Finding That Tone / BBlues One Matte Black Low Gain Overdrive オーバードライブ 【オーバードライブ】

Finding That Tone / BBlues One Matte Black Low Gain Overdrive オーバードライブ 【オーバードライブ】

ジョン・メイヤーが『Continuum』で聴かせた、クリーンすれすれなのに芯だけが太く鳴るトーン。その中心にあったのがMarshallのBluesBreakerでした。ただ、この回路はノブが3つしかありません。ピックアップの出力が強かったり、アンプがもともと明るかったりすると、狙った場所に音が落ち着かないことがあります。スペインのハンドメイド・ブランドFinding That Toneが作るBBlues Oneは、その回路をゼロから設計し直し、詰めるための手数を増やしたローゲイン・オーバードライブです。

目次

3ノブのmk1から、4ノブのmk2へ

BBlues Oneの最初のバージョン(mk1、3ノブ)が登場したのは、MarshallがBluesBreakerの復刻版を出すより前のことでした。当時オリジナルは高額で、正規のリイシューも存在しません。Finding That Toneはその回路を、長所も短所もそのまま含めて忠実に再現することを選び、初期回路と後期回路を切り替えられる機能まで持たせています。

現行のmk2(4ノブ)では方針が変わりました。90年代のオリジナルが抱えていた不便な部分に手を入れるため、BluesBreaker回路を完全に設計し直しています。音量が足りない、ゲインの効きが素直でない——そうした実用面の課題を潰しつつ、鳴りの性格そのものは元の回路のまま残す。追加されたコントロールはすべて、この「元の音を保ったまま扱いやすくする」という一点に向いています。

『Continuum』のトーン、そしてその外側

Finding That Toneが基準に置いたのは、Two Rockのアンプ、Black Oneストラト、そしてBluesBreakerで作られた『Continuum』のサウンドです。ほとんどクリーンで、ベルが鳴るように倍音が広がる音。構造としてはシンプルですが、再現の難しさはペダル単体では完結しないところにあります。ピックアップがアグレッシブすぎても、アンプが明るすぎても、あの重心の低い響きにはなりません。BBlues Oneに増えたノブとスイッチは、その差分を埋めるためのものです。

とはいえ、使い道がメイヤー系のトーンに限られるわけではありません。超ブライトで輪郭の立った音から、リッチでダークなフルボディのサウンドまで、EQの振れ幅はかなり広く取られています。低域方向の余裕も大きく、ギター以外の楽器に使っても破綻しにくい設計です。

4つのノブ:それぞれが担当している仕事

VOLUME|12時がユニティ、上半分はすべてブースト用

BluesBreaker回路の弱点として長く指摘されてきたのが、音量の絶対的な不足でした。BBlues One mk2ではボリューム回路そのものを置き換え、ノブ12時の位置で原音と同じ音量(ユニティ)が出るようにしています。つまり、そこから先の残り約50%は丸ごとブースト用の余白です。オーバードライブとして踏んだときに音量が痩せないのはもちろん、アンプや後段のペダルを押し込むブースターとしても実用的な出力が確保されています。

GAIN|反応の鈍かったカーブを引き直す

オリジナルのBluesBreakerは、ゲインを上げてもほぼクリーンのままで、最後の1/4回転あたりで急に歪み出すという癖のある効き方をしていました。BBlues Oneはポットのカーブを見直し、ノブの全域を通して歪みが素直に増えていくよう変更しています。最大ゲイン量そのものは据え置きで、あくまで「そこに至るまでの道筋」を整えた形です。ローゲイン・オーバードライブとして常時オンで使う場合、この差はかなり効いてきます。

TONE|BluesBreaker本来の中高域フィルター

オリジナル回路から引き継がれたコントロールで、中域と高域をまとめて扱う総合フィルターとして働きます。上げれば音が前に出てミッドが立ちますが、同時にトレブルも増えます。抜けは欲しいが高域が耳につく——そのときに後述のSMOOTHで頭を抑える、という組み合わせが想定されています。

PRESENCE|歪んだ後の高域を持ち上げる

mk2で追加された新しいノブです。TONEと似ているようで役割が違い、こちらはクリップされた後の信号の高域を持ち上げます。とくにDEEPやSMOOTHをオンにして丸みが増したときに、失われた輝きを戻す方向で効きます。0%の位置がBluesBreaker純正の状態なので、まず0%から始めて、そこから必要な分だけ足していくのがFinding That Toneの推奨するアプローチです。

3つのトグルスイッチで土台のキャラクターを変える

BRIGHT(旧EARLY/LATER)

  • EARLY(下):90年代初期のBluesBreaker mk1に見られた仕様。ブライトネスとゲインを抑えた、甘くアグレッシブさの少ないトーンになります。グラスのように澄んだメイヤー系のクリーントーンにはこちらが向きます。
  • LATER(上):Marshallが90年代中期に部品定数を変更した後の仕様で、実際に流通したmk1個体の多くがこちらです。パンチとゲインが増え、明るく攻撃的な方向に振れます。

SMOOTH

クリッピングの仕組み自体に手を入れ、波形のピークを丸めるスイッチです。結果として高域の角が取れ、その分だけ中域が聴こえやすくなり、ベルベットのような質感に変わります。下がオフでBluesBreaker純正、上がオン。TONEを上げて高域が刺さったときの逃げ道として機能します。

DEEP

ICのフィードバックを変更して低域を持ち上げ、アンプの鳴りを一回り大きく、深く見せるスイッチです。下がオフでBluesBreaker純正、上がオン。ブライトなアンプやシングルコイルと組み合わせたときに重心を下げる手段として使えます。

内部トリムポット:DIODES CALIBRATION

筐体の中には、ダイオードへ送る電圧を調整するトリムポットが1つ備わっています。これを回すと歪みの飽和量が変わり、それに連動してGAINノブの効き方そのものも変化します。

  • Stock:11〜12時。BBlues One標準のダイオード・セッティングです。
  • Clean:反時計回り。飽和が減り、よりクリーン寄りになります。
  • Dirt:時計回り。ゲイン量が増します。

電源とボードへの収まり

電源は2.1mmセンターマイナスで、9V DCから18V DCまで対応します。18Vで駆動するとヘッドルームが広がりますが、差そのものは劇的なものではなく、9Vでも本来の性格は十分に出ます。ノイズと音質の面から、アイソレート出力のパワーサプライが推奨されています。消費電流は27mAです。

サイズは95 x 125 x 55mm。一般的なコンパクトエフェクターより横幅があるため、ボードに組み込む前に実寸で場所を確保しておくと安心です。

スペインでのハンドメイドと、Matte Blackという選択

Finding That Toneの製品はすべてスペインで手作業により組み上げられ、1台ずつ動作確認を経て出荷されます。裏を返せば、小さなキズや塗装のムラが個体ごとに生じる可能性もあります。これはハンドメイド製品の性質として理解しておきたい部分です。

標準ラインナップはShell Pink、Surf Green、Matte Black、Sonic Blue、Vintage Whiteの5色。このMatte Blackは、艶を抑えた黒にブラックのフェイスプレートを合わせた、色数を増やしたくないボードにも収まる仕上げです。さらに踏み込みたい場合は、ニトロラッカー、ファブリック、スエードといった素材やノブ/フェイスプレートの色まで選べるCustom Shop仕様も用意されています。

製品仕様

ブランドFinding That Tone(スペイン)
モデルBBlues One / Matte Black
タイプローゲイン・オーバードライブ
コントロールVOLUME / TONE / PRESENCE / GAIN
スイッチBRIGHT / SMOOTH / DEEP
内部調整DIODES CALIBRATION トリムポット(Stock / Clean / Dirt)
バイパストゥルーバイパス(ソフトスイッチング)
電源9〜18V DC/2.1mmセンターマイナス
消費電流27mA
サイズ95 x 125 x 55mm
生産スペインでのハンドメイド

よくある質問

9Vと18V、どちらで使うべきですか?

どちらでも本来の音は出ます。18V DCで駆動するとヘッドルームが広がり、ピッキングの強弱に対して余裕のある反応になりますが、その差は微妙なものです。ボードのパワーサプライに18V出力があれば試す価値はある、という位置づけで問題ありません。

PRESENCEはどこから設定すればいいですか?

0%から始めるのが基本です。0%の状態がBluesBreaker純正の高域バランスで、そこから好みに応じて足していきます。DEEPやSMOOTHをオンにして高域が落ち着きすぎたときに、必要な分だけ戻す使い方が効果的です。

mk1(3ノブ)と現行mk2(4ノブ)の違いは?

mk1はオリジナルBluesBreakerの回路を長所も短所も含めて忠実に再現したモデルでした。mk2は回路を完全に設計し直し、音量不足やゲインカーブの癖といった実用上の課題を解消したうえで、PRESENCEノブとSMOOTH/DEEPスイッチを追加しています。

ブースターとしても使えますか?

使えます。VOLUMEノブの12時がユニティで、そこから上は約50%の可変幅がすべてブースト用に確保されています。GAINを絞ってアンプや他のペダルを押し込む用途にも十分な出力があります。

内部のDIODES CALIBRATIONは触ったほうがいいですか?

出荷時のStock(11〜12時)が標準設定なので、まずはそのままで問題ありません。もっとクリーン寄りにしたい、あるいはゲイン量を増やしたいという明確な目的が出てきたときに、電源を抜いた状態で調整してください。

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この記事を書いた人

13歳よりエレキギターを始め、学生時代はバンド活動に明け暮れる。音響機器やPAの基礎を専門学校で学びつつ、18歳頃にアルバイトとして始めた大手楽器店にて楽器の買い取り業務を担当。約10年間にわたり音楽機材の買取査定、販売・リペアなどに携わり、数多くのエフェクターに触れる。楽器店退職後、2009年よりエフェクター専門サイト『EFFECTOR COLLECTION BOX』の運営をスタート。

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