深く沈むオクターブ下の残響、弾いたあとにゆっくりと膨らむスウェル、鳴っている音をつかまえて漂わせ続けるパッド。Walrus Audio Slö(SLO)は、こうしたアンビエントなテクスチャーを足元でつくるために専用設計された、3つのアルゴリズムを備えたマルチテクスチャー・リバーブです。
名前の「Slö」は、スウェーデン語で「眠たげな」「けだるい」といった意味をもつ言葉。ゆったりと揺らぎながら広がっていくこのペダルのサウンドを、ひと言で表した名前です。
質感で選ぶ3つのリバーブアルゴリズム
Slöのアルゴリズムは、スプリングやホールといった空間の種類ではなく、残響の「質感」で分かれています。トグルスイッチで切り替え、Xノブの役割もアルゴリズムごとに変わります。
Dark:オクターブ下が溶け込む深い残響
リバーブに1オクターブ下の信号を送り込み、低く広がる重厚な残響をつくるアルゴリズムです。Xノブで-1オクターブ成分のレベルを決められるので、ほんのり厚みを足す程度から、足元が沈み込むようなダークな音像まで思いのまま。Xを最小にすればオクターブ成分は加わらず、ストレートなリバーブとしても使えます。
Rise:弾いたあとにふわりと立ち上がるオートスウェル
ピッキングのあとから残響がゆっくりと膨らんでくる、オートスウェル・リバーブです。Xノブは残響が立ち上がるまでの時間を設定し、低めにすれば素早く、高めにすればたっぷりと時間をかけて音が満ちていきます。ボリューム奏法を使わなくても、映画音楽のようなスウェルを足元だけでつくり出せます。
Dream:残響をつかまえて漂わせるラッチング・パッド
豊かなリバーブにラッチング・パッド機能を組み合わせたアルゴリズムです。サステインスイッチを踏むと、その瞬間に鳴っている残響をつかまえて保持し、長く続くパッドのようなサウンドに変えます。パッドを鳴らしたまま上からフレーズを重ねれば、ひとりでもアンビエントな音の層を描けます。
もう一度スイッチを踏むと、Decayノブの位置に応じて残響がゆるやかに消えていきます。Xノブではパッドにかかるビブラートの深さを調整できます。

残響を揺らす3種類のモジュレーション波形
どのアルゴリズムでも、残響にピッチモジュレーションを加えられます。Depthノブでかかり具合を調整でき、モジュレーションなしの状態から、ピッチが大きくうねる深い設定まで幅広くカバー。波形は次の3種類から選べます。
- Sine:なめらかで均等に上下するピッチモジュレーション
- Warp:反ったレコードの回転ムラを思わせる、上方向に偏った非対称のピッチモジュレーション
- Sink:ビグスビーで音程を沈めたようなデチューン感をもつ、下方向に偏った非対称のピッチモジュレーション
波形とモジュレーションのスピードは、エフェクトをオンにした状態でバイパススイッチを押さえたまま、トグルスイッチ(波形)とDepthノブ(スピード)で設定します。設定はアルゴリズムごとに記憶されるため、DarkにはSink、RiseにはSineというように、それぞれに合った組み合わせを作り込んでおけるのも魅力です。
演奏中に残響を操る2つのフットスイッチ
Sustainスイッチ
DarkとRiseでは、踏んでいるあいだだけ残響が最大まで伸び、離すとDecayノブで設定した長さへなめらかに戻ります。フレーズの終わりや印象的な一音だけを長く漂わせたい場面で頼りになるスイッチです。Dreamではラッチ式に切り替わり、先ほどのパッド機能として働きます。
モーメンタリー機能付きのバイパススイッチ
エフェクトがオフの状態でバイパススイッチを踏み続けると、そのあいだだけエフェクトがオンになり、離すと残響がフェードアウトしながらオフへ戻ります。曲の一瞬だけにリバーブのテクスチャーを添えたいときに便利です。

各コントロールの役割
| コントロール | 機能 |
|---|---|
| Decay | 残響の長さ。左いっぱいで短くタイトに、右へ回すほど長く引き伸ばされたテクスチャーに |
| Filter | 残響の音色。アルゴリズムごとに最適化されたローパスフィルターのカットオフを調整し、上げると明るく、下げるとダークに |
| Mix | 原音と残響のバランス。白いラインの位置(2時付近)がおよそ半々で、それより下の範囲を細かく追い込みやすい設計 |
| X | アルゴリズムごとに役割が変化(Dark:-1オクターブのレベル/Rise:スウェルの立ち上がり時間/Dream:ビブラートの深さ) |
| Depth | モジュレーションの深さ(副機能:モジュレーションのスピード) |
| トグルスイッチ | アルゴリズムの切り替え(副機能:波形の選択) |
トレイルモードの切り替え
エフェクトをオフにしたとき、残響を自然に減衰させるトレイルモードと、その瞬間にカットするノートレイルモードを選べます。切り替えは、バイパススイッチを押したまま電源を接続し、そのまま1秒ほど保持するだけ。いったん電源を抜いて同じ操作を行うと、もう一方のモードに切り替わります。

スペック
| アルゴリズム | Dark/Rise/Dream |
|---|---|
| モジュレーション波形 | Sine/Warp/Sink |
| コントロール | Decay、Filter、Mix、X、Depth、アルゴリズム切り替えトグル |
| フットスイッチ | Bypass、Sustain |
| バイパス方式 | バッファードバイパス(トレイル/ノートレイル切り替え可) |
| 電源 | 9V DC センターマイナス(100mA以上) アイソレート電源推奨、デイジーチェーン接続は非推奨 電源アダプター別売 |
| 筐体 | ダイキャスト |
| サイズ | 約121 × 66 × 35mm |
| フィニッシュ | ロリポップブルー(アートワーク:Christi Du Toit) |
よくある質問
- モジュレーションなしの普通のリバーブとしても使えますか?
-
使えます。Depthノブを最小にすればモジュレーションはかからず、DarkモードでXノブを最小にすればオクターブ成分も加わりません。Decayを短めにすれば、日常的に使いやすいリバーブになります。
- ステレオで使えますか?
-
Slöの入出力は各1系統のモノラル仕様です。ステレオで使いたい場合は、同じWalrus AudioからSlöer Stereo Ambient Reverbがラインナップされています。
- どんな電源が必要ですか?
-
9V DC・センターマイナス・100mA以上のアダプターが必要です。アダプターは付属しません。アイソレートタイプのパワーサプライが推奨されており、デイジーチェーン接続は推奨されていません。
- モジュレーションの設定を初期状態に戻せますか?
-
サステインスイッチを押したまま電源を入れ、1秒ほど保持するとファクトリーリセットが行われます。各アルゴリズムの波形とスピードが初期設定に戻り、スピードはDepthノブの9時付近、波形はDarkがSink、RiseがSine、DreamがSinkになります。
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