Strymon PCH X2は、ステレオ対応のアクティブDI/ラインアイソレーターです。楽器の信号をミキサーやレコーディング機器へ送るときの音質を最優先に設計されており、グランドループノイズの除去、位相のずれの補正、低域の整理といった現場で起こりがちな課題に、一台でまとめて対応します。ライブの厳しいステージから静寂が求められるスタジオまで、信号経路のなかでもっとも音を素直に通す一台として作られています。
音を素直に通す、プロ仕様のアクティブDI設計
PCH X2は、ギタリスト、ベーシスト、キーボーディスト、そしてサウンドエンジニアに向けた2チャンネル仕様のアクティブDI/ラインアイソレーターです。単なる信号変換器ではなく、音を送る過程で生じる劣化の要因を抑え、楽器そのものの響きをそのまま届けることを狙って設計されています。
このモデルの核となるのが、10Hz〜80kHz(±0.5dB)という非常にフラットな周波数特性です。一般的なDIでは低域が歪みやすく、5弦ベースのローB音のような超低域が入力どおりに再現されないことも珍しくありませんが、PCH X2はそうした帯域でも入力信号を素直に通します。THD+ノイズは1kHzで0.0007%、ノイズフロアは−123dBuと、オーディオインターフェイス顔負けの数値を備えており、音の入り口から余計な色付けを排します。
各チャンネルには独立したカスタムトランスを搭載し、真のガルバニック絶縁を実現しています。これにより、機器同士を接続したときに生じるグランドループノイズの大半を取り除き、スタジオでの繊細なレコーディングからライブハウスの過酷なステージまで、安定してノイズの少ないサウンドを保ちます。
現場で活きる、多機能ルーティングとノイズ対策
PCH X2は、シングルチャンネルのX1を2台まとめたような構成で、左右独立のDIとしても、ステレオDIとしても柔軟に使えます。入力部のSUM/STEREOスイッチを切り替えれば、左右の入力信号をモノラルにまとめて左出力から送り出せます。このとき右のXLR出力はミュートされ、SUMが有効になっていることがひと目で分かる仕組みです。ミキサーのチャンネル数が足りない場面でも、ケーブルを差し替えることなくモノラルとステレオを瞬時に行き来できます。
左のXLR出力には位相反転スイッチを備えており、複数のマイクやDIを併用したときに起こりがちな位相のずれを補正できます。低域の痩せや音の打ち消しを防ぎ、まとまりのある音像を保てます。
ノイズ対策と音作りの両面で頼りになるのが、各チャンネルのグランドリフトスイッチと、3ポジション(Off/80Hz/240Hz)のハイパスフィルター(HPF)です。80Hzは不要な低域のランブルを抑える設定、240Hzはミックスのなかで他の楽器と低域の帯域を棲み分けたいときに、より積極的に低域を削る設定として使えます。ノイズの排除とサウンドメイキングを、この一台でこなせます。
タフな筐体と、ステージとスタジオをつなぐ柔軟な接続性
堅牢性もPCH X2の見どころです。防弾仕様とも称される3mm厚の押し出しアルミニウム筐体は、ツアーでの過酷な移動やステージ上での不意な衝撃にも耐えます。さらに、スイッチ類を庇のように覆うアーニングデザインを採用しており、踏みつけや接触からスイッチを守りつつ、セッティング時の操作性はしっかり確保しています。コンパクトなサイズながら、いつでもどこでも頼れる作りです。
接続面では、ミキサーやレコーディング機器へ送るバランスXLR出力に加え、各チャンネルにノンバッファードのTHRU出力を装備しています。入力した信号を楽器用アンプなどへ並行して送り出せるため、ステージでアンプとラインを同時に鳴らしたり、スタジオでアンプとDIを同時に録音したりといった使い方に柔軟に対応します。入力は2MΩのハイインピーダンス仕様で、ギターやベースのピックアップ信号を負荷をかけずに受け止めます。
電源はファンタム電源(+48V、1チャンネルあたり5mA)で動作します。専用アダプターを用意する必要がなく、PAシステムからの供給だけでスマートに運用できるのも、プロの現場での扱いやすさにつながります。入力パネルのLEDでファンタム電源の状態を確認できる点も、地味ながら実戦的な配慮です。

