深く歪ませるほどコードの輪郭は溶け、ノイズも目立ってくる。歪みペダルが長く抱えてきたこの課題に、BOSSはデジタル信号処理という答えを出しました。2014年3月、OD-1Xと同時に登場したDS-1Xは、独自技術「MDP」を搭載したコンパクト・ディストーションです。アナログ回路では成し得ない高速かつ高度な処理によって、ハイゲインでも音がつぶれない歪みを実現しています。
MDPテクノロジーが生む、圧倒的な分離感
MDP(Multi-Dimensional Processing/多次元的信号処理)は、入力されたギター・サウンドを構成する要素を瞬時に解析する技術です。周波数特性や倍音構成、ダイナミクス、演奏している音域、単音かコードか、チョーキングやビブラートといったテクニック、さらには弦の種類や楽器のパーツまで。それらが時間とともに変化していく様子に対して、最適な処理をリアルタイムで行います。
DS-1Xはこの技術で基音を維持したまま高速処理を行うため、レンジの広い歪みが得られます。複雑な響きのテンション・コードや、低音弦がパワフルに鳴るオープン・コードを激しく歪ませても、一音一音の輪郭が残る。ダウン・チューニングや多弦ギターでのバッキングも美しく歪ませられます。桁違いのロー・ノイズ設計により、DISTを上げ切ったセッティングでもノイズに邪魔されません。
4つのノブが、内部では何十もの仕事をしている
操作系はLEVEL、LOW、HIGH、DISTの4つ。見た目は従来のBOSSコンパクトと変わりませんが、ノブを一つ回すだけで内部では複数のパラメーターが連動し、緻密なコントロールが働きます。どのポジションに合わせてもサウンドが破綻しないよう設計されているため、「この設定はハズレ」という場所がありません。
DIST
クランチからハイゲインまでをひと続きにカバーする全方位型。絞れば繊細なクランチ、上げていけば深い歪みへと、どこで止めても実用的なサウンドが手に入ります。
LOWとHIGH
低域と高域をそれぞれ独立して調整できる、効きの良い2ノブ構成です。TONE一つで音色を決めるタイプのペダルと比べ、バンドのアンサンブルに合わせた追い込みがしやすくなっています。
LEVEL
出力音量を決めるノブ。バッキングとリードの持ち替えや、アンプの手前でのプッシュ量を調整する起点になります。
ギター側のボリュームとピッキングによく応える
DS-1Xはギターのボリューム操作やピッキングへの追従性が極めて高く、演奏のニュアンスを余さず拾います。ペダルを踏み替えずに、右手とボリューム・ノブだけで歪み量を動かしていく——そうした弾き方をする人にとって、この反応の良さは大きな武器になります。ペダルボードの台数を増やさずに表現の幅を確保できる一台です。
主なスペック
| 規定入力レベル | -20dBu |
| 入力インピーダンス | 1MΩ |
| 規定出力レベル | -20dBu |
| 出力インピーダンス | 1kΩ |
| 推奨負荷インピーダンス | 10kΩ以上 |
| バイパス | バッファード・バイパス |
| コントロール | ペダル・スイッチ、LEVEL、LOW、HIGH、DIST |
| インジケーター | CHECKインジケーター(バッテリー・チェック兼用) |
| 接続端子 | INPUT、OUTPUT、ACアダプター(DC9V) |
| 電源 | アルカリ電池(9V形)/ACアダプター(PSA-100・別売) |
| 消費電流 | 60mA |
| 電池の寿命(連続使用時) | アルカリ電池=約6時間 |
| 外形寸法 | 73(W)×129(D)×59(H)mm |
| 質量 | 440g |
| 保証 | 5年 |
DSPを積んでいる分、消費電流はアナログ・ペダルより大きめです。電池での連続使用は約6時間なので、実用上はACアダプターかパワーサプライでの駆動が前提になります。ボード全体の電流容量に60mAぶんの余裕があるか、事前に確認しておくと安心です。
DS-1Xが向いているギタリスト
深い歪みでもコードの分離を保ちたい人、ダウン・チューニングや多弦ギターを弾く人、そしてノイズをできるだけ抑えたい人。DS-1Xの設計はこうした要求に真正面から応えています。歪みの質は整っていて扱いやすく、1台でクランチからハイゲインまでの守備範囲をまかなえるため、ボードをコンパクトにまとめたい場面でも力を発揮します。ノブやパネルにはクローム・パーツが使われ、ビンテージ・スタイルの銀ネジと合わせた仕上げもBOSSコンパクトの中では特別な存在感があります。
よくある質問
- DS-1とDS-1Xは何が違いますか?
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DS-1はアナログ回路のディストーションで、コントロールはLEVEL、TONE、DISTの3つです。DS-1XはDSPとMDPによるデジタル処理で設計され、TONEの代わりにLOWとHIGHを独立して備えます。型番は似ていますが、回路も音作りの考え方も別物です。
- OD-1Xとの違いは?
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どちらも2014年3月に同時発売されたMDP搭載のXシリーズで、OD-1Xがオーバードライブ、DS-1Xがディストーションという位置づけです。より深く、タイトな歪みを求めるならDS-1Xが選択肢になります。
- バイパス時の音質は?
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バッファード・バイパスを採用しています。長いシールドを使う場合や、ボードで複数台を直列につなぐ場合には、信号レベルの保持という点で有利に働きます。
- 電池だけで使えますか?
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9V形アルカリ電池で動作しますが、連続使用時の寿命は約6時間です。リハーサルや本番での使用を考えると、別売のACアダプター(PSA-100)やパワーサプライからの給電が現実的です。
アナログの質感や荒々しさを求めるなら別の選択肢もありますが、「歪ませても濁らない」という一点において、DS-1Xの設計思想は明快です。BOSSコンパクトらしい堅牢な筐体と5年保証も含め、長く付き合えるディストーションと言えます。
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