コンプはボードに入れておきたい。でも、スペースはもうほとんど残っていない。そんなときに候補に挙がるのが、tc electronicのHyperGravity Mini Compressorです。スタジオ用プロセッサーSystem 6000と同じMD3アルゴリズムを使ったマルチバンド・コンプレッションを、93×48mmの小さな筐体に収めたペダルで、つまみはSUSTAIN、ATTACK、LEVELの3つだけ。低域・中域・高域を別々に処理するので、かけても音が詰まりにくく、自然なまとまりが得られます。
HyperGravity Mini Compressorはどんなペダルなのか
スタジオ譲りのマルチバンド・コンプを、ミニサイズに
HyperGravity Mini Compressorの心臓部は、tc electronicのスタジオ用プロセッサーSystem 6000と同じ、MD3コンプレッション・アルゴリズムです。一般的なコンプが音全体をひとまとめに圧縮するのに対して、このペダルは信号を低域・中域・高域に分け、それぞれを独立してコンプレッションします。
帯域ごとに処理することで、たとえば低音弦を強く弾いたときに高音まで一緒に押さえ込まれてしまう、といったことが起こりにくくなります。粒をそろえながらも音の明るさや抜けを保ちやすいのが、マルチバンド・コンプならではの持ち味です。
フルサイズのHyperGravityとの違い
兄弟機のフルサイズ版HyperGravity Compressorは、原音とコンプ音を混ぜるBLENDつまみと、Spectra、TonePrint、Vintageの3つを切り替えるモードスイッチを備えています。バッファードバイパスへの切り替えや電池駆動にも対応しています。
Miniはそうした機能を絞り込み、SUSTAIN、ATTACK、LEVELの3つで扱えるシンプルな構成にまとめたモデルです。そのぶん、ボードの空いたすき間に置きやすく、迷わず音作りができます。
- コントロール:Miniは SUSTAIN/ATTACK/LEVEL。フルサイズはさらに BLEND と3モードの切り替えスイッチ
- バイパス:Miniはトゥルーバイパス。フルサイズはトゥルーバイパス(バッファードバイパスに切り替え可能)
- 電源:Miniは9V ACアダプターのみ。フルサイズは9V電池にも対応
- サイズ:Miniは93×48×48mm。フルサイズは72×122×50mm
3つのつまみと音作りの考え方
SUSTAIN:コンプのかかり具合を決める
SUSTAINは、コンプレッションの量を決めるつまみです。上げるほどコンプがかかり始めるしきい値(スレッショルド)が下がり、小さな音にもコンプが働くようになります。結果として、音の粒がそろい、サステインも長く伸びていきます。軽く整えたいなら控えめに、しっかりとした伸びがほしいなら高めに設定してみてください。
ATTACK:コンプがかかるまでの速さ
ATTACKは、弾いた瞬間からコンプレッションが完全にかかるまでの速さを決めます。ピッキングの立ち上がりを残したいのか、すぐに押さえて均一な音にしたいのか。カッティングやアルペジオなど、弾き方に合わせて調整すると、コンプの印象が大きく変わります。
LEVEL:全体の音量をそろえる
LEVELは、出力全体の音量を調整します。コンプのかけ方によって体感の音量は変わるので、SUSTAINとATTACKを決めたあとに、オフ時と音量がそろうところへ合わせておくと、踏んだときに音量が跳ねずに済みます。
TonePrintで、かかり方そのものを入れ替える
スマートフォンから、ギターのピックアップ経由で転送
HyperGravity Mini CompressorはTonePrintに対応しています。無料のTonePrintアプリを使えば、有名ギタリストが作ったシグネチャー設定を読み込んだり、自分だけの設定を一から作ったりできます。
転送の方法はユニークで、スマートフォンのスピーカーをギターのピックアップに近づけ、アプリの「Beam to pedal」をタップするだけ。ケーブルを用意しなくても、その場でペダルの中身を書き換えられます。
USBでの編集とファームウェア更新
本体のMini USB端子からパソコンにつなぐと、TonePrintの読み込みや、自分でのTonePrint作成ができます。ファームウェアのアップデートも、このUSB端子から行います。つまみ3つのシンプルなペダルでありながら、中身を深く作り込める余地を残しているのは、このペダルの大きな魅力です。
HyperGravity Miniが向いている人、別の選択肢が合う人
HyperGravity Miniが向いている人
- ボードのスペースが限られていて、小さなコンプを探している
- かけても音が詰まりにくい、自然なコンプレッションがほしい
- つまみが少なく、すぐに音が決まるペダルが好み
- TonePrintで、いろいろなかかり方を試してみたい
別の選択肢を検討したほうがいい人
原音とコンプ音を混ぜるパラレル・コンプレッションをしたい方や、モードを切り替えて音のキャラクターを変えたい方には、BLENDつまみと3モードを備えたフルサイズのHyperGravity Compressorのほうが合っています。電池で動かしたい場合も、フルサイズ版が選択肢になります。
また、ベース専用に作られたコンプを探しているなら、同じtc electronicのベース用コンプSpectraComp Bass Compressorもあわせてチェックしてみてください。
ペダルボードに組み込むときの実務情報
サイズは93×48×48mm。入力端子は本体の右側、出力端子は左側にあります。一般的なミニペダルと同じく、ボードの空いたすき間にも収めやすいサイズです。
| コントロール | SUSTAIN、ATTACK、LEVEL |
| バイパス方式 | トゥルーバイパス |
| 入出力端子 | 標準フォーンジャック(モノラル)×2 |
| 入力インピーダンス | 1MΩ |
| 出力インピーダンス | 100Ω |
| 電源 | DC9V センターマイナス、100mA以上 |
| USB | Mini USB(TonePrint、ファームウェア更新用) |
| 外形寸法 | 93×48×48mm |
電池には対応していないので、電源は9VのACアダプターかパワーサプライから供給します。仕様はDC9V・センターマイナスで、100mA以上の電流が必要です。デジタル処理のペダルなので、アナログのコンパクトペダルより多めの電流を使います。パワーサプライの出力が100mA以上あるか、あらかじめ確認しておきましょう。
よくある質問
- HyperGravity Miniは電池で使えますか?
-
使えません。電源はDC9V・センターマイナスのACアダプターやパワーサプライから供給し、100mA以上の電流が必要です。電池駆動にも対応しているのは、フルサイズのHyperGravity Compressorです。
- 原音とコンプ音を混ぜるBLENDつまみはありますか?
-
ありません。HyperGravity Miniのつまみは SUSTAIN、ATTACK、LEVEL の3つです。BLENDつまみが必要な場合は、フルサイズのHyperGravity Compressorを検討してください。
- TonePrintはどうやって入れ替えるのですか?
-
無料のTonePrintアプリで設定を選び、スマートフォンのスピーカーをギターのピックアップに近づけて「Beam to pedal」をタップします。パソコンとUSBでつないで読み込むこともできます。
- バイパス時は音に影響しますか?
-
HyperGravity Miniはトゥルーバイパスです。エフェクトをオフにすると、信号はペダルの回路を通らずに出力されます。
- マルチバンド・コンプは普通のコンプと何が違いますか?
-
普通のコンプが音全体をまとめて圧縮するのに対し、マルチバンド・コンプは低域・中域・高域を分けて、それぞれ独立してコンプレッションします。ある帯域の大きな音につられて、ほかの帯域まで押さえ込まれることが少なく、自然なまとまりを得やすいのが特長です。
まとめ
HyperGravity Mini Compressorは、System 6000と同じMD3アルゴリズムによるマルチバンド・コンプレッションを、ミニサイズの筐体とSUSTAIN、ATTACK、LEVELの3つのつまみにまとめたペダルです。かけても音が詰まりにくい自然なかかり方に加えて、TonePrintでかかり方そのものを入れ替えられる奥行きも持っています。
BLENDやモード切り替えまでは必要ない、まずは質のいいコンプを小さくボードに収めたい。そんな方にとって、ちょうどいい落としどころになってくれる一台です。
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TC ELECTRONIC
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