「TS系(チューブスクリーマー系)って定番らしいけど、結局どれを選べばいいの?」
TS系は、ミドルが前に出て、低域が締まり、バンドで“抜ける”のが魅力のオーバードライブ。単体で歪ませるだけでなく、アンプや他の歪みを気持ちよく押し出す“ブースター”としても超優秀です。
この記事では、TS系の特徴と選び方を整理したうえで、現行で買いやすいおすすめ10台を用途別に紹介します。
目次
TS系エフェクターとは?(チューブスクリーマー系の定義)
TS系(Tube Screamer系)は、代表的にはIbanez Tube Screamer(TS808/TS9)のキャラクターを基準にしたオーバードライブの総称です。回路やパーツが完全に同じとは限りませんが、音の狙いが近いものを「TS系」と呼ぶことが多いです。
ざっくり言うと、TS系は低域を整理しつつ、中域(ミドル)を前に出して、音の芯を作るのが得意。だからこそ、
- クリーン~クランチを“ちょい気持ちよく”
- アンプの歪みやディストーションの前で“押し出し”
- ソロで埋もれない“抜け”を作る
こういう場面で「定番」と言われています。
TS系が向いている人 / 向かない人
向いている人:バンドで抜ける音が欲しい、低域がモコつくのを整えたい、アンプ歪みを一段“気持ちよく”したい人。
向かない人:太い低域をそのまま残したい、ドンシャリ系の“派手な変化”が欲しい人(その場合は別系統のOD/ブースターも検討が◎)。
TS系の音の特徴
TS系の強み:抜け・締まり・輪郭
TS系の魅力は、単に「ミドルが出る」だけではありません。プレイしていると体感しやすいのは次の3つです。
- 抜ける:コードでも単音でも、芯が前に出て埋もれにくい
- 締まる:低域が整理され、モコつきが減る
- 輪郭が出る:ピッキングのアタックが立ちやすい
特に「バンドで弾くと音が消える」「低音が膨らんでまとまらない」みたいな悩みに、TS系はおすすめです。
よくある不満:こもる/細い/硬い…の対処
TS系でよくあるのが「なんかこもる」「細くなる」「硬い気がする」。これは使い方やセッティングで改善できることが多いです。
- こもる:TONEを少し上げる、アンプ側のプレゼンス/トレブルを微調整
- 細い:LEVELを上げすぎず、DRIVEを少し上げて“密度”を足す
- 硬い:ピッキングに合わせてTONEを下げ、ゲインは控えめに
そして、モデルによって「低域の残り方」や「ミドルの濃さ」が違うので、次の選び方が重要になります。
ギター/PU/アンプ別:相性のざっくり目安
- シングルコイル:TS系で芯が出て、音がまとまりやすい(相性◎)
- ハムバッカー:低域整理が効きやすい。太さ重視なら“低域が残る派生”が◎
- クリーン/クランチ:TS単体でも気持ちよく歪ませやすい
- アンプ歪み/ハイゲイン:前段ブーストで締まりと抜けを作りやすい
失敗しないTS系の選び方
まず目的を決める:ブースト?単体歪み?
- ブースト目的:アンプ/歪みの前に置いて、音の芯と締まりを作りたい
- 単体歪み目的:TSだけでクランチ~リードまで作りたい
ブースト目的なら「音量の余裕(LEVELの効き)」と「低域の整理感」が重要。単体歪み目的なら「ゲイン幅」と「音の密度」が大事になります。
チェック項目
- 出力(音量の余裕):ブースト運用で重要
- 低域の残り方:締まり重視か、太さ重視か
- ミドルの出方:濃い/控えめ/ワイドなど
- ゲイン幅:TSらしい低ゲイン中心か、幅広い派生か
- サイズ/電源/扱いやすさ:ボード運用の現実
迷ったらまず「本家の基準」を知ってから派生に行くのがおすすめです。そこで次の10台です。
TS系エフェクターおすすめ10選
ここでは「TS系の基準が分かる」「用途別に選べる」並びで紹介します。各ペダルはおすすめな人 → 音の方向性 → 得意な使い方 → 相性 → 使い方ヒントの順でまとめます。
まず基準になる「本家」:TS808 / TS9
Ibanez TS808(王道・基準音)
おすすめな人:TS系の“基準”を1台持ちたい人、ブースト/単体どちらも試したい人。
音の方向性:ミドルが自然に前へ。低域は整理され、輪郭が出やすい。いわゆる「TSらしさ」の基準になります。
得意な使い方:アンプのクランチを一段気持ちよく、歪み前のブーストで締まりと抜け。
相性:シングルは特に相性◎。ハムならブースト運用が気持ちいい。
使い方ヒント:ブーストならDRIVEは低め、LEVELで押し出すのが王道。
Ibanez TS9(定番のTS感・入手性◎)
おすすめな人:迷ったらまず1台、定番のTSを“現実的に”選びたい人。
音の方向性:TS系の定番キャラを押さえつつ、バンドで使いやすい存在感。比較の軸としても優秀です。
得意な使い方:ブースト運用、クランチ~リードの“芯”作り。
相性:ジャンル問わず万能。アンプ歪みの前に置くと効果が分かりやすいです。
使い方ヒント:TONEは上げすぎない方が“耳に痛くならず”抜けます(環境で微調整)。
小型・コスパで入りやすい:TSMINI / East River Drive
Ibanez TSMINI(省スペースでTS感)
おすすめな人:ボードが小さい、まずTS系を試したい、持ち運び重視の人。
音の方向性:小型でもTSらしさをしっかり。まず“TSの効果”を体感するのに向きます。
得意な使い方:ブースト運用、クランチ作り。
相性:ライブ用サブボードにも◎。
使い方ヒント:LEVELをしっかり確保して、アンプを押して使うと気持ちよさが出ます。
Electro-Harmonix East River Drive(コスパTS系の強い味方)
おすすめな人:コストを抑えつつ、ちゃんとTS系を使いたい人。
音の方向性:TS系の狙い(芯・締まり)を押さえた“実戦向き”。「まず体験したい」にちょうどいい枠です。
得意な使い方:ブースト、クランチ~軽いリード。
相性:多くのアンプで扱いやすいタイプ。
使い方ヒント:TONEを上げすぎると硬く感じることも。まずは12時前後から。
国産の王道:MAXON OD808
MAXON OD808(国産TS系の定番)
おすすめな人:TS系の定番を、別の“軸”でもう1台持ちたい人。素直なTSキャラが好きな人。
音の方向性:TS系の美味しいところ(芯・まとまり)を押さえつつ、扱いやすい方向。
得意な使い方:ブースト運用、クランチの質感作り。
相性:シングル/ハムどちらにも。歪み前に置くと“締まり”が気持ちいいです。
使い方ヒント:DRIVEを上げすぎず、LEVELで押すと“TS系らしい良さ”が出やすいです。
現代TS派生(レンジ広め・使い分けしやすい)
EarthQuaker Devices Plumes(現代TS派生の代表格)
おすすめな人:TS系が初めてでも、1台で幅広く使いたい人。音作りを詰めたい人。
音の方向性:TSらしさを軸にしつつ、より現代的なレンジ感。運用次第で表情が変わります。
得意な使い方:ブースト、クランチ、リードまで。環境に合わせて“ちょうどいい芯”を作りやすい。
相性:シングル/ハムどちらもOK。万能枠として入れやすいです。
使い方ヒント:まずはブースト寄りの設定から試して、必要に応じてゲインを足すのがおすすめ。
Keeley Red Dirt(TS基調で“太め”に寄せたい人へ)
おすすめな人:TS系の芯は欲しいけど、細く感じるのが苦手。もう少し“太さ/押し出し”が欲しい人。
音の方向性:TS系のまとまりを保ちながら、存在感を出しやすい方向。ギターのキャラを残しつつ前に出ます。
得意な使い方:アンプ歪み前のブースト、単音リードの押し出し。
相性:ハム系で特に気持ちいいケースが多いです。
使い方ヒント:低域が出すぎると感じたら、TONEよりもまずアンプ側の低域を少し整理して合わせると◎。
Wampler Clarksdale(調整幅が広いTS系)
おすすめな人:TS系を自分の環境に合わせて“追い込みたい”人。アンプやギターが複数ある人。
音の方向性:TS系の芯を軸にしつつ、帯域バランスの調整がしやすいタイプ。環境差の吸収力が強いのが魅力です。
得意な使い方:ブースト~単体歪みまで幅広い。ボードの要としても◎。
相性:どんな環境でも“ハマるポイント”を探しやすい系統。
使い方ヒント:まずはTSっぽい位置を作ってから、足りない帯域を微調整すると迷いにくいです。
比較が一気に進む“まとめ役”:JHS The Bonsai
JHS The Bonsai(1台で“TSの違い”を体験)
おすすめな人:TS系が好きで、違いを比べたい人。記事的にも「比較枠」を1台で担いたい人。
音の方向性:複数の“スクリーマー系”キャラを切り替えて使えるので、TS系の理解が一気に進みます。
得意な使い方:ブースト運用から単体歪みまで。モード切替で楽しく追い込めます。
相性:環境を選ばず「今の曲に合うTS」を選べるのが強み。
使い方ヒント:最初は“基準になりそうなモード”を決めて、それを軸に他モードを比べると迷いません。
近縁の定番:BOSS SD-1(TS系と何が違う?)
BOSS SD-1(TSと混同されがちな“近い定番”)
おすすめな人:TS系も気になるけど、まずは定番ODで堅実に行きたい人。TSとの違いも含めて納得して選びたい人。
音の方向性:TSと同じく“前に出る”系ですが、キャラクターは別物。だからこそ「TSが合わなかった人の受け皿」になることもあります。
得意な使い方:ブースト、クランチ作り、歪みの前段での整理。
相性:幅広いジャンルで活躍。入手性も抜群です。
使い方ヒント:「TS系を探しているけど決めきれない」なら、比較として試しておく価値があります。
よくある質問(TS系エフェクターQ&A)
TS808とTS9、初心者はどっち?
迷ったらTS9が現実的に選びやすいです(定番・入手性・比較軸)。「基準音として王道を持ちたい」ならTS808も満足度が高い選択です。
TS系はメタルにも使える?
使えます。特にハイゲインの前段ブーストとして、低域を締めてアタックと抜けを作る用途で定番です(DRIVE低め・LEVEL高めが基本)。
TS系がこもる/細い…どう直す?
TONEを上げる前に、まずはLEVEL/DRIVEのバランスを見直すのがおすすめです。ブースト運用ならDRIVEを下げ、LEVELで押す。単体運用ならDRIVEを少し上げて密度を足す。これだけで印象が変わることが多いです。
SD-1はTS系なの?違いは?
方向性は近いですが、厳密には別キャラです。だからこそ「TSが合わなかった人」にフィットすることもあります。TS系を探しているなら、比較枠としてSD-1を知っておくとよいかもしれません。
まとめ:迷ったら“基準→用途→派生”で選べばOK
TS系エフェクターは、抜け・締まり・輪郭で「音の芯」を作れる定番オーバードライブです。迷ったらまずはTS9/TS808で基準を掴み、
- 小型・導入なら:TSMINI / East River Drive
- 国産王道なら:OD808
- 現代派生で万能なら:Plumes
- 比較して選びたいなら:The Bonsai
- 近縁の定番も知りたいなら:SD-1
この流れで選ぶのがおすすめです。次にTS系と相性が良いEQやブースター、ノイズ対策(ゲート/電源)も合わせて検討すると、ボード全体の完成度が一気に上がります!









