オーバードライブの定番を1台選ぶとしたら、まず名前が挙がるのが Ibanez TS808 Tube Screamer です。1979年の登場から40年以上たった今も、プロのペダルボードから自宅の練習環境まで、緑色の筐体はあちこちで見かけます。
中域がふくよかに前へ出る歪みと、アンプの持ち味を残したまま押し上げるブースター的な使い方。この2つを3つのノブだけでこなせるのが、TS808が長く選ばれ続けている理由です。音の特徴や仕様、TS9との違い、セッティングの目安までまとめてお届けします。
TS808とは|1979年に誕生したチューブスクリーマーの原点
TS808は、1979年に登場したチューブスクリーマーシリーズの初代モデルです。スティーヴィー・レイ・ヴォーンが愛用したことでも知られ、その後に生まれた数多くの「TS系」オーバードライブの手本になりました。
現在販売されているTS808は、オリジナルと同じアナログ回路と、音の要となるICチップJRC4558Dを採用した復刻モデル。角型の大きなフットスイッチも当時のデザインそのままです。

TS808のサウンドの特徴
中域がぐっと前に出る
TS808のいちばんの個性は、中域に厚みを持たせた歪みです。低域は少し引き締まり、ギターの美味しい帯域が前に出てくるので、バンドの中でもソロが埋もれにくくなります。
ギターとアンプの持ち味を残す
歪みの量は控えめで、音を大きく作り変えるタイプではありません。ギター本来の鳴りやアンプのキャラクターを活かしたまま、サステインと粘りを足してくれます。ギター側のボリュームを絞れば歪みがほどよく落ち着くので、手元での調整もしやすいペダルです。
3つのノブで音作りが完結
- OVERDRIVE:歪みの量
- TONE:高域の明るさ
- LEVEL:出力音量
どのノブが何を受け持っているかがはっきりしているので、エフェクターに慣れていなくても迷わず音を作れます。
TS808の仕様
| エフェクトタイプ | オーバードライブ |
|---|---|
| コントロール | OVERDRIVE、TONE、LEVEL |
| IC | JRC4558D |
| 入力インピーダンス | 500kΩ |
| 出力インピーダンス | 10kΩ |
| 最大出力レベル | 0dBm |
| 最大ゲイン | +30dB |
| 等価入力ノイズ | -100dBm(IHF-A) |
| 電源 | 9V電池(006P)またはACアダプター(別売) |
| 消費電流 | 8mA |
| サイズ | 70(W)×125(D)×52(H)mm |
| 重量 | 約500g |
TS9・Maxon OD808との違い
TS808と並べて比べられることが多いのが、後継モデルのTS9と、マクソンのOD808です。マクソンはもともとTS808の製造を手がけていたメーカーで、OD808はその流れをくむ自社ブランドのモデルにあたります。
| モデル | 位置づけ | 音の傾向 | こんな人に |
|---|---|---|---|
| Ibanez TS808 | チューブスクリーマーの初代を復刻 | 中域が太く、まろやか | 元祖の音を手にしたい人 |
| Ibanez TS9 | TS808の後継モデル | TS808より高域がやや明るい | 少し抜けのいいTSサウンドが好みの人 |
| Maxon OD808 | TS808を製造していたマクソンの自社モデル | 808系らしい中域重視の歪み | 808系の音を別ブランドで選びたい人 |
セッティングの目安
TS808のノブには数字の目盛りがないので、ここでは時計の針の位置で目安を示します。アンプやギターによって聴こえ方は変わるため、あくまで出発点として耳で調整してみてください。
歪んだアンプを押し上げるブースターとして
- OVERDRIVE:最小〜9時
- TONE:12時前後
- LEVEL:2時〜3時
歪みはアンプにまかせ、TS808で音量と中域を足す定番の使い方です。ソロのときだけ踏めば、音が一歩前に出てきます。
クリーンなアンプで歪みを作る
- OVERDRIVE:12時〜3時
- TONE:12時前後
- LEVEL:オフのときと同じくらいの音量になる位置
ブルースやロックのクランチにぴったりの設定です。歪みは深くなりすぎないので、ピッキングの強弱で表情をつけやすくなります。
ハイゲインアンプの低域を引き締める
- OVERDRIVE:最小
- TONE:12時〜1時
- LEVEL:2時以上
ハイゲインアンプの前に置くと、余分な低域が整理されて刻みの輪郭がはっきりします。ハードロックやメタルのリフでも出番の多い使い方です。
TS808はこんな人におすすめ
- ブルースやロックで、中域の効いたリードを弾きたい人
- アンプの音を活かしたまま、ソロで一段持ち上げたい人
- ハイゲインアンプの低域をすっきりさせたい人
- 最初の歪みペダルに、シンプルで基準になる1台を選びたい人
操作が3ノブだけなので、初めての歪みペダルにもよく合います。後からほかのオーバードライブを増やしても、TS808の音がひとつの基準になってくれるはずです。
よくある質問(FAQ)
- TS808とTS9はどれくらい音が違いますか?
-
回路の大部分は共通で、違いは主に出力まわりにあります。TS808は中域が太くまろやか、TS9は高域がやや明るめという傾向です。差は大きくはないので、好みの方向で選んで問題ありません。
- ベースにも使えますか?
-
使えますが、TS808は低域が細くなる特性があるため、そのままではベースの土台が薄く感じられることがあります。原音と歪みを混ぜられるブレンド機能付きのペダルや、ベース用のオーバードライブと使い分けると扱いやすくなります。
- 電池でも動きますか?
-
9V電池(006P)で動作します。ACアダプターは別売りなので、ペダルボードに組み込む場合はパワーサプライやアダプターを用意しておくと安心です。
- マルチエフェクターでTS808の音は再現できますか?
-
多くのマルチエフェクターやアンプシミュレーターにTS系のオーバードライブが収録されているので、雰囲気をつかむことはできます。そのうえで実機ならではの反応を求めるなら、TS808を手にする価値は十分にあります。
まとめ|TS808は長く付き合えるオーバードライブの定番
Ibanez TS808は、中域の効いたなめらかな歪みと、アンプを押し上げるブースター的な使い方の両方を、3つのノブだけでこなせるペダルです。オリジナルと同じJRC4558Dを積んだ復刻版で、1979年から続く元祖チューブスクリーマーの音を手にできます。
最初の歪みペダルとしても、すでにある機材に足す1台としても、ボードの中で長く活躍してくれるはずです。
BRAND
Ibanez
このエフェクターのみんなの記録
このエフェクターについてのひとことや、登録しているユーザーを見ることができます。

