランドならではです。
スペック
| タイプ | 完全独立2チャンネル オーバードライブ/プリアンプ |
| CH1 | Dumbloid Special回路 |
| CH2 | Dumbloid Over Drive Special回路(ハイゲイン) |
| コントロール | Drive/Accent/Tone/Volume(各チャンネル独立) |
| スイッチ | Jazz/Rockスイッチ(各チャンネル独立) |
| 入力インピーダンス | 1MΩ |
| 出力インピーダンス | 10kΩ |
| 消費電流 | 約10mA |
| 電源 | 9V電池(006P)/DC9V(2.1φ・センターマイナス)※DCジャック優先 |
| 生産国 | 日本 |
クリーンでノイズの少ないサウンドを得るには、006P電池、またはレギュレートされたパワーサプライの使用が推奨されています。
よくある質問
- 通常のDumbloid Twinとの違いは何ですか?
-
通常のTwinはCH1・CH2ともにDumbloid Specialと同じ回路構成です。SP/ODSはCH2にOver Drive Specialの回路を搭載しており、ゲイン量の異なる2つのモデルを一台で使い分けられます。
- Accentノブはどんな役割ですか?
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プレゼンス・コントロールです。パワーアンプ段をドライブさせたような効果があり、上げるほどハードでモダンな質感になります。バンドの中での音抜けやアタックの出方を調整する際に使います。
- Jazzモードは音がこもりませんか?
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一般的なBrightスイッチのような単純なハイカットではありません。初段でドライブさせた信号から余分な成分をそぎ落とし、後段で再度ドライブさせる設計のため、倍音を残したままウォームなトーンになります。
- パワーサプライは何を使えばよいですか?
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消費電流は約10mAで、一般的なセンターマイナス9Vアダプター(2.1φ)に対応します。ノイズを抑えるには、レギュレートされたパワーサプライか006P電池の使用が推奨されています。
- 歪ませずに使うこともできますか?
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できます。Driveを絞ってアンプ手前のプリアンプとして使う設定や、ライン接続用プリアンプとして使う設定が公式に想定されています。
まとめ
Dumbloid Twin SP/ODSは、性格の違うDumbloidを2台分、独立した状態で一台に収めたモデルです。CH1のSpecialでニュアンス重視のトーンを、CH2のODSでゲインと押し出しのあるトーンを作り込み、フットスイッチで行き来する。ペダルを2台並べたときに生じる音色の不統一やセッティングの手間から解放されるのが、このモデルの実質的な価値です。
Accentによるプレゼンス調整と、両チャンネルに独立して備わるJazz/Rockスイッチを組み合わせれば、作り込める音の範囲はさらに広がります。ダンブル系のレスポンスを軸にしながら、バッキングからリードまでを一台で完結させたいプレイヤーにとって、明確な答えになるペダルです。
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