イギリスのThorpy FX(ソルフィーエフエックス)が手がけるCAMOFLANGE MK2は、Lovetone、そしてDinosauralのペダルを設計してきたDan Cogginsとの共作から生まれたフルアナログ・フランジャーです。フランジャーというと飛行機が頭上を通過するような派手なスウィープを思い浮かべることが多いのですが、このペダルはその一点だけを狙ったものではなく、6つのノブが互いに干渉しながら、ごく浅い揺らぎから金属的な自己発振までを地続きにつないでいきます。
Dan Cogginsとの共作から生まれたフルアナログ回路
CAMOFLANGEという名前は、いくつものフランジングのスタイルが1台のなかに潜んでいることに由来します。Thorpy FXとDan Cogginsは、フランジャーが使われてきた各年代の名盤の音をできる限り再現できるペダルを目指し、そのうえで操作そのものはシンプルに保つという方針で設計を進めました。内部はすべてアナログで、BBD(バケツリレー素子)を用いたディレイラインをドライ信号と重ね合わせることで、あの独特な櫛形の音色変化が生まれます。
Dan Cogginsにとって、CAMOFLANGEはLovetone時代以降で2作目となるモジュレーション設計にあたります。回路は1%金属皮膜抵抗、WIMAやPanasonicのコンデンサ、スルーホールメッキ処理のPCBで構成され、ノブを落とし込んだ傾斜フロントとトップマウントジャックを備えたレーザーカット&アノダイズ処理の筐体に収められています。
6つのコントロールとその相互作用
CAMOFLANGE MK2のノブは、それぞれが独立して効くというより、隣り合うパラメーターの効き方そのものを変えていきます。とくにHARMONICSとTREBLE、MANUALとDEPTHの2組は、片方の設定次第でもう片方の可動範囲が変わるため、順番に触っていくと音の変化が掴みやすくなります。
HARMONICS
センターがゼロとなる、ディレイパスの帰還量を決めるコントロールです。中央では帰還がまったくかからず、そこから左右どちらへ動かしても、ディレイ音のみの出力がディレイ入力へ戻される量が増えていき、最終的には自己発振に至ります。中央をはさんだ左右で極性が逆になっているため、反時計回りでは偶数倍音、時計回りでは奇数倍音が強調され、同じ帰還量でも異なる響きになります。
MANUAL(DELAY TIME)
BBDのクロックレートを設定するノブで、反時計回りいっぱいでディレイタイムが最短となり、時計回りに進めるほど比例して長くなります。DEPTHを完全に絞った状態ではこのMANUALがディレイタイムを支配するため、ノブを手で回すことでスウィープそのものを演奏できます。LFOによる自動の揺れを止めて、ノッチの位置を手動で動かしていく使い方ができるということです。
TREBLE
ディレイパスに対してのみ、中高域から高域にかけてのプリエンファシスを加えるコントロールです。反時計回りいっぱいでゼロとなり、時計回りに進めるほど強調されていきますが、ドライ信号には影響しません。高域におけるディレイパスのゲインを決めるため、HARMONICSがどの位置で自己発振へ移行するかにも直結します。発振が暴れすぎるときは、この2つをセットで考えると収まりがつきます。加えて、ここでの帯域変化はウェットとドライが打ち消し合う/強め合う度合いにも作用するので、出力全体の音色そのものが変わります。
BLEND
反時計回りいっぱいでバッファーを通ったストレートなドライ信号のみ、時計回りいっぱいでディレイ音のみとなり、その間のあらゆる比率を連続的に選べます。センター付近でドライとウェットがおよそ1:1となり、このときもっともノッチが深くなります。時計回りに振り切るとピッチの揺れによるヴィブラートやダブリング的な効果が得られ、反対に反時計回り寄りではノッチの浅い、控えめなフランジングになります。
DEPTH
MANUALで設定したディレイタイムに対してLFOの波形を加えていくコントロールで、時計回りいっぱいではLFOがほぼ完全にディレイタイムを支配します。MANUALと組み合わせて使うことが前提になっており、MANUALはLFOスウィープの範囲を偏らせたり微調整したりする役割を担います。ただしDEPTHを上げていくほどMANUALの影響は相対的に小さくなっていきます。
RATE
フリーランニングLFOの周波数を決めるコントロールで、反時計回りいっぱいのごく緩やかな揺れから、時計回りいっぱいの高速な揺れまでを無段階に設定できます。実際にディレイタイムへ加わる振幅は、DEPTHの設定に応じてゼロから最大まで比例して変化します。
ウェットとドライを別々に出力できる
CAMOFLANGE MK2はウェットアウトとドライアウトを独立して備えています。2台のアンプやミキサーの2チャンネルへ振り分ければ、揺れの成分と原音を空間的に分離した鳴らし方ができますし、ウェット側だけを取り出して別のエフェクトへ送るといったルーティングも組めます。1台のアンプで使う場合はBLEND一本で混ぜ具合が決まりますが、出力を分けたときにはBLENDが左右それぞれへ送る信号の性格を決めるノブとして働きます。
MK2で変更された点
- 外観デザインの刷新
- 内部の電圧設計を見直し、18Vで動作させる構成へ変更
- よりヘッドルームの高いBBDを採用
変更は内部の動作条件とヘッドルームに関わる部分が中心で、初代CAMOFLANGEが持っていた音の性格そのものは引き継がれています。
電源とバイパスについて
MK2は内部で18Vへ昇圧・安定化する設計ですが、供給する電源はあくまで9V DC・センターマイナス(2.1mmバレル)です。18Vなど異なる電圧や逆極性を与えると保護回路が働いてペダルが停止し、復旧にはThorpy FXへの返送修理が必要となり、この場合は保証の対象外となります。消費電流は150mAで、電源側には200mA以上の供給能力が求められます。
バイパスはバッファードバイパスで、トゥルーバイパスではありません。BLENDを反時計回りいっぱいにしたときのドライ音も、このバッファーを通った信号になります。ボードの前後関係によってはバッファーの位置を意識して組む必要がありますが、逆にいえばケーブルの長いセットアップでは信号の劣化を抑える方向に働きます。
CAMOFLANGE MK2の仕様
| コントロール | HARMONICS、MANUAL(DELAY TIME)、TREBLE、BLEND、DEPTH、RATE |
| アウトプット | ウェット/ドライ 独立2系統 |
| バイパス | バッファードバイパス |
| 電源 | 9V DC センターマイナス(2.1mm)/内部で18Vへ昇圧・安定化 |
| 消費電流 | 150mA(電源は200mA以上を要求) |
| サイズ | 100(W)× 125(L)× 53(H)mm ※ノブ上端まで |
| 使用部品 | 1%金属皮膜抵抗、WIMA/Panasonicコンデンサ、スルーホールメッキPCB |
| 保証 | 製造上の不具合に対し2年(初回購入者のみ、譲渡不可) |
| 製造 | イギリス |
よくある質問
- 18Vのパワーサプライで駆動できますか?
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できません。18Vというのは内部で昇圧された後の動作電圧で、外部から供給するのは9V DC・センターマイナスのみです。異なる電圧を加えると保護回路が作動して動作が止まり、修理には返送が必要になります。
- トゥルーバイパスですか?
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バッファードバイパスです。オフの状態でも信号はバッファーを経由します。
- フランジャー以外の揺れも作れますか?
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BLENDを時計回りいっぱいにするとディレイ音のみの出力となり、ピッチの揺れによるヴィブラートやダブリング的な効果が得られます。逆に反時計回り寄りではノッチの浅い控えめな揺れになります。
- 自己発振させることはできますか?
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HARMONICSをセンターから左右どちらかへ振り切っていくと帰還量が増え、最終的に自己発振に至ります。発振に移行する位置はTREBLEの設定によって変わるため、2つを合わせて調整することになります。
- 揺れを止めて手動でスウィープできますか?
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DEPTHを反時計回りいっぱいまで絞るとLFOによる揺れが加わらなくなり、MANUALがディレイタイムを決めます。この状態でMANUALを手で回すことで、ノッチの位置を任意に動かせます。
CAMOFLANGE MK2は、ノブの数こそ6つに抑えられているものの、それぞれが他のパラメーターの効き方を書き換えていくため、触れば触るほど手前の設定に戻りたくなる種類のペダルです。派手なジェットサウンドを求めて手に取ったとしても、DEPTHを絞ってMANUALを手で回している時間のほうが長くなる、そんな遊び方のできる一台といえます。
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