ペダルボードの上でひときわ目立つ黄色い筐体に、つまみはふたつだけ。MXR M-104 Distortion+は、音量を決めるOUTPUTと歪み量を決めるDISTORTIONだけで完結するディストーションです。トーンつまみはありません。数十年にわたってほとんど姿を変えずに作られ続けてきた、MXRの代表格の1台です。
ゲルマニウムクリッピングがつくる、角の立たない歪み
音の核になっているのは、ゲルマニウムによるクリッピングです。硬くとがった割れ方ではなく、角が取れてなだらかに崩れていく。この崩れ方がDistortion+の持ち味で、シリコンダイオードを使った現代的なディストーションとは手触りがはっきり違います。
歪み量の幅は10dBから45dB(1kHz)と広く、DISTORTIONを絞れば軽く押し出す程度のオーバードライブ、上げていくと粒が太くなり、振り切ればファズに近い飽和感まで届きます。つまみひとつでオーバードライブからファズ寸前までをまたぐので、1台でカバーできる範囲はかなり大きめです。
セッティングは大きくふたつの方向に振れる
DISTORTIONを低めにしてOUTPUTを持ち上げると、アンプの入力段を押し込む使い方になります。ペダル側の歪みは控えめのまま、アンプが持っている太さを引き出す方向。ブルースやクラシックロックの質感はこのあたりです。
逆にDISTORTIONを最大付近まで回せば、80年代初頭のハードロックで鳴っていた密度の高い歪みがそのまま出てきます。つまみが2つしかないぶん、どちらに振るかで性格がくっきり変わる設計です。迷ったらまず両方12時から始めて、そこからどちらへ動かすか決めるのが早道です。
ランディ・ローズのリードトーンと、シグネチャーモデルRR104
この1台の名前を決定づけたのがランディ・ローズでした。ハイゲインアンプの前段をDistortion+で叩き、倍音の詰まったリードトーンを作り上げています。
のちにMXRは、ロサンゼルスにあるローズ家の音楽学校Musonia School of Musicで公開された本人のペダルボードを検分し、内部を記録に残しました。妹のキャシー・ローズ氏が直接関わるかたちで実機のスペックを洗い出し、シグネチャーモデルのRR104として製品化しています。特定のギタリストのサウンドとこれほど強く結びついた歪みペダルは、そう多くありません。
電源まわりと取り回し
消費電流は2.5mAと小さく、9V電池での運用にも向いています。電池はボトムプレートを外して交換する方式。ACアダプターはDunlop ECB003/ECB003EU、パワーサプライはDC Brick、Iso-Brick、Mini Iso-Brickに対応します。
バイパスはハードワイヤー方式。オンのときは赤色LEDが点灯するので、ボード上でも状態がすぐ分かります。
トーンコントロールを持たないぶん、ギターとアンプの素の性格がそのまま前に出ます。細かく音色を作り込むというより、いま使っている機材に歪みを足すためのペダルです。
MXR M-104 Distortion+ 主なスペック
| 型番 | M104 |
| コントロール | OUTPUT、DISTORTION |
| クリッピング方式 | ゲルマニウムクリッピング |
| 歪みゲイン | 10dB〜45dB(1kHz) |
| 入力インピーダンス | 1MΩ |
| 出力インピーダンス | 25kΩ(OUTPUT中央時) |
| 公称入力レベル | -22dBV |
| 最大出力レベル | -14dBV |
| ノイズフロア | -74dBV(A特性・全コントロール最大時) |
| バイパス | ハードワイヤー(オン時に赤色LED点灯) |
| 消費電流 | 2.5mA |
| 電源 | 9V電池/9V DCアダプター(Dunlop ECB003・ECB003EU)/DC Brick・Iso-Brick・Mini Iso-Brick |
よくある質問
- トーンつまみがなくても音作りはできますか?
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Distortion+が受け持つのは歪み量と出力レベルの2点だけです。帯域バランスはギターのピックアップとアンプのトーン回路で決まるため、アンプ側のEQと組み合わせて追い込むことになります。ペダル単体で音色を作り込みたい場合は、トーン付きの機種のほうが向いています。
- 電池とパワーサプライ、どちらで使うべきですか?
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どちらにも対応しています。消費電流が2.5mAと小さいので電池運用もしやすく、ボードに組み込むならDunlop ECB003/ECB003EU、またはDC Brick・Iso-Brick・Mini Iso-Brickからの給電が使えます。
- ランディ・ローズのシグネチャーモデルとは何が違いますか?
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RR104は本人が使っていた実機をもとに、ローズ家の協力を得てスペックを合わせ込んだモデルです。M104はレギュラーラインの標準モデルで、通年で入手できます。
- どんなアンプと組み合わせると良いですか?
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DISTORTIONを絞ってOUTPUTを上げる使い方はクリーンからクランチのアンプ、DISTORTIONを上げる使い方はすでに歪んでいるアンプとの相性が出ます。アンプの素の性格が前に出るペダルなので、まずは手持ちのアンプの得意な帯域を基準に振り分けるのが分かりやすいです。
BRAND
MXR
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