BOSS ボス / WL-20L【ギターワイヤレスセット】

QUICK GUIDE

どんなエフェクター?

WL-20Lは、ケーブル・トーン・シミュレーションを持たないWL-20の姉妹機です。エレアコやアクティブ・ピックアップ搭載の楽器のように、ケーブルの影響をほとんど受けない楽器のために用意されたモデルで、パッシブのギターに使うこともできます。

ブランド
BOSS
種類
ワイヤレスシステム
対応楽器
ギター用・ベース用
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BOSSのワイヤレス・システムには、WL-20とWL-20Lという、型番の末尾が一文字違うだけの2機種が並んでいます。サイズも外観もほぼ同じで、仕様表を突き合わせても数値上の差はほとんど見つかりません。両者を分けているのはケーブル・トーン・シミュレーションを搭載しているかどうかで、WL-20Lは非搭載のモデルです。エレクトリック・アコースティック・ギターやアクティブ・ピックアップを搭載した楽器のように、ケーブルによる音質変化をほとんど受けない楽器に合わせて用意された一台で、パッシブ・ピックアップのギターに使うこともできます。

目次

WL-20Lはどんな楽器のためのワイヤレスか

パッシブ・ピックアップを積んだエレキ・ギターやエレキ・ベースは、出力がハイ・インピーダンスです。ここに3m程度のギター・ケーブルをつなぐと、高音域がわずかに落ちて角の取れた響きになります。多くのギタリストが「自分の音」として耳になじませてきたのは、実はこの変化を含んだ音でした。WL-20が搭載するケーブル・トーン・シミュレーションは、その自然な変化をワイヤレスでも再現するための機能です。

一方で、プリアンプを内蔵したエレクトリック・アコースティック・ギターや、電池を必要とするアクティブ・ピックアップ搭載のギターとベース、さらにショルダー・キーボードやエアロフォンのようにライン・レベルで出力する楽器は、内部で信号を増幅してから送り出します。出力インピーダンスが低いため、ケーブルによる高域の減衰をほとんど受けません。こうした楽器にケーブル・トーンの補正をかけると、必要のない変化が加わることになります。

WL-20Lは、この補正をあえて持たず、入力された信号をそのまま送る設計です。BOSSはWL-20Lを、ロー・インピーダンス出力の楽器や電子楽器のためのモデルとして位置づけています。楽器側で作り込んだ音の輪郭やレンジ感を保ったままワイヤレス化できる点が、このモデルを選ぶ理由になります。

WL-20との違いは、実質2点だけ

スペックを並べて比較すると拍子抜けするほどで、WL-20とWL-20Lの違いは、レシーバーのケーブル・トーン機能の有無と、レシーバー本体の色だけです。WL-20Lのレシーバーはグレーの筐体になります。無線方式もレイテンシーも伝送範囲も入出力レベルも共通で、それ以外に電気的な差はありません。トランスミッターに至っては、どちらもWL-Tという同じ製品が付属します。

そのため、パッシブ・ピックアップのギターにWL-20Lを使うことも問題なくできます。その場合はケーブルでつないだときと比べて、ややブライト寄りの音になります。ケーブル特有の丸みが不要で、ピックアップが出している信号をそのまま届けたいという考え方であれば、パッシブのギターでもWL-20Lという選択は成立します。

逆に注意したいのがWL-20側で、こちらはケーブル・トーン機能をオフにできません。曲や楽器によって切り替えたい場合は、オフ/ショート(約3mのケーブル特性)/ロング(約6mのケーブル特性)を選べるWL-50が選択肢になります。パッシブとアクティブの両方を持ち替えるスタイルなら、WL-50まで視野に入れて考えることになります。

接続は差し込むだけ、設定作業はない

使い始めるまでの手順はごく単純で、トランスミッターをレシーバーのTRANSMITTER端子に約10秒間ドッキングさせると、最適なワイヤレス接続が自動的に設定されます。あとはトランスミッターを楽器のジャックに、レシーバーをアンプやエフェクターのインプットに挿すだけです。チャンネルを選んだり周波数を合わせたりといった作業はありません。

レシーバーは幅87×奥行25×高さ38mmで60g、トランスミッターのWL-Tは幅87×奥行22×高さ36mmで43gと、どちらも手のひらに収まるサイズです。レシーバーの出力端子はTRS標準タイプ、規定出力レベルは-10dBu、出力インピーダンスは1kΩで、推奨負荷インピーダンスは10kΩ以上となっています。

電源はどちらも充電式リチウムイオン電池です。トランスミッターをレシーバーにドッキングした状態で、DC IN 5V端子(USBマイクロBタイプ)から2台まとめて充電できます。空の状態からの充電時間は、単体でそれぞれ約3時間、同時充電で約4時間です。充電用のマイクロUSBケーブルは同梱されていますが、USB ACアダプター(5V/0.5A以上)は付属しないため、手持ちのものを用意しておく必要があります。トランスミッターは60分間無音の状態が続くと自動的にスタンバイに入るので、演奏の合間に電池を無駄に消費しません。

伝送性能と、置き場所で変わる安定度

無線通信はBOSS独自方式によるデジタル・オーディオで、2.4GHz帯を使用します。レイテンシーは2.3ms、伝送範囲は見通しで15m、ダイナミックレンジは110dB以上、周波数特性は20Hz〜20kHzです。最適なチャンネルは自動で選ばれ、同じ場所で最大14台のBOSSワイヤレス・システムを同時に使用できます。この14台という数字は、バンド単位でワイヤレス化した場合や、対バン形式で他の出演者と重なる場合を想定した余裕になります。

ただし2.4GHz帯は、Wi-Fiルーターや電子レンジなど身近な機器と同じ帯域です。レシーバーはこうした無線機器から3m以上離して設置することが推奨されており、電子レンジの使用中に電波干渉で音が途切れることもあります。スタジオやライブハウスで音切れが起きたときは、まずレシーバーの置き場所を疑ってみると解決が早いです。伝送範囲の15mという数値も見通しでの値なので、客席のうしろまで歩いていくような使い方では、壁や人の位置によって届き方が変わります。

買う前に確認しておきたい2つのこと

自分の楽器のジャック周りに、装着できる空間があるか

WL-Tは楽器のジャックに直接挿し込むタイプです。ストラトキャスター・タイプ、テレキャスター・タイプ、レスポール・タイプ、SGタイプ、エレクトリック・アコースティック・ギターといった一般的な楽器には装着できますが、取り付けジャック部に直径18.5mm、深さ5mmの円柱状の空間がないと物理的に取り付けられません。ジャックプレートの形状が特殊な楽器や、ザグリが浅い個体を使っている場合は、購入前に実測しておくと確実です。

電気的な相性の問題もいくつか報告されています。アクティブ回路を搭載したギターのTRSジャックは、通常はチップがオーディオ、スリーブがグラウンド、リングが電池用グラウンドという配線ですが、まれにリングとスリーブが逆に配線された個体があります。この場合は音が出なかったり、「トン、トン、トン」という音がギターの音に混ざったりします。YAMAHAのサイレント・ギターも配線が特殊なため、そのままでは動作しません。いずれもローランドの公式サポートで、変換プラグを介した接続などの対処方法が案内されています。

ステレオ出力の機器では仕様上の制約があります

出力端子がステレオ標準(TRS標準タイプ)の機器につないだ場合、WL-Tはモノラル仕様のため、L側(チップ側)の信号のみが出力されます。これは仕様であり、対処方法はありません。ステレオ出力の電子楽器をワイヤレス化したい場合は、別の方法を検討する必要があります。

レシーバーの駆動時間は、途中で仕様が変わっている

現行の仕様では、満充電時の連続使用時間はトランスミッターが約12時間、レシーバーが約7時間です。ここで気をつけたいのは、発売当初のレシーバーは10時間だったという点です。2022年1月、世界的な電子部品の供給逼迫に対応した使用部品の変更にともない、レシーバーの連続使用時間は10時間から7時間へ変更されました。ローランドは、告知の前に仕様変更後の製品を出荷していたことについて、2022年1月14日付で対象製造番号とともに公式に謝罪しています。

ネット上のレビューや商品説明には、いまだに「レシーバー10時間」と書かれたものが残っています。長時間のリハーサルから本番までを1回の充電で通したい場合は、7時間を前提に計画を立ててください。中古で購入する際は、外装箱のシールに記載された製造番号から仕様変更前後のどちらかを判別できます。

電池まわりでは、もう一点知っておきたいことがあります。トランスミッターとレシーバーに内蔵されている充電式リチウムイオン電池は、ユーザーが交換できません。充電できなくなったり、充電してもすぐに残量がなくなったりした場合は、購入店またはローランドお客様相談センターへの修理依頼になります。長く使う機材として考えるなら、この点は把握しておいたほうがいいでしょう。充電しながらの使用も可能ではありますが、USB ACアダプターによっては電源ノイズが原因で音声出力が途切れることがあり、充電を終えてから使うことが推奨されています。なお充電時の推奨周囲温度は10℃〜30℃で、35℃以上になると電池を保護するために充電が一時停止することがあります。夏場の屋外イベントでは、充電のタイミングに少し余裕を持たせておくと安心です。

WL-20Lが向いている人、向いていない人

向いているのは、プリアンプ内蔵のエレアコ、アクティブ・ピックアップのギターやベース、ショルダー・キーボードやエアロフォンといった電子楽器を主に使う方です。楽器側ですでに整った信号が出ているため、余計な色付けをせずにワイヤレス化できます。また、パッシブのギターを使っていても、ケーブル由来の高域の落ち込みをむしろ避けたいという考えの方には、WL-20Lのほうが目的に合います。ペダルボードに組み込むのではなく、アンプの前に置いて使いたい、あるいは自宅練習からライブまで持ち歩きたいという用途にも、この小ささは効いてきます。

逆に、パッシブのストラトやレスポールでケーブルの音を基準に音作りをしているのであれば、WL-20のほうが従来の感覚に近くなります。パッシブとアクティブを持ち替える、あるいはケーブル・トーンをオン/オフしたいという場合はWL-50が候補になります。ペダルボードへの組み込みや電源供給まで含めて考えたい方も、WL-50以上のモデルを見ておくといいでしょう。実勢価格は2万円前後で推移していますが、時期や販売店によって変動します。

主な仕様

無線通信フォーマットBOSS独自方式によるデジタル・オーディオ
無線キャリア周波数2.4GHz
最大同時使用チャンネル数14(使用場所の状況により変動)
伝送範囲見通し15m(使用場所の状況により変動)
レイテンシー2.3ms
ダイナミックレンジ110dB以上
周波数特性20Hz〜20kHz
規定入力レベル/入力インピーダンス-10dBu/1MΩ
規定出力レベル/出力インピーダンス-10dBu/1kΩ
推奨負荷インピーダンス10kΩ以上
接続端子(レシーバー)出力端子:TRS標準タイプ/TRANSMITTER端子:TRS標準タイプ/DC IN 5V端子:USBマイクロBタイプ
連続使用時間トランスミッター 約12時間/レシーバー 約7時間
充電時間単体 約3時間/同時充電 約4時間
外形寸法・質量(レシーバー)87(W)×25(D)×38(H)mm/60g
外形寸法・質量(WL-T)87(W)×22(D)×36(H)mm/43g
付属品トランスミッター、充電用マイクロUSBケーブル、取扱説明書、「安全上のご注意」チラシ、保証書、ローランド ユーザー登録カード
WL-20Lをパッシブのエレキギターやベースに使えますか?

使えます。その場合、ギター・ケーブルでつないだときと比べて、ややブライト寄りの音になります。ケーブル・トーン・シミュレーションによる高域の変化が加わらないためです。

WL-20とWL-20Lで、音質や電波の飛び方に差はありますか?

違いはレシーバーのケーブル・トーン機能の有無と、レシーバー本体の色だけです。無線方式、レイテンシー、伝送範囲、入出力レベルはすべて共通で、それ以外に電気的な差はありません。

レシーバーは1回の充電で何時間使えますか?

約7時間です。発売当初は10時間でしたが、2022年1月の使用部品変更にともなって7時間に変更されました。トランスミッターは約12時間です。

内蔵バッテリーがへたってきたら自分で交換できますか?

交換できません。充電できない、または充電してもすぐに残量がなくなる場合は、購入店またはローランドお客様相談センターへ修理を依頼することになります。

どんなギターにも取り付けられますか?

ストラトキャスター、テレキャスター、レスポール、SG、エレアコなど一般的なタイプには装着できます。ただしジャック部に直径18.5mm・深さ5mmの円柱状の空間が必要で、この空間がない楽器には取り付けられません。

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この記事を書いた人

13歳よりエレキギターを始め、学生時代はバンド活動に明け暮れる。音響機器やPAの基礎を専門学校で学びつつ、18歳頃にアルバイトとして始めた大手楽器店にて楽器の買い取り業務を担当。約10年間にわたり音楽機材の買取査定、販売・リペアなどに携わり、数多くのエフェクターに触れる。楽器店退職後、2009年よりエフェクター専門サイト『EFFECTOR COLLECTION BOX』の運営をスタート。

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