QUICK GUIDE
迷う時間をほとんど残さないリバーブ。つまみは3つ、モードは8種類。
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- ギター用
アンプのリバーブつまみを少し上げただけで音の輪郭がぼやけてしまう。かといって多機能なリバーブ・ペダルは、パラメーターを追い込む時間がリハーサルの合間には取れない。BOSS RV-6 は、その両方の不満のちょうど間に収まる一台です。音色を決めるノブは3つだけ。そのシンプルな見た目の内側では、この機種のために新しく開発されたリバーブ・アルゴリズムが動いています。
RV-6 はどんなリバーブ・ペダル?
RV-6 に搭載されるリバーブ・アルゴリズムは、この機種のために新規開発されたものです。高度なデジタル処理によってスタジオ・クラスの質感を持つ残響を生み出し、澄んだ響きと、消え際まで濁らない透明感のある減衰を実現しています。
デジタル・リバーブを選ぶときに気になるのが原音の変化ですが、RV-6 はダイレクト・サウンドをピュアなアナログ信号のまま通します。ギター本来のキャラクターはそのままに、残響だけが後ろへ広がっていく構造です。ペダルボードの最後段に置いても、それまでに時間をかけて作り込んできた音色の輪郭が薄まりません。
入出力はモノラル、ステレオの両方に対応します。INPUT-A(MONO)、INPUT-B、OUTPUT-A(MONO)、OUTPUT-B を備えているため、ステレオ・アンプやミキサーへ広がりを持ったまま残響を送り出せます。さらに許容入力レベルが高めに設定されており、ギターだけでなくキーボードやPA機器での使用も想定された設計です。
8種類のモードを使いどころから整理する
MODE つまみで選べるリバーブは8種類です。空間そのものをシミュレートする定番の系統と、現代的な効果を狙った系統に分かれていて、前半4つを覚えてしまえば残りは応用として掴めます。
空間をシミュレートする4モード
ROOM は室内の残響をシミュレートしたモードで、温かみのある響きが得られます。バンドのアンサンブルに埋もれず、音の輪郭を保ったまま奥行きだけを足したいときの基準になる音です。
HALL はホールの残響をシミュレートし、クリアで広がりのある響きを生みます。バラードのアルペジオやクリーン・トーンのバッキングなど、鳴らしていない余白そのものを聴かせたい場面に向いています。
PLATE は金属板の振動を利用したプレート・リバーブ・ユニットのシミュレートで、高域が伸びた金属的な響きが特徴です。スタジオ録音のような密度があり、リード・ギターやスライドと組み合わせたときの伸びやかさが際立ちます。
SPRING はギター・アンプ内蔵のスプリング・リバーブをシミュレートします。スプリングを積んでいないアンプやアンプ・シミュレーターを使う環境でも、サーフやロカビリー、カントリーに欠かせないあの質感を持ち込めます。
現代的な効果を狙う4モード
MODULATE はホールの残響にゆらぎを加えたモードです。残響が一定にとどまらず揺れ続けるため、コードを長く伸ばしたときの厚みが増していきます。
+DELAY はディレイを組み合わせたリバーブで、両者の相乗効果によるリッチな残響が得られます。ディレイ・ペダルを別に用意しなくてもアンビエントな空間を作れるので、ボードを増やさずに音の奥行きを広げたいときに効いてきます。
SHIMMER は高音のきらびやかさが持ち味で、倍音の広がりに包まれた幻想的な残響を生みます。ポストロックやアンビエント系の音像を、ラックやマルチに頼らずコンパクト1台で組み立てられるのは、このモードがあってこそです。
DYNAMIC は演奏に合わせて効果の深さを自動的に設定するモードです。深くかけても演奏全体の輪郭が失われないため、リバーブは深めにしたいけれどバッキングでは濁らせたくない、という相反する要求にひとつで応えてくれます。
3つのノブで音を決める
モードを選んだあとに触るのは E.LEVEL、TONE、TIME の3つだけです。E.LEVEL が残響の音量、TONE が残響の音色、TIME が残響の長さを受け持ちます。
操作する要素は3つでも、その裏側では RV-6 内部で緻密な処理が同時に走り、出音が最適化されます。つまみをどの位置に置いても破綻した響きにならないのはこの仕組みによるもので、リハーサル中に耳だけを頼りに回しても着地点にたどり着けます。アンプが変わる、会場が変わるといった状況でその場で調整し直せる即応性は、ステージでの運用にそのまま効いてきます。
セッティングの出発点
以下はあくまで出発点としての目安です。アンプやピックアップ、バンドの音量によって適正値は変わりますので、実際の音を聴きながら詰めていってください。
バンドで埋もれないバッキング
MODE: ROOM/E.LEVEL: 9〜10時/TONE: 12時/TIME: 9時。残響を「かかっているか分からない程度」に抑え、音の輪郭だけを立体化する方向です。E.LEVEL を上げすぎると低域が膨らんでリズム隊とぶつかりやすくなるため、ギター単体ではなくバンド全体の音量のなかで判断すると外しません。
クリーン・アルペジオを広げる
MODE: HALL/E.LEVEL: 12時/TONE: 1時/TIME: 1〜2時。TONE を右に振ると残響の高域が伸び、コードの分離が良くなります。単音が濁って聞こえるときは、E.LEVEL より先に TIME を下げるほうが自然にまとまります。
アンプのスプリングを代替する
MODE: SPRING/E.LEVEL: 11時/TONE: 11時/TIME: 12時。TONE をやや左に振ると高域の主張が引き、スプリング・タンクらしい中域寄りの質感に寄っていきます。
アンビエントな空間を作る
MODE: SHIMMER/E.LEVEL: 1〜2時/TONE: 1時/TIME: 2〜3時。ボリューム奏法やコンプレッサーと組み合わせると、倍音の立ち上がりがなめらかにつながります。歪みの前段に置くと倍音成分が潰れてしまうので、後段に置くのが基本です。
取扱説明書にしか書かれていない5つの仕様
1. INPUT-B に挿すとリバーブ音だけを取り出せる
INPUT-B に接続すると、ダイレクト音を出さずリバーブ音だけを出力できます。取扱説明書に明記された仕様で、ミキサーのセンド/リターンに送る、あるいはウェット側とドライ側でアンプを分けるといった構成がこのペダル1台で成立します。残響だけを別チャンネルで扱えるようになると音量バランスの自由度が一段変わるため、宅録やステレオ運用を視野に入れている人にとっては、8モードという数字よりこちらのほうが効いてくる仕様です。
なお、この接続でエフェクトをオフにすると OUTPUT-A(MONO)と OUTPUT-B はミュートされます。ウェット専用の系統として組んでいる以上は自然な挙動ですが、把握しておくとセッティング時に迷いません。
2. エフェクトを切っても残響は残る
エフェクトをオフにしても、鳴っていた残響音はそのまま残って自然に減衰していきます。いわゆるキャリーオーバー動作です。曲中でリバーブを切ったときに響きがぶつりと断ち切られないので、アンビエントなイントロから歪みのリフへ移るような場面では、この挙動があるかないかで印象がまるで違ってきます。
3. 接続状態に応じて最適な残響が自動で出力される
イン/アウトの接続状態に合わせて、RV-6 は最適なリバーブを自動的に出力します。モノラルで組む日とステレオで組む日で設定を変える必要がなく、ケーブルを挿し替えるだけで対応してくれます。現場ごとに機材構成が変わる人ほど、この一手間のなさが積み重なって効いてきます。
4. INPUT 端子が電源スイッチを兼ねている
INPUT 端子はそのまま電源スイッチの役割を持っていて、プラグを挿すと電源が入り、抜くと切れます。裏を返せば、電池駆動のときにプラグを挿しっぱなしにしておくと消費が続いてしまうということです。使い終わったら INPUT のプラグを抜く習慣にしておくと、次に開けたときの電池切れを防げます。
5. AC アダプター使用時も電池を入れたままにしておける
AC アダプターで電源を取っている場合でも、電池は入れたままにしておくことが推奨されています。万一アダプターのコードが抜けてしまっても、そのまま演奏を続けられるためです。ライブ本番でボードの配線が引っかかる事故を考えると、この保険は小さくありません。あわせて、RV-6 には保護回路が入っており、電源投入から動作を始めるまでに数秒かかります。電源を入れた直後はエフェクトがオンの状態です。
エクスプレッション・ペダルで残響を操作する
EXP 端子にエクスプレッション・ペダルを接続すると、演奏しながら足元でリバーブの深さをコントロールできます。サビの直前で残響を一気に開く、間奏で少しずつ空間を広げていくといった抑揚を、手を止めずに作れるようになります。
別売品として案内されているのは Roland EV-5、BOSS EV-30、FV-500H、FV-500L の4機種です。取扱説明書では、これら指定品以外のエクスプレッション・ペダルを接続すると故障や破損の原因になると注意されています。手持ちのペダルを流用しようと考えている場合は、接続する前に必ず型番を確認してください。
購入前に押さえておきたい点
消費電流は95mA
消費電流は95mAです。BOSS コンパクトとしては大きめの数値ですので、複数のデジタル・ペダルを同じパワーサプライから供給している場合は、容量に余裕があるかを確認しておいてください。アイソレート出力を1系統確保しておくと、ノイズの面でも安心して組めます。
電池運用は短距離向き
9V形アルカリ電池での駆動にも対応していますが、連続使用時の目安は約3時間です。リハーサルと本番を1日でこなすなら、AC アダプター(PSA-100/別売)での運用が現実的でしょう。CHECK インジケーターはエフェクトのオン/オフ表示とバッテリー・チェックを兼ねているため、踏んだときの点灯が弱い、あるいは点かないという症状が出たら電池の消耗を疑ってください。
プリセットはなし
音作りの自由度についても触れておきます。ノブが3つという設計は素早さと引き換えに、プリディレイやダンピングといった細部の追い込みを手放しています。プリセット機能もないため、曲ごとに設定を切り替えたい場合はノブを回すか、複数台を並べるかのどちらかになります。1曲ごとに異なるリバーブ設定を瞬時に呼び出したいのであれば、RV-200 や RV-500 といったプリセット対応機が候補になります。
向いている人/向いていない人
向いている人
- アンプ内蔵リバーブの効きに満足できず、最初の1台を探している
- ROOM や HALL といった定番から SHIMMER まで、1台で幅広く賄いたい
- リハーサルや現場で素早く音を決めたい
- ステレオ環境で残響を広げたい、あるいはウェット/ドライを分けて組みたい
- 原音のキャラクターを変えずに空間だけを足したい
向いていない人
- 曲ごとにプリセットを切り替えたい
- プリディレイやダンピングまで細かく作り込みたい
- パワーサプライの容量に余裕がない
- アナログのスプリング・タンクそのものの挙動を求めている
- ゲート・リバーブが必須(RV-6 に GATE モードは搭載されていません)
主なスペック
| リバーブ・モード | 8種類(HALL/PLATE/ROOM/SPRING/MODULATE/+DELAY/SHIMMER/DYNAMIC) |
| コントロール | ペダル・スイッチ、E.LEVEL、TONE、TIME、MODE |
| 規定入力レベル | -20dBu |
| 入力インピーダンス | 1MΩ |
| 規定出力レベル | -20dBu |
| 出力インピーダンス | 1kΩ |
| 推奨負荷インピーダンス | 10kΩ以上 |
| 接続端子 | INPUT-A(MONO)、INPUT-B、OUTPUT-A(MONO)、OUTPUT-B、EXP、ACアダプター(DC9V) |
| インジケーター | CHECK(バッテリー・チェック兼用) |
| 電源 | アルカリ電池(9V形)、ACアダプター(別売) |
| 消費電流 | 95mA |
| 電池寿命 | アルカリ電池で連続約3時間 |
| 付属品 | 保証書、チラシ、アルカリ電池(9V形/本体に接続済み) |
| 別売品 | ACアダプター(PSA-100)、エクスプレッション・ペダル(Roland EV-5、BOSS EV-30/FV-500H/FV-500L) |
| 外形寸法 | 73(W)×129(D)×59(H)mm |
| 質量 | 450g(電池含む) |
実勢価格は新品でおおよそ20,000円前後です。為替や流通状況によって変動しますので、最新の価格は販売店でご確認ください。
よくある質問
- リバーブ音だけを取り出すことはできますか?
-
できます。INPUT-B に接続すると、ダイレクト音を出さずリバーブ音のみを出力する状態になります。ミキサーのセンド/リターンやウェット・ドライ構成に組み込めます。この接続でエフェクトをオフにすると、OUTPUT-A(MONO)と OUTPUT-B はミュートされます。
- RV-6 は電池でも動きますか?
-
9V形アルカリ電池1本で動作します。連続使用時の目安は約3時間ですので、長時間の使用では AC アダプター(PSA-100/別売)を推奨します。購入時はアルカリ電池が本体に接続された状態で同梱されています。
- エフェクトをオフにすると残響は途切れますか?
-
途切れません。エフェクトをオフにしても残響音はそのまま残り、自然に減衰していきます。
- 歪みの前と後、どちらに繋ぐべきですか?
-
一般的には歪み系の後段、空間系の最終段に近い位置に置きます。前段に置くと残響ごと歪んで音像がぼやけるためです。アンプにセンド/リターンがあれば、そこへ接続する方法もあります。
- どのエクスプレッション・ペダルが使えますか?
-
別売品として案内されているのは Roland EV-5、BOSS EV-30、FV-500H、FV-500L です。取扱説明書では、指定品以外の接続は故障や破損の原因になると注意されています。
- パワーサプライを選ぶときの注意点はありますか?
-
消費電流は95mAです。BOSS コンパクトとしては大きめですので、供給元の容量に余裕があるか確認してください。他のデジタル機と共有する場合は、アイソレート出力の使用が安全です。
- 使わないときはケーブルを抜いたほうがいいですか?
-
電池で使う場合は抜いてください。INPUT 端子が電源スイッチを兼ねているため、プラグを挿したままにしておくと電池を消費し続けます。
- ギター以外の楽器にも使えますか?
-
使えます。許容入力レベルが高めに設定されており、キーボードやPA機器での使用も想定された設計です。ステレオ入出力を活かして宅録に組み込むこともできます。
まとめ
RV-6 の価値は、8種類のモードという数字よりも、そこへたどり着くまでの手数の少なさにあります。MODE を回して系統を決め、3つのノブで詰める。この単純さが、現場で音を決めきる速さにそのまま結びついています。
原音はアナログのまま通り、エフェクトを切っても残響は残り、接続状態に応じて出力が最適化される。さらに INPUT-B を使えばリバーブ音だけを取り出せる。いずれも仕様表の隅に置かれた項目ですが、実際に踏んだときの手触りと、ボードを組み替えていくときの自由度を決めているのはこの部分です。コンパクト・リバーブの基準として選ばれ続けている理由も、そこにあります。
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