澄んだクリーンが出るアンプを、いつでも足元に持ち歩けたら。スタジオやライブハウスの備え付けアンプに左右されず、自分のクリーンを鳴らしたいと考えるギタリストは少なくないはずです。VeroCity Effects Pedals(ベロシティエフェクツペダルズ)のFVKは、Fender Custom ShopのアンプVibro-Kingのプリアンプ部をエミュレートしたペダルです。ヌケのよいクリスタルクリーンを軸に、VOLUMEとFATスイッチでクランチまで踏み込めます。
FVKはどんなペダルなのか
Vibro-Kingのプリアンプ部を、コンパクトな筐体に
FVKが手本にしているのは、Fender Custom ShopのアンプVibro-Kingのプリアンプ部です。初段のバッファーのあとに、真空管アンプの2段増幅をFETで再現した回路が続く構成で、真空管アンプらしい反応をペダルサイズで引き出せるように作られています。
得意とするのは、ヌケのよいクリスタルクリーン。そこからVOLUMEを上げたり、FATスイッチを入れたりすることで、真空管らしいサチュレーションを含んだクランチへと表情を変えていきます。
ひとつずつ手作業で組み上げられる国産ペダル
VeroCity Effects Pedalsは、2014年に立ち上がり、2015年から本格的に販売を始めた国内のブランドです。「本物のアンプサウンドをコンパクトなペダルで再現する」ことをコンセプトに、名機と呼ばれるアンプのエミュレーターを数多く手がけています。製品は国内の工房で1台ずつハンドメイドで組み上げられ、出荷前には代表とビルダー自らが試奏して、細かなチェックと調整を行っています。
FVKも、一つひとつ選別したパーツを、従来のVero基板のレイアウトをそのままPCBに置き換えた「Vero to PCB」基板に組み上げています。配線にはBELDENのワイヤー、ハンダにはドイツ製のWBT銀ハンダを使用。PCB化によって、これまでのサウンドを保ったまま、より正確なパーツ実装ができるようになっています。
クリーンからクランチへ、つまみと音作り
VOLUME:上げるほど真空管らしいサチュレーションに
VOLUMEは、クリーンチャンネルのボリュームにあたるつまみです。初段からEQを通った信号を、2段目のFETへどれだけ送るかを決めています。真空管の振る舞いを模した回路なので、右に回すほど音量が上がるだけでなく、真空管アンプのようなサチュレーション(歪み)が少しずつ加わっていきます。
アンプのボリュームを上げていくと、クリーンがほんのり崩れてくる。その感覚をペダルでも味わえるのが、このつまみのおもしろいところです。
FATスイッチ:太さと音量を足して、クランチへ
中央のトグルスイッチがFATです。上に倒すと音量と太さが増し、その状態でVOLUMEを上げていくと、上質なクランチトーンへと変化していきます。きらびやかなクリーンと、太さのあるクランチ。1台で性格の異なる2つの音を行き来できるのは、FATスイッチがあるからこそです。
TREBLE・MIDDLE・BASSの3バンドEQ
EQはTREBLE、MIDDLE、BASSの3バンドです。アンプのトーンコントロールと同じ感覚で扱えるので、つなぐアンプや会場の鳴り方に合わせて、細かく音を整えられます。
- VOLUME:クリーンチャンネルのボリューム。上げるほど真空管らしいサチュレーションが加わる
- FATスイッチ:上で音量と太さが増す。VOLUMEを上げるとクランチに
- TREBLE/MIDDLE/BASS:3バンドEQ
なお、リバーブやトレモロの機能は搭載していません。
つなぎ方で変わる、出力ジャックの「半挿し」機能
通常の挿し方では、アンプのクリーンチャンネルへ
FVKのフットスイッチはトゥルーバイパスです。ふだんどおりプラグを奥まで挿せば、アンプのクリーンチャンネルにつなぐペダルとして使えます。
半挿しにすると、アンプのリターンにも対応
FVKならではの工夫が、出力ジャックの仕掛けです。プラグを半分だけ挿す「半挿し」にすると、出力のインピーダンスが切り替わり、ギターアンプのリターン(パワーアンプ部への入力)につなげるようになります。スイッチングシステムなどでインピーダンスを合わせたいときにも、この半挿しが使えます。
また、奥まで挿したときに、つないだアンプのクリーンチャンネルによっては音が暗く感じられることがあります。そんなときも、半挿しを試すことで改善できる場合があります。
半挿しの効き方は、アンプやシールドとの相性によって変わることがあります。いちばんよい状態は、実際に音を出しながら探してみてください。動作が確認されているのは、プラグではSwitchcraft、G&H、Canare、アンプではMarshall JCM900、JCM2000、Roland JC-120などです。
ACアダプター専用設計と、消音ミュート機能
FVKはACアダプター専用で、電池では動作しません。そのかわり、入力プラグを抜いても電源が落ちない設計になっています。
さらに、ギターアンプやベースアンプの入力に見られるような消音ミュート機能を備えていて、プラグを抜き差ししたときに出力先を守ってくれます。電源を入れたままでも楽器の持ち替えがしやすいので、曲ごとにギターを替えるライブでも扱いやすいはずです。
FVKが向いている人、別の選択肢が合う人
FVKが向いている人
- 会場のアンプに左右されず、自分好みのクリーンを持ち歩きたい
- きらびやかなクリーンと、太さのあるクランチを1台で使い分けたい
- アンプのリターンやスイッチングシステムにも組み込める、柔軟なプリアンプを探している
- 国内の工房で1台ずつ組み上げられる、ハンドメイドのペダルに惹かれる
別の選択肢を検討したほうがいい人
FVKはクリーンとクランチを主役にしたペダルです。ハードロックやメタルのような深い歪みを求めているなら、同じVeroCity Effects Pedalsの歪みを得意とするモデルのほうが目的に合うでしょう。たとえば、JCM800らしいクランチと改造マーシャルのサウンドを切り替えられる800、Friedman BE-100のブラウンチャンネルをエミュレートしたFRD-B2-PLUS、Bogner Ecstasy 101Bの2ch・3chモードを再現したXTC-B2などがあります。
また、FVKはACアダプター専用です。電池駆動で手軽に使いたい場合は、電源の確保も含めて検討してみてください。
ペダルボードに組み込むときの実務情報
| コントロール | TREBLE、MIDDLE、BASS、VOLUME、FATスイッチ |
| フットスイッチ | トゥルーバイパス |
| 出力ジャック | 通常挿し:アンプのクリーンチャンネル用/半挿し:アンプのリターン、スイッチングシステム用 |
| 電源 | DC9V ACアダプター専用 |
| その他 | 消音ミュート機能 |
| 基板・パーツ | Vero to PCB基板、BELDENワイヤー、WBT銀ハンダ |
FVKは受注生産品で、カラーオーダーも追加料金なしで受け付けています。ボード全体の色合いをそろえたい方は、オーダー時に相談してみるとよいでしょう。
よくある質問
- FVKは電池で使えますか?
-
使えません。FVKはACアダプター専用です。そのぶん、入力プラグを抜いても電源が落ちない設計になっていて、消音ミュート機能も備えています。
- アンプのリターンにつないで使えますか?
-
出力ジャックを半挿しにすると、インピーダンスが切り替わり、ギターアンプのリターンにつなげるようになります。ただし、アンプやシールドとの相性があるため、実際に音を出しながら最適な状態を探してください。
- リバーブやトレモロは付いていますか?
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付いていません。FVKがエミュレートしているのはプリアンプ部で、リバーブやトレモロの機能は搭載されていません。
- 歪みペダルとしても使えますか?
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VOLUMEを上げると真空管らしいサチュレーションが加わり、FATスイッチを入れるとクランチトーンまで踏み込めます。より深い歪みが必要な場合は、800やFRD-B2-PLUSなど、同じブランドの歪みを得意とするモデルも候補になります。
- 筐体の色は選べますか?
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選べます。FVKは受注生産品で、カラーオーダーを追加料金なしで受け付けています。
まとめ
FVKは、Vibro-Kingのプリアンプ部をエミュレートした、クリーンとクランチが主役のペダルです。VOLUMEで加わる真空管らしいサチュレーション、FATスイッチで生まれる太いクランチ、そして3バンドEQ。さらに、半挿しでアンプのリターンにも対応する出力ジャックや、消音ミュート機能など、実際の現場で役立つ工夫も詰め込まれています。
どこで弾いても、自分のクリーンを鳴らしたい。そう考えている方にとって、国内の工房で1台ずつ組み上げられるFVKは、頼れる相棒になってくれるはずです。
BRAND
VeroCity Effects Pedals
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