音量だけを素直に持ち上げるクリーンブーストと、アンプを軽く押して太さを足すヴィンテージ系ブースト。この2つは狙いがまるで違うため、両方を手に入れようとすればペダルは2台になります。MAXON DB10 -Dual Booster- は、その2台ぶんを1つの筐体に、しかも回路として完全に独立させたまま収めたペダルです。
2つのブースト回路が、完全に独立している
DB10が搭載するのはCleanとVintage、性格の異なる2つのブースト回路です。それぞれにLevelノブとフットスイッチが割り当てられ、最大で約20dBのゲインアップが得られます。
特筆すべきは、この2つが内部で繋がっていないことです。側面にはINPUTとOUTPUTが2組ずつ並び、Clean側とVintage側がそれぞれ独立した入出力を持っています。つまりDB10は、見た目こそ1台ですが、実質的には2台のブースターが同じ筐体を共有しているペダルなのです。
Cleanとヴィンテージ、2つのブーストキャラクター
Clean:色を付けずに、音量だけを前へ
Cleanチャンネルはフラットな周波数特性を持ち、ギターやアンプのキャラクターに手を加えないまま、サウンドをバンドアンサンブルの前面へ押し出します。ゲインは0dBから最大21dB(400Hz)まで可変。Levelを絞れば音量そのままの通過点として、上げていけばソロで一段抜けるためのボリュームブーストとして働きます。原音の魅力に余計な味付けをしたくない場面で頼りになるチャンネルです。
Vintage:トレブルブースターの発想を現代に
Vintageチャンネルは、クラシックなトレブルブースター回路をMaxonが独自に解釈したものです。高域に自然なロールオフ特性を持ち、その効き具合はLevelを上げるほど深くなっていきます。アンプにわざとらしくないソフトなサチュレーションを加え、ギターサウンドに力強さを与えるのがこのチャンネルの役割です。
ゲインレンジは6dBから19dB(400Hz)。Levelを最小にしても6dB前後は加算されるため、踏んだ瞬間に確実な変化が得られます。真空管アンプと組み合わせたときに真価を発揮し、アンプ自身の個性を押し上げる方向で働きます。
接続の自由度が、このペダルの本領
入出力が独立していることの恩恵は、接続の組み方に現れます。Clean→Vintage、Vintage→Cleanのどちらの順番でも組めますし、2つのチャンネルの間にOD808やOD9といった歪みペダルを挟むこともできます。前段でブーストして歪みを深く追い込み、後段で全体の音量を持ち上げる——といった、通常なら2台のブースターが必要な使い方が1台で完結します。
さらに、片方をアンプの前段、もう片方をエフェクトループへ、という分割配置も可能です。ボード上の役割を状況に応じて割り振れるため、機材構成が変わっても居場所を失いにくいペダルと言えます。
ステージでの実用性を支える設計
2つのフットスイッチは近い位置に配置されています。これは同時に踏み込めるようにするための設計で、ソロの頭でゲインブーストと音量アップをひと踏みで切り替える、といった操作に対応します。
スイッチングは両チャンネルともメカニカル3PDTによるトゥルーバイパス(TBS)。バイパス時は信号が電子回路を一切通らず、ギターとアンプを直結したときに限りなく近い状態を保ちます。暗いステージでも見やすいLEDがチャンネルごとのON/OFFを示し、同時にバッテリーコンディションの確認も兼ねています。
電源は9V電池のほか、9〜18Vの標準的なパワーサプライに対応(ACアダプターは別売)。電池スナップには堅牢なCLIFF製を採用しています。筐体は日進音波工業による純日本製で、長く使う機材としての作りの確かさもDB10の持ち味です。
主な仕様
| 入力インピーダンス | 500kΩ |
| 出力インピーダンス | 10kΩ |
| 最大増幅率(Vintage) | 19dB(400Hz) |
| 最大増幅率(Clean) | 21dB(400Hz) |
| 入力換算ノイズ(Vintage) | -95dB以下(入力ショート/IHF-A) |
| 入力換算ノイズ(Clean) | -105dB以下(入力ショート/IHF-A) |
| コントロール | Vintage LEVEL、Clean LEVEL |
| スイッチ | Vintage BYPASS/EFFECT、Clean BYPASS/EFFECT |
| 入出力端子 | INPUT JACK×2、OUTPUT JACK×2、DC INPUT JACK |
| 表示 | Vintage BYPASS/EFFECT LED、Clean BYPASS/EFFECT LED |
| 電源 | 6F22 9V乾電池1本、または9〜18VDCの外部電源 |
| 消費電流 | 11mA/9VDC |
| 寸法 | 70(W)×113(D)×56(H)mm(突起物を含む) |
| 重量 | 290g(乾電池含む) |
| 同梱品 | テスト用乾電池×1、製品保証書×1、取扱説明書×1 |
| 生産国 | 日本(MADE IN JAPAN) |
よくある質問
- 2つのブースターを直列で使うには、どう繋げばいいですか?
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Clean側とVintage側は内部で接続されていないため、片方のOUTPUTともう片方のINPUTをパッチケーブルで繋ぎます。順番はどちらが先でも構いません。
- 片方のチャンネルだけを使うこともできますか?
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できます。使いたい側のINPUT/OUTPUTだけを接続すれば、単体のブースターとして動作します。
- 2つのチャンネルの間に他のエフェクターを挟めますか?
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挟めます。歪みペダルを間に置けば、前段でゲインを稼ぎ後段で音量を持ち上げる、といった組み方が可能です。
- トゥルーバイパスですか?
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両チャンネルともメカニカル3PDTスイッチによるトゥルーバイパス仕様です。バイパス時は信号が電子回路を通りません。
- 電源はどうすればいいですか?
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6F22 9V乾電池1本、または9〜18VDCの標準的なパワーサプライで動作します。ACアダプターは別売です。
音量を素直に上げたい日と、アンプをもう一歩押し込みたい日。DB10はその両方を、ボードのスペースを増やさずに手元へ置いておけるペダルです。ブースターを何台も買い足していく前に、一度検討する価値のある一台と言えるでしょう。
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