ディレイの音作りといえば、用意されたタイプから選び、ノブで追い込むのが一般的です。Meris LVXはその考え方を一度ほどいて、ディレイの骨格、音の質感、そこに加えるフィルターやピッチ、モジュレーションを自分で選び、好きな位置に組み込んでいける「モジュラー・ディレイ・システム」です。
素直なアナログ風ディレイから、テープが崩れていくような質感や粒子状にほどけるテクスチャーまで、1台の中で組み立てられるのがLVXの大きな魅力です。60秒のステレオ・ルーパーも内蔵しています。2022年にはFuture Music誌の「Gear of the Year」でベスト・ギター・ペダルに選ばれました。
ディレイの骨格と質感を選ぶ
LVXの中心にあるのは、左右独立したステレオのディレイ・ラインです。ディレイタイムは最大2540ms。ハーフスピードをオンにすると最大5080msまで伸び、エコーが鳴っている途中で切り替えれば、ピッチと時間がぐにゃりと変化する効果も作れます。左右それぞれに音符の分割を設定できるので、リズミカルなステレオ・ディレイもすぐに組めます。
6種類のストラクチャー
ストラクチャーは、ディレイ・ラインの組み方そのものを決める設定です。
- Standard:ステレオのパラレル・ディレイ
- MultiTap:左右4タップずつ、合計8タップのディレイ
- Multi Filter:MultiTapの各タップにバンドパス・フィルターを追加
- Poly:Polymoonのディレイ構造を左右独立で動かすデュアル構成
- Reverse:逆再生のステレオ・ディレイ
- Series:左右それぞれに2つのディレイを直列につないだ構成
3種類のディレイ・タイプ
タイプはリピート音の質感を決めます。色付けのないクリーンな「Digital」、バケツリレー素子の温かみを持つ「BBD」、ほどよい飽和感と劣化を伴うテープ風の「Magnetic」の3種類。フロントのMODノブの効き方もタイプごとに変わり、Magneticではワウ・フラッターの量を調整できます。
5つのカテゴリーから処理エレメントを組み込む
ディレイに加える効果は「処理エレメント」と呼ばれ、5つのカテゴリーに分かれています。Enzo、Ottobit Jr.、Hedra、PolymoonといったMerisペダルから受け継いだエレメントに、LVXのために新しく作られたものが加わっています。
- Dynamics:Compressor、Swell、Diffusion、Limiter
- Preamp:Volume Pedal、Tube、Transistor、Op-Amp、Drive、Bit Crusher
- Filter:Ladder、State Variable、Comb、Parametric
- Pitch:Poly Chroma、Harmony、Micro Tune、Mono Chroma、Lo-Fi
- Modulation:Chorus、Flanger、Dynamic Flanger、Cassette、Barberpole、Granulize、Ring Mod
選んだエレメントは、ディレイの前(Pre)、原音にもかかる前段(Pre + Dry)、フィードバック・ループの中(Feedback)、ディレイの後(Post)の4か所から配置先を選べます。たとえばFeedbackにDiffusionを置けば、繰り返すたびに音がやわらかくにじんでいきます。Ring Modを置けば、リピートごとに音が折り重なるように変化します。同じエフェクトでも置く場所で表情が大きく変わるのが、LVXの音作りのおもしろさです。
処理はすべてステレオで行われます。ただし、和音でもきれいにピッチを動かせるポリフォニック・ピッチシフターのPoly Chromaだけは、左右を合成したモノラル処理になります。
モディファイアとエクスプレッションで音を動かす
LVXには、パラメーターを自動で動かす「モディファイア」が用意されています。LFOが2基、ピッキングに反応するエンベロープ、フットスイッチを踏み続けている間だけ働くホールド、ランダムに値を変えるサンプル&ホールド、16ステップのシーケンサーの6種類です。速さをディレイタイムに合わせた音符単位で同期させられるので、フィルターの開閉やピッチの揺れを曲のテンポにぴたりと合わせられます。
エクスプレッション・ペダルには6つまでパラメーターを割り当てられ、ひと踏みで複数の要素を同時に変化させられます。
いつでも呼び出せる60秒ステレオ・ルーパー
TAPスイッチを長押しすると、60秒のステレオ・ルーパーに切り替わります。ディレイと同時に使えるので、プリセットの音色をそのまま生かしながらループを重ねられます。ルーパーの位置もディレイの前後やフィードバック内などから選べ、ループした音をディレイに送り込むような使い方も可能です。
フットスイッチには、1回だけの再生、頭出し、リバース、ハーフスピードといった機能を割り当てられます。エクスプレッション・ペダルでループ内を自由に行き来する「Warp」も用意されています。ファームウェア1.5以降では、ループの長さをテンポに合わせるクオンタイズにも対応しました。なお、録音したループは電源を切ると消去されます。
ステージでもスタジオでも扱いやすい設計
これだけ奥行きのあるペダルですが、操作はシンプルにまとまっています。TIME、FEEDBACK、MOD、MIXの4つのノブで基本的な音はすぐに調整でき、細かな編集は3つのコントローラーとカラー画面で行います。画面はパラメーターをひとつずつ表示するグラフィック表示と、6項目をまとめて見られるテキスト表示を切り替えられます。
プリセットは99個(33バンク×3)。よく使う3つを登録できるお気に入りバンクもあり、ライブ中の呼び出しに便利です。プリセット切り替え時に前の残響を残すスピルオーバーや、バイパス時に残響を自然に減衰させるトレイルにも対応しています。
入力レベルはギター向けのInstrumentと、シンセやラインレベル機器向けのLine/Synthを切り替えられます。ギターだけでなく、キーボードやシンセのステレオ・ディレイとしても使えます。5ピンDINのMIDI IN/OUTを備え、無料のエディター「prEDITOR」を使えばパソコンからプリセットの編集や管理もできます。
チューナーは3番とTAPのフットスイッチを長押しするだけで呼び出せます。基準ピッチは425〜455Hzの範囲で設定でき、チューニング中の出力はミュートかバイパスを選べます。
Meris LVXのスペック
| 最大ディレイタイム | 2540ms(ハーフスピード時5080ms) |
| ディレイ・ストラクチャー | Standard / MultiTap / Multi Filter / Poly / Reverse / Series |
| ディレイ・タイプ | Digital / BBD / Magnetic |
| ルーパー | 60秒ステレオ |
| プリセット | 99(33バンク×3)+お気に入りバンク |
| プロセッサー | ARMプロセッサー |
| AD/DA変換 | 24bit |
| DSP | 32bit浮動小数点 |
| サンプルレート | 48kHz |
| 入力部 | Analog Devices製JFET入力 |
| 入力インピーダンス | 1MΩ |
| S/N比 | 115dB(typ.) |
| 周波数特性 | 20Hz〜20kHz |
| 最大入力レベル | +9dBu(Instrument)/+12.5dBu(Line/Synth) |
| 端子 | ステレオ入出力(L/R個別ジャック)、EXP、MIDI IN/OUT(5ピンDIN)、USB-C |
| バイパス | トゥルーバイパス(リレー/モノラル入出力時)またはアナログ・バッファード・バイパス |
| 電源 | 9V DC センターマイナス、300mA以上、2.1mmジャック |
| サイズ | 約184(W)×114(D)×51(H)mm |
| 重量 | 約680g |
よくある質問
- ステレオで接続してもトゥルーバイパスになりますか?
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リレーによるトゥルーバイパスは、モノラル入出力のときだけ使えます。ステレオで接続した場合は、自動的にアナログ・バッファード・バイパスに切り替わります。スピルオーバー、トレイル、キル・ドライを有効にした場合も同様です。
- シンセやキーボードにも使えますか?
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使えます。入力レベルをLine/Synthに切り替えると、最大+12.5dBuまでの信号を受けられます。
- ルーパーで録音したフレーズは保存できますか?
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ループは電源を切ると消えます。ライブで使う場合は、その場で録音する前提で組み立てるのがおすすめです。
- パソコンからプリセットを編集できますか?
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Merisの無料エディター「prEDITOR」でプリセットの編集や管理ができます。接続はMIDIインターフェース経由のほか、ファームウェア1.5以降ならUSB-Cでも可能です。
- 必要な電源は?
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9V DC・センターマイナス・2.1mmジャックで、300mA以上を供給できる電源が必要です。
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