「この音を出したい」と思ってエフェクターを調べ始めると、知らない名前がいくつも出てきます。オーバードライブ、リバーブ、コンプレッサー——それぞれ何が違うのか、最初はなかなか整理がつきません。
どんなエフェクターも「音にどんな変化を加えるか」で役割が分かれています。それがわかると、自分に今必要なものが見えてきます。
この記事では、歪み系・空間系・モジュレーション系など、5つのカテゴリに分けてそれぞれの特徴と使い方をまとめました。
エフェクターとは
エフェクターは、ギターとアンプの間につないで音を変化させる機材です。ペダル上面のスイッチを足で踏んでオン/オフを切り替え、好きなタイミングで音色を変えられます。
1台のエフェクターで1種類の効果を得るコンパクトエフェクターと、複数の効果を1台にまとめたマルチエフェクターの2種類があります。コンパクトは音作りの自由度が高く、マルチは省スペースで多機能という特徴があります。
つなぎ方はシンプルで、ギターのアウトプットジャックとエフェクターのINPUTをケーブルでつなぎ、エフェクターのOUTPUTからアンプのINPUTへ。複数つなぐときはエフェクター同士をパッチケーブルでつなぎます。
歪み系
歪み系は、音を意図的に歪ませるエフェクターの総称です。クリーンなギターの音に「ドライブ感」や「荒々しさ」を加えるもので、ロックやブルースには欠かせない存在です。歪みの強さによってオーバードライブ・ディストーション・ファズの3種類に分かれます。
オーバードライブ
3種類の中でもっとも自然な歪みが得られるエフェクターです。チューブアンプが音量を上げたときに生まれる、あたたかみのある歪みを再現するために作られました。軽く歪ませる程度から中程度の歪みまで幅広く対応し、アンプの手前に置いて音量と歪みを押し上げる「ブースター」として使う方法も一般的です。

ディストーション
オーバードライブよりも強い歪みを作り出すエフェクターです。ハードロックやヘヴィメタルで耳にするような、硬くシャープなサウンドが特徴。歪みの量を大きく稼げるため、クリーンなアンプでも十分なドライブ感が得られます。
ファズ
3種類の中でもっとも個性が強く、音が潰れたようなザラついたサウンドが特徴です。1960〜70年代のロックで多用され、ジミ・ヘンドリックスのサウンドとして世界的に広まりました。現代でも根強い人気があり、他の歪み系では出せない独特の音色を求めるギタリストに愛用されています。

空間系
空間系は、音に響きや奥行きを加えるエフェクターです。ギターの音だけでは表現しにくい「広がり」や「余韻」を生み出し、サウンドに立体感をもたらします。ディレイとリバーブが代表的な2種類です。
ディレイ
入力した音を一定時間遅らせて繰り返すエフェクターです。山びこのような効果で、音に厚みと広がりを加えます。繰り返しの回数や間隔を調整することで、薄くかけてサウンドに奥行きを出す使い方から、リズムに合わせた音の跳ね返りを作る使い方まで幅広く対応できます。
リバーブ
コンサートホールや部屋の残響音を再現するエフェクターです。音の余韻が自然に広がるため、ギターサウンドに空気感が生まれます。小さな部屋のようなこもった響きから、広大なホールのような広がりまで、設定次第でさまざまな空間を表現できます。

モジュレーション系
モジュレーション系は、音を周期的に揺らしたり変化させたりするエフェクターの総称です。歪み系や空間系ほど派手な変化はありませんが、サウンドに動きと色気を加えるという点で、多くのギタリストがボードに組み込んでいます。
コーラス
音を微妙にずらしたコピーを原音に重ねることで、複数の楽器が同時に演奏しているような厚みと揺らぎを生み出すエフェクターです。80年代のポップスやロックで広く使われ、クリーントーンとの相性が特に良いです。
フランジャー
コーラスに似た仕組みですが、より短い時間のズレを使うことで、ジェット機が飛び去るような金属的なうねりを生み出します。薄くかければコーラスに近い奥行き感、深くかければ強烈な存在感のあるサウンドになります。

フェイザー
音の位相をずらして原音と重ねることで、シュワシュワとしたなめらかな揺れを作り出すエフェクターです。カッティングやアルペジオとの相性が良く、常時オンにして音色のキャラクターとして使うギタリストも多いです。

ダイナミクス・フィルター系
ダイナミクス・フィルター系は、音量のバランスを整えたり、特定の音域を調整したりするエフェクターです。他の系統と比べると音が派手に変わるわけではありませんが、サウンド全体のクオリティを底上げする役割を担っています。
コンプレッサー
大きな音を抑えて小さな音を持ち上げ、音量のばらつきを整えるエフェクターです。アルペジオやカッティングの粒が揃い、演奏が格段に聴きやすくなります。音の余韻を自然に伸ばす効果もあり、クリーントーンを多用するギタリストには特に重宝されます。

イコライザー
音の低域・中域・高域のバランスを細かく調整するエフェクターです。アンプだけでは補いきれない音域の過不足を整えたり、バンドアンサンブルの中でギターの音が埋もれないように調整したりする用途で使われます。

ワウ
ペダルを足で前後に動かすことで、音の周波数帯域を連続的に変化させるエフェクターです。「ワウワウ」という独特のフィルター効果が名前の由来で、ファンクのリズムギターやロックのギターソロで広く使われています。

その他のカテゴリ
ここまで紹介した4系統に当てはまらないエフェクターも多数あります。中でも使用頻度が高く、知っておくと役立つ3種類を紹介します。
ルーパー
演奏をリアルタイムで録音し、繰り返し再生するエフェクターです。録音したフレーズの上に重ねて演奏することで、一人でも重なり合ったサウンドを作れます。練習ツールとしても人気が高く、弾いたフレーズをその場で確認できるため、上達の助けになります。

マルチエフェクター
複数のエフェクターを1台に搭載した機材です。コンパクトエフェクターを何台も並べる必要がなく、少ない荷物でさまざまな音作りができます。初めてエフェクターを導入する方や、荷物を減らしたいライブ向きの選択肢です。
プリアンプ
ギターの信号を増幅し、音質や音色の土台を作るエフェクターです。アンプの特性をペダルで再現できるため、どのアンプにつないでも自分の音を出しやすくなります。録音時にアンプなしで直接音を出す用途でも使われます。
エフェクターのつなぐ順番
複数のエフェクターを使う場合、つなぐ順番によってサウンドが変わります。絶対的なルールはありませんが、一般的に定着している基本の順番があります。
チューナー → コンプレッサー → 歪み系 → モジュレーション系 → 空間系
チューナーを最前段に置くのは、原音を正確に拾うためです。コンプレッサーを歪みの前に置くと音の粒が整った状態で歪みに入るため、音の粒が揃いやすくなります。モジュレーション系と空間系を歪みの後に置くのは、歪んだ音に揺れや残響を加える方が自然に聴こえるためです。
この順番はあくまで出発点です。歪みの前にディレイを置いてあえて音を濁らせるなど、あえて変えることで個性的なサウンドを作るギタリストも多くいます。
はじめての1台、何を選ぶ?
エフェクターをはじめて買うなら、歪み系から入るのが自然な流れです。エレキギターの音作りの中心にあるのは歪みで、オーバードライブ1台あるだけでサウンドの幅が大きく広がります。
ジャンルや好みの音によって選ぶモデルは変わりますが、迷ったときはBOSSやMXRといった定番メーカーの製品から選ぶと、扱いやすく失敗が少ないです。
どのモデルが自分に合うかは、以下の記事を参考にしてください。

エフェクターを自分で作ってみたい方へ
「気に入った音のペダルを自分で作れたら」と思ったことはありませんか。エフェクターは、ハンダごてと基本的な工具があれば自作できます。
初めての方が部品選びから組み立てまでを一通り学べる自作エフェクター講座を公開しています。興味があればのぞいてみてください。

よくある質問
- コンパクトエフェクターとマルチエフェクター、どちらがいいですか?
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最初の1台ならマルチエフェクターで全体像をつかみ、気に入った音が見つかったらコンパクトに移行するという流れが失敗しにくいです。ただし最初からコンパクトで音作りを学ぶほうが上達が早いという考え方もあり、どちらが正解かはプレイスタイルや目的によります。
- エフェクターは何台くらい必要ですか?
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1台から始めても十分です。歪み系1台あるだけでサウンドの幅は大きく変わります。必要に応じて少しずつ増やしていくのが、使いこなせる範囲でボードを育てる近道です。
- エフェクターがなくても演奏できますか?
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もちろんできます。アンプ直でクリーンなギターサウンドを突き詰めるスタイルのギタリストも多くいます。エフェクターは「必需品」ではなく、表現の幅を広げる道具です。






