弾いたフレーズが、ピッチや向き、重なり方を変えて返ってくる。MXR Textures Granular Synth Engine M310は、演奏をリアルタイムに録音しながら細かな断片に切り分け、まったく違う表情で鳴らし直すグラニュラー・シンセ・エンジンです。きらめくパッド、グリッチの効いたリズム、残響が折り重なりながら漂うアンビエンスまで、コンパクトなペダル1台で幅広い音づくりに踏み込めます。
音を「粒」に分けて鳴らし直す、グラニュラー・シンセシス
基本の仕組みはディレイやルーパーに近く、入力した音をバッファー(デジタル・メモリー)に録音して再生します。違うのは再生のしかたです。録音した音を「グレイン」と呼ばれる短い断片に切り分け、それぞれの再生位置と長さを決めて読み出していきます。グレインを短くすればプツプツとはじけるような音に、長くすれば数秒にわたるフレーズがそのまま流れるような音になります。
複数のグレインを同時に重ねると、断片どうしが混ざり合い、密度の高いにじんだ響きに変わります。グレインを逆再生してなめらかにぼかしたり、再生スピードを変えてピッチをずらしたりもできます。さらにグレインそのものをバッファーに戻してフィードバックさせれば、音程の異なる響きが幾重にも連なるシマー・リバーブのようなサウンドに。リバーブ、フィルター、ビブラートも内蔵しているので、最後の質感づくりまでこの1台で完結します。
6つのノブと3つのボタンで、グレインを思いどおりに
操作の中心になるのは6つのノブと3つのボタンです。同じノブでも選んだモードによって役割が変わるため、モードを切り替えるだけで音づくりの方向性ががらりと変わります。
- SIZE:グレインの長さを設定します。Delay/Auto Freezeモードでは60ミリ秒〜2秒、Layersモードでは60〜500ミリ秒の範囲です。
- OVERLAP:同時に鳴らすグレインの数を1〜30の範囲で設定します。数を増やすほど、響きが密になっていきます。
- TIME:Delayモードではグレインのディレイ・タイム(50ミリ秒〜2秒)を設定します。Auto Freezeモードではフリーズ前に録音する長さも兼ね、Layersモードでは各レイヤーのフェードイン時間になります。
- REGEN:Delay/Auto Freezeモードではフィードバック量を、Layersモードでは各レイヤーのフェードアウト時間を設定します。
- PITCH:グレインのピッチを2オクターブ下から2オクターブ上まで動かせます。
- MIX:原音100%からエフェクト音100%までのバランスを調整します。ミックスはリバーブの手前で行われるため、MIXを最小にしても原音だけにリバーブをかけられます。
- REVERSE/MODE/PRESETボタン:グレインの逆再生、モードの切り替え、プリセットの呼び出しを行います。
3つのモードで変わる、音の取り込み方
MODEボタンでは、入力した音をどう録音し、どう再生するかを3種類から選べます。
Delayモード
演奏した音やコードを常にバッファーへ書き込みながら、グレインとして再生していく基本のモードです。ディレイ・ペダルと同じ感覚で音を送り込めるので、普段のプレイに自然になじみます。フットスイッチを長押しすれば、その瞬間のバッファーをフリーズできます。
Auto Freezeモード
弾いた音を検知すると自動で録音し、そのままバッファーをフリーズします。フリーズ中もグレインの読み出しは続くため、音が途切れることなく、表情を変えながらどこまでも伸びていくパッドになります。新しい音を弾けばそれに合わせてサウンドが切り替わり、フットスイッチを長押しするとフリーズを解除できます。
Layersモード
MXR Layers Pedalをベースに、グラニュラー処理を組み合わせたモードです。演奏した音やコードを4つの小さなバッファーに順番に録音し、最大4つまで同時に鳴らし続けます。5つ目を弾くと、いちばん古い録音と入れ替わります。各レイヤーにはTIMEとREGENで設定するフェードイン/フェードアウトがかかり、シンセのボイスのように立ち上がりと消え際を整えられます。コードを積み重ねて、ポリフォニックなパッドを組み立てたいときに活躍するモードです。
ボタンひとつで呼び出せる8つのプリセット
機能が多いぶん、最初の一歩を踏み出しやすいように8つのプリセットが用意されています。PRESETボタンを押すたびに切り替わり、LEDの色(緑4種・赤4種)で現在のプリセットがわかります。
| プリセット名 | サウンド |
|---|---|
| Crystal Cave | オクターブの音がフィードバックで重なっていくループ |
| Melodic Kaleidoscope | フレーズをフリーズし、順再生・逆再生・異なるオクターブで鳴らし直す |
| Sea Synth | ゆらぎのあるポリフォニック・シンセ |
| Obligatory Shimmer | グラニュラーによるシマー・リバーブ |
| Stutter Pad | グリッチ感を含んだポリフォニック・パッド。歯切れよく弾くとよりパーカッシブに |
| Slow Attack Soundtrack | ゆっくり変化するパッドに、ランダムなオクターブのブリップが散りばめられる |
| Sub Octave Ripple | サブ・オクターブが素早く連なり、厚みと重みを加える |
| Mellow Cello | ビブラートのかかったサブ・オクターブ・パッド |
プリセットはそのまま使うのはもちろん、ノブを動かして自分好みに仕上げ、8つの保存先に上書きすることもできます。PRESETボタンを2秒長押しして設定をコピーし、保存したい位置を選んでもう一度2秒長押しすれば保存完了です。フットスイッチやMXR Split + Tapを使えば、足元でプリセットを順送りすることもできます。
セカンダリー・パラメーターで、さらに奥まで
REVERSEまたはMODEボタンを押しながらノブを回すと、もうひとつの機能にアクセスできます。ランダマイズで毎回違う展開を生んだり、内蔵エフェクトを細かく追い込んだりと、プリセットの先にある音づくりがここから始まります。
| ノブ | REVERSEを押しながら | MODEを押しながら |
|---|---|---|
| TIME | タイム・ランダム(再生位置のランダム度) | リバーブ・ミックス |
| REGEN | フィードバックに戻すディレイ音とグラニュラー音のバランス | リバーブ・ディケイ |
| SIZE | サイズ・ランダム | デュアル・フィルター(センターより左でローパス、右でハイパス) |
| PITCH | ピッチ・ランダム | ピッチ・クオンタイズ(4度・5度・オクターブに固定) |
| OVERLAP | オーバーラップ・ランダム | ビブラート・レート |
| MIX | リバース・ランダム(逆再生される確率を10〜100%で設定) | ビブラート・デプス |
REVERSEボタンを押しながらMODEボタンをタップすれば、タップテンポでグレインの動きを曲のテンポに合わせられます。フットスイッチを押しながらノブを回すと、出力モード、トレイルのオン/オフ、±12dBの出力ゲイン、プリセット切り替え時のミュートなども設定できます。
ステレオ対応と拡張性
入出力はどちらもTRSジャックで、モノ、ウェット/ドライ、ステレオの3つの出力モードを選べます。モノではトゥルーバイパス、ウェット/ドライではL側にエフェクト音、R側に原音を出力します。ステレオではグレインがランダムに左右へ振り分けられ、リバーブも広がりのあるステレオ・イメージをつくります。出力はTRSケーブル1本で取り出すほか、OUTとCTRジャックに通常のシールドを2本つなぐ方法もあります。ステレオ入力は、底板を外した内部スイッチで切り替えます。
CTRジャックにエクスプレッション・ペダルをつなげば、ヒール側とトゥ側に設定した2つの状態のあいだをなめらかに行き来できます。この設定はプリセットごとに保存可能です。MXR Split + Tapを接続すれば、プリセットの切り替え、フリーズ、タップテンポを足元で操作できます。シンプルなペダルボードから、ステレオで組んだ大きなシステムやレコーディング環境まで、無理なく組み込めます。
主な仕様
| コントロール | TIME、REGEN、SIZE、OVERLAP、PITCH、MIX(ノブ)/REVERSE、MODE、PRESET(ボタン)/フットスイッチ |
|---|---|
| モード | Delay、Auto Freeze、Layers |
| プリセット | 8種類(ライブ・モードとは別に保存可能) |
| 内蔵エフェクト | リバーブ、4ポール・デュアル・フィルター(ローパス/ハイパス)、ビブラート |
| 端子 | IN(TRS・ステレオ入力対応)、OUT(TRS・ステレオ出力対応)、CTR(エクスプレッション/タップ入力、またはR側出力) |
| バイパス | モノ出力時はトゥルーバイパス、ウェット/ドライ・ステレオ出力時およびトレイル有効時はバッファード・バイパス |
| 入力インピーダンス | 1MΩ |
| 出力インピーダンス | 100Ω |
| 最大入力レベル | +5dBV |
| ノイズフロア | -97dBV |
| 電源 | 9V DC センターマイナス(電池駆動不可) |
| 消費電流 | 300mA |
よくある質問
- 電池で動かせますか?
-
電池では駆動できません。300mA以上を供給できる9V DCセンターマイナスの電源を用意してください。Dunlop ECB003アダプターや、MXR Iso-Brick、Iso-Brick Pro、Iso-Brick Miniで駆動できます。
- トゥルーバイパスですか?
-
モノ出力ではトゥルーバイパスです。ウェット/ドライ出力とステレオ出力のとき、そしてトレイル機能を有効にしたときはバッファード・バイパスになります。
- ステレオで使うにはどうすればいいですか?
-
出力はOUTジャックにTRSケーブルをつなぐか、CTRスイッチをAUDIO側にしてOUTとCTRに通常のシールドを1本ずつつなぎます。そのうえで、フットスイッチを押しながらREGENノブを回して出力モードを選びます。ステレオ入力を使う場合は、底板内部のMONO/STEREOスイッチをSTEREO側に切り替えてください。
- ペダルをオフにしたとき、残響を自然に残せますか?
-
トレイル機能をオンにすると、バイパスしたあともエフェクト音が鳴り続けます。設定はフットスイッチを押しながらOVERLAPノブを回して行います。フリーズ中にバイパスした場合、フリーズは解除されます。
BRAND
MXR
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