ソロで一歩前に出たい。アンプをもう少しだけプッシュして、ほどよく歪ませたい。ブースターに求める役割はいろいろありますが、音量を上げるだけでなく、音そのものにハリと艶を足してくれるのがXoticの「EP Booster」です。
70年代のテープエコー「エコープレックスEP-3」のプリアンプに着目し、そのサウンドを手のひらに収まるサイズにまとめた1台です。つまみはひとつだけというシンプルさで、発売から10年以上たった今もXoticのラインナップに残り続けるロングセラーとなっています。
EP Boosterとは?

ルーツは名機エコープレックスEP-3のプリアンプ
エコープレックスEP-3は、1970年代に多くのギタリストが愛用したテープエコーです。ディレイとしてだけでなく、プリアンプ部を通したときの音の変化にも定評がありました。ジミー・ペイジ、エディ・ヴァン・ヘイレン、エリック・ジョンソンといった名手たちも、EP-3をプリアンプとして使っていたことで知られています。
EP Boosterは、そのEP-3のプリアンプサウンドを、ディスクリート構成のFET回路でコンパクトな筐体に落とし込んだブースターです。幅38mmの小さなボディに、名機ゆずりのキャラクターが詰まっています。
名手たちも認めるクリーンブースト
ジョー・ボナマッサは、EP Boosterを「これまで聴いたなかで群を抜いて最高のクリーンブースト」と評し、ヴィンテージのギブソンとの相性の良さにも触れています。リー・リトナーも、小さくてパワフルなペダルに求めるものがすべてそろっていると語っています。
EP Boosterのサウンドの特徴
最大+20dB。音量と一緒に、音のハリと艶も持ち上がる
最大+20dBまで信号を持ち上げられるパワーを持ちながら、単に音が大きくなるだけではありません。高域にはきらめきが、低域には厚みが加わり、立体感のあるサウンドになるのがEP Boosterらしさです。完全に無色透明なブースターではなく、音に「いい色」をひと塗り足すタイプといえます。
出力は低インピーダンス設計のため、後ろにつなぐペダルや長めのケーブルの影響を受けにくいのもポイントです。
9V〜18V駆動でヘッドルームを調整できる
電源は9Vから18Vまで対応しています。電圧を上げるとヘッドルームが広がり、ピッキングの強弱に素直に反応する、張りのある鳴り方に変わります。18Vの電源がない場合は、9Vを15V/18Vに昇圧するXotic純正の「Voltage Doubler」も用意されています。
内部DIPスイッチで選べる3つの設定
外から触れるのはゲインつまみひとつだけですが、裏蓋を外すと2つのDIPスイッチがあります。1番は「+3dBゲイン」、2番は「ブライト」です。この組み合わせで、次の3つの設定を選べます。
| 設定 | SW1(+3dBゲイン) | SW2(ブライト) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| Default | ON | ON(フラットなEQ) | 出荷時の設定。ゲインを絞りきっても+3dBのブーストがかかる |
| Unity Gain | OFF | ON(フラットなEQ) | ゲインを絞りきると音量がそろう。音量を変えずに音質だけを足したいときに |
| Vintage | OFF | OFF | ブライトを外した、ヴィンテージ寄りのトーン |
ギターやアンプのキャラクターに合わせて、ここで方向性を決めておくと、ゲインつまみひとつでも音づくりの幅がぐっと広がります。
EP Boosterの使い方
アンプをプッシュするクリーンブーストとして
もっとも基本的な使い方です。アンプの手前に置いてゲインを上げれば、ソロで音を一歩前に出したり、真空管アンプを気持ちよく歪ませたりできます。
歪みペダルと組み合わせて
オーバードライブやディストーションの前に置けば、歪みペダルへの入力が増えて、ゲインや粘りを足せます。後ろに置けば、歪みの質感はそのままに音量を持ち上げられます。どちらに置くかで効き方が変わるので、目的に合わせて選べます。
常時ONで音づくりの土台に
EP Boosterは、かけっぱなしで使うプレイヤーが多いペダルでもあります。Unity Gain設定にしておけば、音量をそろえたままEP-3系のハリと艶だけを足せるので、常時ONの使い方と相性がいい組み合わせです。
EP Boosterのスペック
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 最大ブースト量 | +20dB |
| コントロール | ゲイン、内部DIPスイッチ×2(+3dBゲイン/ブライト) |
| バイパス方式 | トゥルーバイパス |
| 電源 | 9V電池(006P)/ACアダプター 9〜18V DC(センターマイナス、安定化電源推奨) |
| 消費電流 | 5mA(9V時) |
| 入力インピーダンス | 1MΩ |
| 出力インピーダンス | 1kΩ |
| サイズ(W×D×H) | 89×38×38mm |
| 重量 | 260g |
他のブースターとの比較
| 製品名 | 最大ブースト量 | 主なコントロール | サウンドの方向性 |
|---|---|---|---|
| Xotic EP Booster | +20dB | ゲイン1ノブ+内部DIPスイッチ | EP-3系。ハリと艶を足す |
| Xotic RC Booster V2 | +20dB以上 | 2バンドEQ(±15dB)、追加のゲインチャンネル | 原音に色付けしない透明系 |
| MXR Micro Amp | +26dB | ゲイン1ノブ | 音量を持ち上げるシンプルなブースト |
同じXoticのRC Booster V2は、原音に色付けしない透明なブーストと2バンドEQが持ち味です。サイズは大きくなりますが、EQで積極的に音を整えたい人や、2段階のブーストを使い分けたい人に向いています。MXR Micro Ampは、1ノブで音量をぐっと持ち上げるシンプルな定番機です。
EP Boosterはその中間で、操作はシンプルなまま、音にほどよいキャラクターを加えたい人にしっくりくる1台です。
EP Boosterが合うプレイヤー
- 音量だけでなく、音のハリや艶も足したい人
- 常時ONで使える、音づくりの土台になるペダルを探している人
- 幅38mmの小型ペダルで、ボードのスペースを節約したい人
- 普段は1ノブで手軽に扱い、DIPスイッチで好みの方向に追い込みたい人
よくある質問(FAQ)
- EP Boosterは電池でも使えますか?
-
はい、9V電池(006P)で駆動できます。電池は、裏蓋のネジ4本を外して交換します。ACアダプターを挿しているあいだは、電池は回路から切り離されます。電池で使うときは、使わないあいだインプットのプラグを抜いておくと長持ちします。
- どんなACアダプターが使えますか?
-
9〜18VのDC、センターマイナスのアダプターに対応しています。ノイズを避けるため、安定化(レギュレーテッド)タイプを選ぶのがおすすめです。
- 18Vで使うと何が変わりますか?
-
ヘッドルームが広がり、ピッキングの強弱への反応がより素直になります。9Vの電源しかない場合は、Xoticの「Voltage Doubler」で18Vに昇圧して使えます。
- 常時ONで使っても大丈夫ですか?
-
もちろん大丈夫です。かけっぱなしで使うことを前提に選ばれることも多いペダルです。内部DIPスイッチをUnity Gain設定にすれば、音量をそろえたまま音質の変化だけを加えられます。
- OFFにしたときに音への影響はありますか?
-
トゥルーバイパス仕様なので、OFFのときは信号がEP Boosterの回路を通りません。
まとめ:つまみひとつで音にハリと艶を足す、EP-3ゆずりのブースター
EP Boosterは、名機EP-3のプリアンプサウンドを小さな筐体に収めたブースターです。最大+20dBのブーストで、音量と一緒に音のハリと艶も持ち上げてくれます。9〜18V駆動や3通りのDIPスイッチ設定で、自分の機材に合わせて追い込める奥行きもあります。
ソロ用のブースターとしても、常時ONの音づくりの土台としても活躍してくれる1台です。ボードに何か1台足すなら、まず候補に入れておきたいペダルです。
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