ボードにもう一台分だけスペースが残っている。でもそこに何を入れるかが決まらない。ディレイも欲しいし、たまに使うピッチシフターも捨てがたい。LINE6 HX Oneは、その「一枠」に対する答えとして作られたペダルです。
エフェクトペダルほどの筐体に、HXファミリー・プロセッサーから受け継いだ250種類以上のエフェクトを収録。HXモデリング・テクノロジーはアナログ機材の挙動を個々のコンポーネント単位で計測してキャプチャーする方式で、再現が難しいとされるゲルマニウム・ファズや、いわゆる“バケツ・リレー”(BBD)回路を使ったアナログ・ディレイまで対象にしています。
250種類以上から、1つだけを選んで使う
ここが本機を理解するうえで最も大切な点です。HX Oneが同時に使えるエフェクトは1系統だけ。マルチエフェクターのように複数を数珠つなぎにすることはできません。
一見すると制約に思えますが、この設計には理由があります。操作が1つのエフェクトに閉じているため、ノブを回せばすぐ音が変わり、迷う余地がありません。コンパクトエフェクターと同じ感覚で扱えるマルチ、という立ち位置です。
収録されているのは歪み、ダイナミクス/EQ、モジュレーション、ディレイ、リバーブ、ピッチ/シンセ、ワウ/フィルターなど幅広いカテゴリー。作った設定は128個のプリセット・スロットに保存でき、曲ごとに別のエフェクトを呼び出すような使い方ができます。「この曲のこの場面だけで使う飛び道具」を、ボードを増やさずに確保しておけるわけです。
3つのノブで完結する操作
EFFECTノブを回すとエフェクトのリストをたどれます。押しながら回すとカテゴリー単位で絞り込めるので、250種類を端から探す必要はありません。
選んだエフェクトのパラメーターはOLEDディスプレイに3つ表示され、上段の3ノブがそのまま対応します。パラメーターが4つ以上ある場合はPAGEボタンで次のページへ。ノブを押し込めばそのパラメーターが初期値に戻り、ディレイタイムやモジュレーション速度のような時間系パラメーターではms/Hz表記と音符表記を押すたびに切り替えられます。
フットスイッチは2つ。ONはエフェクトのオン/バイパス、TAP/FLUXは2回以上踏んでテンポ設定、1回踏めばLFO系モジュレーションの位相をリセットします。
Fluxコントローラーで音を動かす
HX One独自の機能がFluxです。フットスイッチを押すと、あらかじめ設定した複数のパラメーターが、設定した時間をかけて同時に変化していきます。
たとえばディレイのフィードバックとミックスを徐々に上げて曲の展開に合わせて空間を広げる、あるいはピッチを時間をかけて動かしていく。エクスプレッションペダルを足で操作する代わりに、踏んだあとは演奏に集中できるのが利点です。手が塞がっている場面で音を動かしたいときに効いてきます。
ボードに組み込むための設計
インプット・インピーダンスを調整できる
ペダルの入力インピーダンスは、ピックアップからの信号がどれだけ「受け止められるか」を左右し、音色とピッキングの手応えの両方に影響します。HX Oneはこの値を調整できるため、出力の弱いヴィンテージ系ピックアップから高出力のアクティブまで、楽器に合わせて詰められます。接続位置を変えたときの違和感を解消する調整項目としても使えます。
バイパス方式を選べる
トゥルーバイパスとバッファードDSPバイパスから選択できます。トゥルーバイパスではA/D・D/A変換を経由せず、入力から出力へアナログ信号がそのまま流れます。ディレイやリバーブの残響を残したい場合と、オフ時に完全に切り離したい場合とで、使い分けられる設計です。
ステレオ対応
入出力はL/MONOとRIGHTの2系統ずつ。モノラルで使う場合はL/MONO側だけを使い、ステレオのペダルやキーボード、モデラーと繋ぐ場合は両方を使います。ステレオで使うにはSettings画面でI/O ConfigをStereoに設定します。
電源は500mA、アダプター同梱
9V DC、センターマイナス、2.1mm径、500mAのアダプターが同梱されています。一般的なパワーサプライからの供給にも対応しますが、500mAを確保できるポートが必要です。サイズは125(W)×96(D)×62(H)mm、質量450g。既存のボードに後から足す前提で考えられた寸法です。
MIDIと外部コントロール
MIDI INとOUT/THRU端子を備えており、プログラム・チェンジ、コントロール・チェンジ、MIDIクロックを外部機器から受信できます。MIDIスイッチャーを核にしたシステムに組み込み、パッチ切り替えに連動させてHX One側のプリセットも同時に呼び出す、といった運用が可能です。
EXPペダル端子には、TSケーブルでエクスプレッションペダルを、TRSケーブルで2つのフットスイッチを接続できます。エクスプレッションペダルは関連するパラメーターに自動でアサインされるため、ワウやピッチ系をすぐ足で操作できます。
USB-C端子はファームウェア更新のほか、無償のHX One Librarianによる128プリセットのバックアップ/復元に使用します。DAWからのUSB MIDIコントロールにも対応しています。
スペック
| エフェクト数 | 250種類以上(HXファミリー・プロセッサー由来) |
| 同時使用数 | 1系統 |
| プリセット | 128 |
| ディスプレイ | OLED |
| コントロール | パラメーター・ノブ×3、EFFECTノブ、PAGEボタン、HOME/SAVEボタン、ONフットスイッチ、TAP/FLUXフットスイッチ |
| 独自機能 | Fluxコントローラー(複数パラメーターを設定時間内に自動変化) |
| 入出力 | INPUT L/MONO・RIGHT、OUTPUT L/MONO・RIGHT(標準ジャック) |
| インプット・インピーダンス | 調整可能 |
| バイパス | トゥルーバイパス/バッファードDSPバイパス(選択式) |
| MIDI | IN、OUT/THRU(プログラム・チェンジ、コントロール・チェンジ、MIDIクロック受信) |
| 外部コントロール | EXP端子:エクスプレッションペダル(TS)/フットスイッチ2つ(TRS) |
| USB | USB-C(ファームウェア更新、HX One Librarian、USB MIDI) |
| 電源 | 9V DC センターマイナス 2.1mm 500mA(アダプター同梱) |
| 外形寸法 | 125(W)×96(D)×62(H)mm |
| 質量 | 450g |
よくある質問
- エフェクトを複数同時に使えますか?
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使えません。同時に動作するのは1系統のみです。250種類以上の中から1つを選んで使う設計で、複数のエフェクトを同時に組み合わせたい場合はHX Stompなど上位機種が選択肢になります。
- アンプ・モデリングは入っていますか?
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本機はエフェクトに特化したモデルです。収録されているのは歪み、ダイナミクス/EQ、モジュレーション、ディレイ、リバーブ、ピッチ/シンセ、ワウ/フィルターなどのエフェクトになります。
- どんな電源が必要ですか?
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9V DC、センターマイナス、2.1mm径、500mAのアダプターが同梱されています。一般的なパワーサプライからも供給できますが、500mAに対応したポートが必要です。
- Fluxコントローラーとは何ですか?
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フットスイッチを押すことで、複数のエフェクト・パラメーターをあらかじめ設定した時間内で同時に変化させる機能です。踏んだあとは自動で変化が進むため、演奏しながら音を動かせます。
- エクスプレッションペダルと外部フットスイッチ、どちらも使えますか?
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EXP端子にエクスプレッションペダル(TSケーブル)、または2つのフットスイッチ(TRSケーブル)を接続できます。片方ずつ組み合わせて使うことも可能です。
- 作った音色を保存できますか?
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128個のプリセット・スロットに保存できます。USB-C接続で無償のHX One Librarianを使えば、パソコンへのバックアップと復元も行えます。
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