QUICK GUIDE
WL-20は、約3mのギター・ケーブルを通したときの高音域の変化を再現するケーブル・トーン・シミュレーションを備えたワイヤレス・システムです。
- ブランド
- BOSS
- 種類
- ワイヤレスシステム
- 対応楽器
- ギター用・ベース用
ワイヤレス・システムの多くは、ケーブルの音をどう再現するかという発想では作られていません。信号を劣化させずに飛ばすことが目的だからです。ところがBOSSのWL-20には、ケーブル・トーン・シミュレーションという機能が組み込まれています。約3mのギター・ケーブルを通したときに起きる、自然な高音域の変化を再現するための仕組みです。パッシブ・ピックアップを積んだエレキ・ギターやエレキ・ベースのための一台として、WL-20はこの機能を標準で備えています。
ワイヤレスで失われるものを、あらかじめ足し戻す
パッシブ・ピックアップの出力はハイ・インピーダンスです。ここに3m程度のシールドをつなぐと、ケーブルが持つ静電容量の影響で高音域がわずかに削られ、角の取れた響きになります。この変化は避けようのないものですが、長く弾いてきた人ほど、その状態を含めて「自分の音」として耳になじませてきたはずです。アンプのトーンをどこに設定するかも、無意識にそこを基準にして決まっています。
ワイヤレスにすると、この変化が起きません。信号は劣化なく届きますが、その結果として、いつもより高域が立った音が返ってきます。悪い音ではないものの、慣れた感覚とはずれる。WL-20のケーブル・トーン・シミュレーションは、このずれを埋めるための機能です。約3mのギター・ケーブルを使ったときのナチュラルな高音域の変化を再現することで、ワイヤレスでありながらシールドに近い手触りを保ちます。
無線部分の技術は、BOSSの完全ワイヤレス・ギター・アンプKATANA-AIRで開発されたものが使われています。2.4GHz帯で動作し、最適なチャンネルは自動で選ばれます。演奏者が設定に関わる部分はありません。
接続は差し込むだけ、設定作業はなし
使い始める手順はごく単純です。トランスミッターをレシーバーのTRANSMITTER端子に約10秒間ドッキングさせると、最適なワイヤレス接続が自動的に設定されます。あとはトランスミッターを楽器のジャックに、レシーバーをアンプやエフェクターのインプットに挿すだけで、チャンネルを選んだり周波数を合わせたりといった作業はありません。
レシーバーは幅87×奥行25×高さ38mmで60g、トランスミッターのWL-Tは幅87×奥行22×高さ36mmで43g。どちらも手のひらに収まり、ポケットに入れて持ち歩ける大きさです。レシーバーの出力端子はTRS標準タイプ、規定出力レベルは-10dBu、出力インピーダンスは1kΩ、推奨負荷インピーダンスは10kΩ以上となっています。
電源はどちらも充電式リチウムイオン電池です。トランスミッターをレシーバーにドッキングした状態で、DC IN 5V端子(USBマイクロBタイプ)から2台まとめて充電できます。空の状態からの充電時間は単体でそれぞれ約3時間、同時充電で約4時間。充電方法によって連続使用時間が変わることはありません。充電用のマイクロUSBケーブルは同梱されていますが、USB ACアダプター(5V/0.5A以上)は付属しないため、手持ちのものを用意しておく必要があります。トランスミッターは60分間無音の状態が続くと自動的にスタンバイに入るので、休憩中に電池を消費し続けることもありません。
伝送性能と、置き場所で変わる安定度
レイテンシーは2.3ms、伝送範囲は見通しで15m、ダイナミックレンジは110dB以上、周波数特性は20Hz〜20kHzです。同じ場所で最大14台のBOSSワイヤレス・システムを同時に使用できます。この14台という数字は、バンド単位でワイヤレス化した場合や、対バン形式で他の出演者と重なる場合を想定した余裕になります。
ただし2.4GHz帯は、Wi-Fiルーターや電子レンジなど身近な機器と同じ帯域です。レシーバーはこうした無線機器から3m以上離して設置することが推奨されており、電子レンジの使用中に電波干渉で音が途切れることもあります。スタジオやライブハウスで音切れが起きたときは、まずレシーバーの置き場所を疑ってみると解決が早いです。伝送範囲の15mも見通しでの値なので、客席のうしろまで歩いていくような使い方では、壁や人の位置によって届き方が変わります。
買う前に確認しておきたい3つのこと
ケーブル・トーンはオフにできず、伝送はモノラル
WL-20のケーブル・トーン・シミュレーションは常時かかった状態で、オフにする手段はありません。曲や楽器によって切り替えたい場合は、オフ/ショート(約3mのケーブル特性)/ロング(約6mのケーブル特性)を選べるWL-50が該当します。
もう一点、WL-20の伝送はモノラルです。ステレオで送りたい場合は2セットが必要になります。その際はトランスミッターとレシーバーを2セット同時に接続できるかどうか、外形寸法図で確認しておくことが公式に案内されています。
自分の楽器のジャック周りに、装着できる空間があるか
WL-Tは楽器のジャックに直接挿し込むタイプです。ストラトキャスター・タイプ、テレキャスター・タイプ、レスポール・タイプ、SGタイプ、エレクトリック・アコースティック・ギターといった一般的な楽器には装着できますが、取り付けジャック部に直径18.5mm、深さ5mmの円柱状の空間がないと物理的に取り付けられません。ジャックプレートの形状が特殊な楽器や、ザグリの浅い個体を使っている場合は、購入前に実測しておくと確実です。
電気的な相性の問題もいくつか報告されています。アクティブ回路を搭載したギターのTRSジャックは、通常はチップがオーディオ、スリーブがグラウンド、リングが電池用グラウンドという配線ですが、まれにリングとスリーブが逆に配線された個体があります。この場合は音が出なかったり、「トン、トン、トン」という音がギターの音に混ざったりします。YAMAHAのサイレント・ギターも配線が特殊なため、そのままでは動作しません。いずれもローランドの公式サポートで、変換プラグを介した接続などの対処方法が案内されています。
出力端子がステレオ標準(TRS標準タイプ)の機器につないだ場合、WL-Tはモノラル仕様のため、L側(チップ側)の信号のみが出力されます。これは仕様であり、対処方法はありません。
レシーバーの駆動時間は、途中で仕様が変わっている
現行の仕様では、満充電時の連続使用時間はトランスミッターが約12時間、レシーバーが約7時間です。ここで気をつけたいのは、発売当初のレシーバーは10時間だったという点です。2022年1月、世界的な電子部品の供給逼迫に対応した使用部品の変更にともない、レシーバーの連続使用時間は10時間から7時間へ変更されました。ローランドは、告知の前に仕様変更後の製品を出荷していたことについて、2022年1月14日付で対象製造番号とともに公式に謝罪しています。WL-20の対象製造番号は C0N7080〜C0N7099 および C1N9500〜C1N9879 です。
ネット上のレビューや商品説明には、いまだに「レシーバー10時間」と書かれたものが残っています。長時間のリハーサルから本番までを1回の充電で通したい場合は、7時間を前提に計画を立ててください。中古で購入する際は、外装箱のシールに記載された製造番号から仕様変更前後のどちらかを判別できます。
電池まわりでは、もう一点知っておきたいことがあります。トランスミッターとレシーバーに内蔵されている充電式リチウムイオン電池は、ユーザーが交換できません。充電できなくなったり、充電してもすぐに残量がなくなったりした場合は、購入店またはローランドお客様相談センターへの修理依頼になります。充電しながらの使用も可能ではありますが、USB ACアダプターによっては電源ノイズが原因で音声出力が途切れることがあり、充電を終えてから使うことが推奨されています。なお充電時の推奨周囲温度は10℃〜30℃で、35℃以上になると電池を保護するために充電が一時停止することがあります。夏場の屋外イベントでは、充電のタイミングに少し余裕を持たせておくと安心です。
WL-20・WL-20L・WL-50、どれを選ぶか
3機種の無線性能は共通で、選び分けの基準はケーブル・トーン機能の扱いと、レシーバーの形状です。
| 機種 | ケーブル・トーン | 主な対象 |
| WL-20 | 常時オン(オフ不可) | パッシブ・ピックアップのエレキ・ギター/ベース |
| WL-20L | 非搭載 | アクティブ・ピックアップ、プリアンプ内蔵エレアコ、ショルダー・キーボード、エアロフォンなど |
| WL-50 | オフ/ショート(約3m)/ロング(約6m)を切替 | 両方を持ち替える場合、ペダルボードに組み込みたい場合 |
アクティブ・ピックアップ搭載ギターやプリアンプ内蔵のエレアコにWL-20を使うこと自体は可能です。その場合、ギター・ケーブル使用時と比べてやや暖かく柔らかい音になります。ロー・インピーダンスの信号はもともとケーブルの影響を受けにくいため、そこにケーブル・トーンが加わるぶんの変化ということです。パッシブとアクティブの両方を持ち替えて使うのであれば、切り替えのできるWL-50が公式にも勧められています。
WL-20が向いている人、向いていない人
向いているのは、パッシブ・ピックアップのエレキ・ギターやベースを主に弾いていて、シールドでの音を基準に音作りをしている方です。ワイヤレスに変えても、アンプ側のセッティングをやり直す必要が少なくて済みます。レシーバーがペダルサイズではないぶん置き場所を選ばないので、ペダルボードを組んでいない人や、アンプ直で弾く人にも扱いやすい形です。自宅練習からスタジオ、ライブまで同じ一台を持ち歩く使い方にも、この小ささが効いてきます。
一方で、アクティブ・ピックアップやプリアンプ内蔵のエレアコが中心であればWL-20Lのほうが素直です。ケーブル・トーンをオフにしたい場面がある、パッシブとアクティブを持ち替える、ペダルボードに組み込んで他のペダルへ電源も供給したい、といった条件が付くならWL-50が候補になります。実勢価格は2万円前後で推移していますが、時期や販売店によって変動します。
主な仕様
| 無線通信フォーマット | BOSS独自方式によるデジタル・オーディオ |
| 無線キャリア周波数 | 2.4GHz |
| 最大同時使用チャンネル数 | 14(使用場所の状況により変動) |
| 伝送範囲 | 見通し15m(使用場所の状況により変動) |
| レイテンシー | 2.3ms |
| ダイナミックレンジ | 110dB以上 |
| 周波数特性 | 20Hz〜20kHz |
| 規定入力レベル/入力インピーダンス | -10dBu/1MΩ |
| 規定出力レベル/出力インピーダンス | -10dBu/1kΩ |
| 推奨負荷インピーダンス | 10kΩ以上 |
| 接続端子(レシーバー) | 出力端子:TRS標準タイプ/TRANSMITTER端子:TRS標準タイプ/DC IN 5V端子:USBマイクロBタイプ |
| 消費電流(レシーバー) | ワイヤレス動作時 60mA/充電時 500mA |
| 連続使用時間 | トランスミッター 約12時間/レシーバー 約7時間 |
| 充電時間 | 単体 約3時間/同時充電 約4時間 |
| 外形寸法・質量(レシーバー) | 87(W)×25(D)×38(H)mm/60g |
| 外形寸法・質量(WL-T) | 87(W)×22(D)×36(H)mm/43g |
| 付属品 | トランスミッター、充電用マイクロUSBケーブル、取扱説明書、「安全上のご注意」チラシ、保証書、ローランド ユーザー登録カード |
- ケーブル・トーン・シミュレーションはオフにできますか?
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WL-20ではオフにできません。オン/オフを切り替えたい場合は、オフ/ショート(約3m)/ロング(約6m)を選べるWL-50が該当します。
- アクティブ・ピックアップのギターやエレアコにWL-20を使えますか?
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使えます。その場合、ギター・ケーブル使用時と比べてやや暖かく柔らかい音になります。こうした楽器が中心であればWL-20L、両方を持ち替えるならWL-50が適しています。
- レシーバーは1回の充電で何時間使えますか?
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約7時間です。発売当初は10時間でしたが、2022年1月の使用部品変更にともなって7時間に変更されました。トランスミッターは約12時間です。
- 内蔵バッテリーは自分で交換できますか?
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交換できません。充電できない、または充電してもすぐに残量がなくなる場合は、購入店またはローランドお客様相談センターへ修理を依頼することになります。
- どんなギターにも取り付けられますか?
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ストラトキャスター、テレキャスター、レスポール、SG、エレアコなど一般的なタイプには装着できます。ただしジャック部に直径18.5mm・深さ5mmの円柱状の空間が必要で、この空間がない楽器には取り付けられません。
- ステレオで使えますか?
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WL-20の伝送はモノラルです。ステレオで送るには2セットが必要で、その際はトランスミッターとレシーバーが2セット同時に接続できるかを外形寸法図で確認しておく必要があります。
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