Fulltone Custom Shop / SUPA-WAH 【ワウ】

Fulltone Custom Shop / SUPA-WAH 【ワウ】

ワウペダルは、機種によって効き方がずいぶん違います。同じフレーズを弾いても、丸くふくよかに歌うものもあれば、細く鋭く前に出てくるものもあります。踏み込んだときにどの帯域が持ち上がるのか、その動き方の違いが、そのままワウの個性になっているわけです。

だからこそ、ワウ選びは難しいものです。気に入って手に入れた一台でも、弾く曲やジャンルが変われば、思ったほどハマらないということが起こります。

Fulltone Custom Shop SUPA-WAHは、その難しさに対して、性格の異なる5種類の音色をひとつの筐体に収めるという方法で答えを出したモデルです。同社の看板ワウであるCLYDEシリーズが持っていた3つのモードに、新たに2つのボイスが加えられています。切り替えはペダル右側の大きなロータリー・スイッチで行い、演奏の合間にも手が届く位置に配置されています。

目次

5つのボイスは、それぞれどんな音なのか

SUPA-WAHのいちばんの特徴は、やはりこのモード切り替えです。トーンをわずかに調整するというレベルではなく、Fulltone自身が「まったく違うワウを5台持っているようなもの」と表現するほど、それぞれの性格が離れています。順番に見ていきましょう。

JIMI|基準になる、Fulltoneワウの原点

Fulltoneのワウの出発点であるCLYDE Standardと同じ声を持つモードです。CLYDE Standardは、Mike Fullerが25台以上のヴィンテージVoxワウを集めて分析し、そのなかでもっとも良いものを基準にインダクターから開発したモデルでした。JIMIは、その音をそのまま受け継いでいます。

使い始めのうちは、まずこのモードに合わせておくとよいかもしれません。ここを基準にすると、ほかの4つがどちらの方向にどれだけ振れているのかが掴みやすくなります。

SHAFT|カッティングで前に出るファンク寄りの音

CLYDE Deluxeから受け継がれた、ファンク志向のボイスです。踏み込んだときのピークがはっきりしているため、16分のカッティングや歯切れよく刻むバッキングでも、ワウの動きがバンドの中で埋もれにくくなります。

WACKED|低域を残したまま深く動く

こちらもCLYDE Deluxe譲りのモードで、ローエンドを残したまま帯域が動いていく、クセのある効き方をします。3つのなかではもっとも極端な設定で、ざらついたリフや重心の低いフレーズと組み合わせたときに持ち味が出ます。

PHAT|SUPA-WAHで加わった、もっとも歌うボイス

SUPA-WAHで新たに追加された2つのうちのひとつです。Fulltoneの製品説明では、開発者のMike Fuller自身がこのモードを、5つのなかでもっとも喉が鳴っていてもっともボーカルらしい、自分のお気に入りだと書いています。歪みを深めにかけたリードで、フレーズに人の声のような表情を持たせたいときに向いた設定です。

SUB|深く、粘りのある低域方向のボイス

もうひとつの新モードです。Fulltoneは、深く、粘りがあり、非常に表情豊かだとしたうえで、ベースで素晴らしく機能するがベーシスト専用というわけではない、とはっきり書いています。ダウンチューニングのギターや、低音弦を中心にしたリフでこそ面白い音が出る、と考えたほうが実態に近いでしょう。

ヴィンテージの音を支えるBC109Bトランジスタ

SUPA-WAHには、1960年代のVox Clyde McCoyに使われていたものと同じBC109Bトランジスタが、マッチドペアで採用されています。ワウの表情は増幅段の素子によって大きく左右されますから、ここに当時と同じ品種を選んでいることの意味は小さくありません。

ただし、Fulltoneはこのトランジスタについて「在庫状況によります」という注記も添えています。半世紀前の部品ですから、いつでも同じものが確保できるとは限らないという事情があります。この点は購入前に知っておいたほうがよいでしょう。

音作りの幅を広げるINPUT LEVELノブ

SUPA-WAHには、ワウ回路に送り込む信号量そのものを調整するINPUT LEVELノブが備わっています。Fulltoneの説明によれば、絞ればクリーンなまま回路を通し、上げていくと回路自体をオーバードライブさせて、ざらつきと倍音を加えられるという仕組みです。

このノブが効いてくるのは、たとえばシングルコイルとハムバッカーを持ち替えるときや、ワウの手前にブースターを置いているときです。入力をペダル側で受け止められるので、ギターやセッティングを変えたときにワウの効き方だけが変わってしまう、といったことを抑えられます。歪みの量までワウ側で決められる点は、ヴィンテージ系のワウにはあまり見られない自由度です。

また、ペダルの側面にはバッファーの切り替えも用意されています。公表されているスペックでは、バッファーをオンにしたときの出力インピーダンスは22kΩ、オフのときはペダルの位置に応じて22k〜200kΩと変化します。ファズなど前後の機材との相性で問題が出たときに、調整の余地が残されている構造です。

購入前に確認しておきたいこと

長く気持ちよく使うために、先に押さえておきたい実用面の情報をまとめます。

サイズと重量は一般的なワウより大きめです

国内代理店の公表値で、サイズは255 × 123 × 86 mm、重量は1,574gです。Fulltoneのワウはスチール製の独自筐体を採用しており、ポットの可変域をより広く使えるように設計されています。そのぶん、Voxタイプの筐体を前提に組んだボードには、そのままでは収まらないことがあります。導入を考えている方は、あらかじめ実寸でスペースを確認しておくと安心です。

電源はセンターマイナス、電池でも動きます

DC9〜18V(φ2.1mm センターマイナス)に対応しており、消費電流は最大11mAです。006P/9V電池での駆動にも対応しています。代理店は品質のよいセンターマイナス9V DC電源の使用を推奨しています。消費電流そのものは小さいので、すでにお使いのパワーサプライで容量が足りなくなることは、まずないでしょう。

価格と入手のしやすさ

国内の想定売価は69,300円(税込)で、生産国はアメリカです。ワウペダルとしてはかなり上の価格帯にあたります。

あわせて知っておきたいのが、Fulltoneというブランドのここ数年の経緯です。2022年に一度カリフォルニアでの生産終了が発表されましたが、2023年にJackson AudioのBrad JacksonとMike Fullerがライセンス契約を結び、「Fulltone USA」として製造と販売が再開されました。国内はキクタニミュージックが取り扱っています。一度は生産体制が途切れていること、そして希少な旧型トランジスタを使っていることを考えると、店頭にいつでも並んでいるとは限りません。気になっている方は、見かけたときに検討しておくのがよさそうです。

CLYDEシリーズとの違いと選び分け

Fulltoneのワウには、モード切り替えを持たないCLYDE Standard、3つのモードと可変INPUTを備えたCLYDE Deluxe、そして5モードのSUPA-WAHという段階があります。

踏み心地と音の質感を重視していて、音色は一種類でかまわないという方であれば、CLYDE Standardで十分に満足できるはずです。ロックやファンク、ざらついたリフあたりを一台でまかないたいなら、CLYDE Deluxeが的確な選択になります。

SUPA-WAHが意味を持ってくるのは、そこにPHATの歌うようなリードトーンと、SUBの低域方向という両極まで求めたくなったときです。扱う音楽の幅が広い方ほど、追加された2つのモードを使い切れます。

こんな方に向いています

  • ロック、ファンク、ブルースなど複数のジャンルを一台のワウでこなしたい方
  • リードで歌わせるワウと、バッキングで刻むワウを使い分けたい方
  • いま使っているワウでは合わない曲があり、もう少し対応範囲を広げたい方
  • ベースや、低音弦を中心にしたフレーズでもワウを使いたい方
  • ヴィンテージワウの質感を、現在の機材環境で扱いやすい形で手に入れたい方

反対に、使いたいワウの音がすでにはっきり決まっている方や、ボードのスペースと重量を最優先したい方には、もっとコンパクトなモデルのほうが素直に合うと思います。

よくある質問

SUPA-WAHとCLYDE Deluxeの違いは何ですか?

CLYDE DeluxeがWACKED / JIMI / SHAFTの3モード構成であるのに対して、SUPA-WAHはそこにPHATとSUBを加えた5モード構成になっています。切り替え方法も異なり、3ウェイ・スイッチではなく、ペダル右側の大きなロータリー・スイッチで操作します。

SUBモードはベース専用ですか?

いいえ。Fulltoneはベースで素晴らしく機能するとしながらも、ベーシスト専用ではないとはっきり述べています。ダウンチューニングのギターや、低音弦中心のリフでも活きるモードです。

電池でも使えますか?

006P/9V電池に対応しています。DC9〜18V(φ2.1mm センターマイナス)のアダプターも使用でき、消費電流は最大11mAです。代理店は品質のよいセンターマイナス9V DC電源の使用を推奨しています。

BC109Bトランジスタは必ず搭載されていますか?

Fulltoneは搭載を明記していますが、あわせて「在庫状況によります」という注記も添えています。1960年代の部品ですので、供給が常に保証されているわけではない点は押さえておきましょう。

一般的なエフェクターボードに収まりますか?

サイズは255 × 123 × 86 mm、重量は1,574gです。Voxタイプの筐体を前提に組んだボードでは収まらないことがありますので、実寸での確認をおすすめします。

まとめ

Fulltone Custom Shop SUPA-WAHは、CLYDEシリーズで培われた3つのボイスに、歌うようなPHATと沈み込むようなSUBを加えることで、一台でカバーできる音の範囲を大きく広げたモデルです。1960年代と同じBC109Bを土台に据えながら、INPUT LEVELとバッファー切り替えという現代的な調整手段を持たせているところに、このペダルの設計思想がよく表れています。

価格もサイズも軽い選択ではありませんが、ワウの音色を場面ごとに使い分けたいと考えている方にとっては、有力な候補になるはずです。

このエフェクターを買うならこちらのショップがおすすめです!
サウンドハウス サウンドハウス
サウンドハウスは、楽器やPA音響機器、DJ・DTM機材などを取り扱う通販サイトです。
Fulltone Custom Shop / SUPA-WAH 【ワウ】

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

13歳よりエレキギターを始め、学生時代はバンド活動に明け暮れる。音響機器やPAの基礎を専門学校で学びつつ、18歳頃にアルバイトとして始めた大手楽器店にて楽器の買い取り業務を担当。約10年間にわたり音楽機材の買取査定、販売・リペアなどに携わり、数多くのエフェクターに触れる。楽器店退職後、2009年よりエフェクター専門サイト『EFFECTOR COLLECTION BOX』の運営をスタート。

目次