コードを鳴らして、その上にソロを重ねる。ベースラインを敷いて、バッキングを乗せる。ひとりで弾いているときほど、「今のフレーズ、繰り返してくれたらいいのに」と思う瞬間は多いものです。それを足元ひとつで叶えてくれるのがルーパーというジャンルの機材です。
BOSSのRC-1 Loop Stationは、そのルーパーを「踏むときに迷わないこと」へ振り切った一台です。トップパネルにあるのはLEVELつまみと円形のインジケーターだけ。ボタン類は一切ありません。BOSS LOOP STATIONの現行ラインナップのなかで、もっともシンプルで直感的なペダルという位置づけです。
ペダルを踏む回数だけで、録音からオーバーダブ、再生まで
RC-1の操作は、ペダルを踏むたびに「録音 → オーバーダビング → 再生」と順番に切り替わる仕組みです。演奏を止めたいときは、1秒以内に2回連続で踏む。録ったフレーズを消したいときは、停止中に2秒以上踏み続ける。重ねた音を取り消したいときは、オーバーダビング中か再生中に2秒以上踏めばアンドゥ、もう一度2秒以上踏めばリドゥで戻ります。
覚えることはこれだけです。演奏中に思い出さなければならない手順が少ないというのは、ライブでもスタジオでもそのまま安心感につながります。
| 操作 | 動作 |
|---|---|
| ペダルを1回踏む | 録音 → オーバーダビング → 再生の順に切り替わる |
| 1秒以内に2回踏む | 停止 |
| 停止中に2秒以上踏む | 録音したフレーズを消去 |
| オーバーダビング/再生中に2秒以上踏む | アンドゥ(もう一度でリドゥ) |
停止のタイミングには少しコツがあります。4分の4拍子の小節の最後で止めたいなら、4拍目の頭で1回、次の1拍目の頭でもう1回踏む。取扱説明書でも紹介されている踏み方で、これを体に入れておくとループの終わりが不自然になりません。

いま何が起きているかが、足元を見るだけでわかる
ディスプレイも表示窓も持たないRC-1が、それでも迷わず使えるのは、円形に並んだLOOPインジケーターがあるからです。録音中は赤、オーバーダビング中は赤と緑、再生中は緑に点灯し、いまどのモードにいるのかが色だけで判別できます。
さらに、オーバーダビング中と再生中はループの長さに応じて光が回転します。ループが1周するのにかかる時間がそのまま回転速度になるので、いま何拍目を走っているのかを目で追えるわけです。消去中は赤の高速点滅、アンドゥ/リドゥ中は緑の高速点滅と、動作ごとに表示が変わります。
暗いステージでも、譜面から目を離せない場面でも、視線を一瞬落とすだけで状況がつかめる。シンプルなペダルだからこそ、この視認性が効いてきます。

ステレオで最大約12分、時間を気にせず試せる
最大録音時間はステレオで約12分。短いリフを回すだけならもちろん、長めのジャムや1曲分のバッキングを丸ごと録っても収まる長さです。「録音時間が足りるかどうか」を気にしながら弾く必要がないというのは、アイデア出しの段階では思った以上に大きな違いになります。
逆に短いほうは、最小で約0.25秒。録音開始から0.25秒以内に踏んでしまった場合は、約0.25秒に達するまで録音が続く仕様です。
入出力はモノとステレオの両方に対応します。INPUT A(MONO)とINPUT B、OUTPUT A(MONO)とOUTPUT Bを備えているので、ステレオ・アウトのエフェクターを受けたり、シンセなどのステレオ音源を入力してループさせることもできます。モノで使うときはA側だけを使います。

録音したフレーズは、電源を切っても残る
最後に録音したフレーズは、電源を切っても本体に保存されます。練習の続きを翌日そのまま再開できますし、ライブで使うバッキングを事前に仕込んでおくこともできます。
ただし保持できるのは直近の1フレーズだけで、フレーズ・メモリーを複数持つ機能はありません。曲ごとに違うループを使い分けたい場合は、その都度消して録り直す運用になります。複数のフレーズを呼び出して使いたいなら、メモリーを備えた上位機種が選択肢に入ります。
LOOPインジケーターが回転・点滅している間は、絶対に電源を切らないでください(OUTPUT A端子からプラグを抜かないでください)。録音したデータが失われることがあります。
外部フットスイッチを足すと、停止が一発になる
2回踏みでの停止に不安があるなら、STOP/UNDO端子に外部フットスイッチを接続する手があります。接続すると1回踏むだけで停止できるようになり、演奏の事故がぐっと減ります。
対応するのはFS-5U、FS-6、FS-7の3機種です(FS-5Lは使用できません)。ステレオのL側にあたるペダルが停止と消去、R側にあたるペダルがアンドゥ/リドゥを担当します。FS-6ならペダルBが停止、ペダルAがアンドゥ/リドゥです。
接続するときは、必ず本体の電源を切った状態で行ってください。電源を入れたまま抜き差しすると録音データが失われることがあります。

実は、録音と停止の挙動を変えられる
つまみ一つのペダルですが、起動時の操作で2つの隠し設定にアクセスできます。ペダル・スイッチを踏んだままOUTPUT A端子にプラグを差し込んで電源を入れると、設定モードに入ります。
録音モードは、初期値の「録音 → オーバーダビング → 再生」に加えて、「録音 → 再生 → オーバーダビング」を選べます。録ったフレーズをまず一度聴いてから重ねたい人には、後者のほうが自然に感じられるはずです。
停止モードは、初期値の「すぐに停止」のほかに、「2回踏むと停止が予約され、フレーズを最後まで再生してから停止する」動作を選べます。後者では停止と同時にフレーズが消去されるので、曲間で録り直す前提の使い方にはむしろ都合がいい設定です。
どちらの設定も、電源を入れ直すと通常状態に戻ります。
電源まわりで知っておきたいこと
RC-1の消費電流は95mA。アルカリ電池での連続使用時間は約3時間です。ストリートなど電源が取れない場面では電池駆動が効きますが、腰を据えて使うならACアダプター(PSA-100/別売)を用意しておくと安心です。
電池を入れた状態でACアダプターをつなぐと、電源はアダプター側から供給されます。つまり電池を入れたままにしておけば、万が一コードが抜けても演奏を続けられるということです。ライブでルーパーが落ちる怖さを考えると、この二重化は覚えておく価値があります。
なお電源スイッチはOUTPUT A端子が兼ねています。プラグを差すと電源が入り、使わないときはプラグを抜いておきます。
RC-1が合う使い方、上位機が合う使い方
RC-1はリズム・パターンを内蔵しておらず、フレーズ・メモリーもUSBもMIDIも持ちません。その代わりに、コンパクト・ペダル1台ぶんのスペースと、迷いようのない操作系が手に入ります。練習でバッキングを回す、作曲でアイデアを積む、ライブでアコースティック・ギターに厚みを足す——こうした用途では、機能の少なさがそのまま扱いやすさになります。
一方で、ループにリズムを同期させたい、曲ごとのフレーズを保存して呼び出したい、複数トラックを重ねたいという場合は、同じペダル型のRC-5やリズム重視のRC-10R、マルチトラックのRC-500/RC-600が候補になります。まずはループという表現そのものに慣れたい段階であれば、RC-1は無理のない入り口です。
BOSS RC-1 Loop Station スペック
| 最大録音時間 | 約12分(ステレオ) |
|---|---|
| コントロール | ペダル・スイッチ、LEVELつまみ |
| インジケーター | CHECKインジケーター、LOOPインジケーター |
| 接続端子 | INPUT A(MONO)/B、OUTPUT A(MONO)/B、STOP/UNDO(TRS標準)、DC IN |
| 規定入力レベル | -20dBu |
| 入力インピーダンス | 1MΩ |
| 規定出力レベル | -20dBu |
| 出力インピーダンス | 1kΩ |
| 推奨負荷インピーダンス | 10kΩ以上 |
| 電源 | アルカリ電池(9V形)/ACアダプター(PSA-100:別売) |
| 消費電流 | 95mA |
| 電池の寿命 | アルカリ電池 約3時間(連続使用時/使用状態により異なる) |
| 外形寸法 | 幅73mm×奥行129mm×高さ59mm |
| 質量 | 430g |
| 別売品 | ACアダプター PSA-100/フットスイッチ FS-5U、FS-6、FS-7 |
| 保証 | 5年保証 |
よくある質問
- RC-1にリズム機能はありますか?
-
ありません。リズム・パターンに合わせてループしたい場合は、50種類のリズムを内蔵するRC-5や、280種類以上を内蔵するRC-10Rが選択肢になります。
- 録音したフレーズは複数保存できますか?
-
保存されるのは最後に録音した1フレーズのみです。電源を切っても残りますが、曲ごとに使い分けたい場合は都度消去して録り直す必要があります。
- 停止を1回踏みで行う方法はありますか?
-
STOP/UNDO端子に外部フットスイッチ(FS-5U、FS-6、FS-7)を接続すると、1回踏むだけで停止できます。接続は必ず電源を切った状態で行ってください。
- 電池はどのくらい持ちますか?
-
アルカリ電池の連続使用で約3時間が目安です。消費電流が95mAと大きめなので、長時間使うならACアダプター(PSA-100/別売)の併用が現実的です。
- ギター以外の楽器でも使えますか?
-
使えます。ベースやキーボード、電子管楽器などにも対応し、ステレオ入力にも対応しているためシンセのステレオ音源をそのままループさせることもできます。
BRAND
BOSS
このエフェクターのみんなの記録
このエフェクターについてのひとことや、登録しているユーザーを見ることができます。

