「エフェクターが増えてきたから、そろそろボードにまとめたい。でも順番や配線の仕方がよくわからない……。」
そんなギタリスト・ベーシストに向けて、このページではエフェクターボードの基本的な組み方を、初心者にもわかりやすく解説します。エフェクターの並び順(音の順番)はもちろん、ボードのレイアウト、配線、電源の考え方、よくある失敗まで、この記事ひとつでひと通りイメージできるようになることを目指します。
記事のゴールはシンプルです。読み終わったあとに、あなたが自分のエフェクターを並べて、その日中にボードを組める状態になること。難しい理論は最小限に絞って「これだけ知っていればOK」というポイントにまとめていきます。
それでは、エフェクターボードの組み方を順番に見ていきましょう。
目次
エフェクターボードを組む前に知っておきたい3つのポイント
いきなりボードにペダルを貼り付けてしまうと、「やっぱり順番を変えたい」「電源ケーブルが届かない」といったやり直しが発生しがちです。まずは、エフェクターボードを組む前に知っておきたい基本から押さえておきましょう。
「エフェクターボードを組む」とは? 目的を知っておこう
そもそも、なぜエフェクターボードを組むのでしょうか。目的を整理しておくと、レイアウトの優先順位がはっきりしてきます。
- セッティング時間の短縮:ボードごとシールドでつなぐだけで準備完了。
- トラブルの減少:配線が固定されるので、スタジオやライブでの接触不良が起きにくくなる。
- 音作りの再現性アップ:いつも同じ順番・同じ接続で音が安定する。
- 持ち運びが楽になる:ペダルやケーブルをバラバラに持ち歩かなくて済む。
このあたりを意識しておくと、「見た目」だけでなく使いやすさ重視のエフェクターボードに近づきます。
エフェクターボードを組むために最低限必要なアイテム
エフェクターボードの組み方を考える前に、まずは道具がそろっているかをチェックしましょう。
- エフェクターボード本体(例:ソフトケース付きボード、Pedaltrainのようなフレームタイプ)
- エフェクター本体(コンパクト、マルチなど)
- パッチケーブル(エフェクター同士をつなぐ短いシールド)
- ギター・ベースとアンプをつなぐシールド
- パワーサプライ or ACアダプター(9V電源を複数台に分岐できるものが便利)
- マジックテープ(面ファスナー/ベルクロ)
- 結束バンド・ケーブルタイ(配線をまとめるため)
- 必要に応じて延長コード・タップ
写真の代わりに、ここには「必要なアイテムが並んだイラスト」を挿入するとイメージしやすくなります。

ボードを組む前に決めておきたい2つのこと
道具がそろったら、いきなり貼る前に次の2点をざっくり決めておきましょう。
- どこで使うボードか?
自宅練習中心なのか、スタジオやライブに持ち出すのかで、ボードのサイズや頑丈さの優先度が変わります。 - 何を優先したいか?
音色の幅を優先したいのか、操作のしやすさを優先したいのかを考えておくと、ペダルの数やレイアウトが決めやすくなります。
この2つがなんとなく決まっていれば、ボード選びや配置で大きく迷わずに済みます。
まずは「音の順番」を決めよう|エフェクターの基本的な並び順
エフェクターボードの組み方で一番大事なのが、エフェクターの並び順(信号の順番)です。ここを押さえておくと、音作りの土台が安定します。

これだけ覚えればOKな、王道のエフェクト順
細かい例外はありますが、まずは次の王道パターンから覚えておけば問題ありません。
- チューナー・ワウ・ピッチ系
例:チューナー、ワウペダル、ピッチシフターなど
ギターやベースから出た「生の音」に直接かけたいエフェクトです。 - コンプレッサー
音量のばらつきを整えて、粒をそろえる役割。 - 歪み系(オーバードライブ/ディストーション/ファズ)
音のキャラクターを大きく決める部分。複数台使うときは、メインの歪みを中心に前後にブースターなどを置きます。 - モジュレーション系
コーラス、フランジャー、フェイザーなど。歪んだ音に揺れや厚みを加えるイメージ。 - 空間系(ディレイ/リバーブ)
最後の仕上げとして「残響」「距離感」を加える役割。アンプの前、あるいはセンドリターンに入れることも多いです。
まずはこの並びをベースに組んでみて、そこから自分好みに入れ替えていくのがおすすめです。
ブースターは前?後ろ? 置き場所でこう変わる
「クリーンブースター」や「ゲインブースター」は、置く位置によって役割が変わります。
- ギター側(歪みの前)に置くと…
歪みエフェクターに入る信号が強くなるので、ゲイン(歪み量)が増えやすい。ソロ用に歪みを増やしたいときに有効です。 - 歪みの後ろに置くと…
全体の音量を持ち上げる作用が強くなり、「音量だけ上げたい」ときに使いやすいです。
まずはどちらか一方で試しつつ、「ソロのときにどうしたいか」を基準に位置を決めてみましょう。
ボリュームペダル・EQ・ノイズリダクションの位置の考え方
その他の「位置で迷いやすい」エフェクターについても、基本の考え方を押さえておきます。
- ボリュームペダル
歪みの前に置くと「ギターのボリュームを絞る」のと似た挙動になり、歪み量も変化します。歪みの後ろに置くと音量だけを調整しやすくなります。 - EQ(イコライザー)
歪みの前に置くと歪みのキャラを変えやすく、後ろに置くと全体の音作りに使いやすいです。 - ノイズリダクション
ノイズの原因になりやすい部分(歪みの後ろなど)に挟むのが一般的です。
ここまで決まれば、エフェクターボードの「音の設計図」はほぼ完成です。
実践編|エフェクターボードの組み方 6ステップ
基本的な並び順がイメージできたところで、ここからは実際のエフェクターボードの組み方を、6つのステップで見ていきます。
ステップ1:手持ちのエフェクターを机の上に並べて、順番を仮決めする
いきなりボードの上に乗せず、まずは机の上や床にエフェクターを並べて信号の順番を決めます。
- ギター → チューナー → コンプレッサー → 歪み → モジュレーション → ディレイ/リバーブ → アンプ
- 複数の歪みがある場合は、メインの歪みを中心に前後へブースターやサブ歪みを配置。
- ワウやボリュームペダルがある場合は、踏みやすさも想像しながら位置を仮決めします。
この段階ではまだ「ボードのサイズ」は気にせず、音の順番だけに集中しましょう。
ステップ2:ボードのサイズを決めて、仮レイアウトしてみる
信号の順番が決まったら、ボードのサイズを選びます。すでにボードがある場合は、実際にその上にエフェクターを並べてみましょう。
- よく踏むペダルは手前に、あまり踏まないペダルは奥に並べる。
- 右足で踏むことが多いなら、メインの歪みやチューナーを右寄りに置くなど、自分のクセをイメージする。
- 将来的に増やしたいペダルがある場合は、1〜2台分くらいのスペースを空けておくと安心。
このステップで、「踏みやすさ」と「ケーブルの通しやすさ」の両方をざっくり確認しておくと、後のやり直しが減ります。
ステップ3:パッチケーブルで仮配線してみる
レイアウトが決まったら、パッチケーブルを使ってエフェクター同士をつないでみます。まだマジックテープで固定せず、あくまで「仮」の状態でOKです。
- ケーブルが極端に長すぎたり、反対にギリギリすぎたりしないか確認。
- なるべくケーブル同士がクロスしないように意識して並びを微調整。
- L字プラグ/ストレートプラグの向きも考えながら、ジャックに負荷がかからないようにします。
ここで一度音を出してみて、配線ミスがないか軽くチェックしておくと安心です。
ステップ4:電源(パワーサプライ/アダプター)を接続する
次に、エフェクターへ電源を配ります。パワーサプライを使う場合も、分岐ケーブルでアダプターを共有する場合も、合計の電流量(mA)をざっくり確認しておきましょう。
- 各ペダルに必要なmAの数字を足して、パワーサプライ側の容量をオーバーしていないか確認。
- デジタル系(ディレイ、リバーブ、マルチなど)はアナログ系と別の系統に分けると、ノイズ対策として有効な場合があります。
- 9V以外(12V/18Vなど)が必要なペダルがないかも忘れずにチェック。
電源ケーブルも、なるべく信号ケーブルとは平行に長く並べないようにすると、ノイズが出にくくなります。
ステップ5:音を出しながら最終調整する
ここまで仮組みができたら、実際にギターやベースをつないで音を出してみましょう。
- エフェクターを1台ずつON/OFFしながら、ノイズや音量の急激な変化がないかチェック。
- 「この歪みの前にブースターを入れたらどう変わるか?」など、順番を少し入れ替えて好みの位置を探してみる。
- 踏み間違えそうなペダルがあれば、レイアウトを数センチ単位で微調整。
ここまでで「音」と「踏みやすさ」に納得できたら、いよいよ固定作業に進みます。
ステップ6:マジックテープで固定し、ケーブルをまとめる
最後に、マジックテープでペダルをボードに固定し、ケーブルを結束バンドでまとめていきます。
- マジックテープはペダル側とボード側で種類を揃える(オス・メスを決めておく)。
- ペダルのゴム足をどうするかは好みですが、粘着力を優先したい場合はゴム足を外してから貼る人もいます。
- 結束バンドはきつく締めすぎず、ケーブルを曲げすぎないように注意。
- ペダルを交換したくなったときに、ある程度は剥がしてやり直せるよう、極端にガチガチには固めすぎないのもコツです。
ここまでできれば、ひとまず実戦投入できるエフェクターボードの完成です。
使いやすいエフェクターボードのレイアウト例
ここからは、エフェクター ボードの組み方の具体例として、いくつかのレイアウトパターンを紹介します。

例1:初心者向け・コンパクト4〜5台のシンプルボード
まずは、「これだけあればライブもスタジオも困らない」というシンプルな構成例です。
- チューナー
- オーバードライブ(メインの歪み)
- コーラス(または別のモジュレーション)
- ディレイ
順番は、ギター → チューナー → オーバードライブ → コーラス → ディレイ → アンプ。オーバードライブ1台でも、アンプ側の歪みと組み合わせればかなり幅広い音作りができます。
例2:歪みを軸にしたロック向けボード
バンドでロックやハードロックを中心に演奏する場合は、歪みを複数用意しておくと便利です。
- チューナー
- ブースター
- オーバードライブ(クランチ用)
- ディストーション(ハイゲイン用)
- ディレイ
基本の並びは、ギター → チューナー → ブースター → オーバードライブ → ディストーション → ディレイ → アンプ。ブースターの位置をオーバードライブの後ろに変えて、「音量アップ用」にするのも定番です。
例3:空間系重視のポップス・ワーシップ系ボード
クリーン〜クランチに、コーラスやディレイ、リバーブで「広がり」を出したい場合の構成です。
- チューナー
- コンプレッサー
- オーバードライブ(軽めの歪み)
- コーラス
- ディレイ
- リバーブ
クリーンでもきれいに響くようにコンプレッサーを前段に置き、後段の空間系で一気に世界観を作るイメージです。アンプのセンドリターンが使える場合は、ディレイとリバーブをループに回すパターンもあります。
マルチエフェクター+コンパクトを組み合わせる場合
最近は、マルチエフェクターとコンパクトペダルを組み合わせてボードを組む人も増えています。
- マルチエフェクターを「アンプシミュ+空間系」担当にする。
- コンパクトは「歪み」「ブースター」「ワウ」など、こだわりたい部分を担当させる。
- マルチの前段・後段にコンパクトを挟んで、使いやすい順番を探す。
マルチを中心に据えたボードは、ケーブルの本数も減らせるので、ライブでのトラブルも少なくなります。
よくある失敗とトラブルシューティング
エフェクターボードの組み方でよくある失敗やトラブルを、事前に知っておくと安心です。ここでは代表的な例と、その対処法をまとめます。
ノイズがひどいときにチェックしたいポイント
ボードを組んだあと、「シールドをつないだだけなのにやたらとノイズが増えた」というケースは珍しくありません。そんなときは、次のポイントから確認してみましょう。
- 電源容量は足りているか?
パワーサプライの容量オーバーや、1つのアダプターに分岐でつなぎすぎているとノイズの原因になります。 - 電源ケーブルと信号ケーブルが長く並行していないか?
なるべく交差させるか、距離をとるようにレイアウトを工夫してみましょう。 - デジタル系エフェクターの影響
ディレイやリバーブなどのデジタル系がノイズ源になることもあります。別系統の電源に分けると改善する場合があります。 - そもそものシールドやパッチケーブルが劣化していないか?
音量が急に下がる・音が出ないときの確認手順
音量が不自然に下がったり、突然音が出なくなったりする場合は、落ち着いて次の順番でチェックしてみましょう。
- ギター → 1台目のエフェクター → アンプ、と1台ずつ間を減らして原因を切り分ける。
- パッチケーブルを1本ずつ別のものに差し替えてみる。
- エフェクターのIN/OUTが逆になっていないか確認。
- エフェクターがバイパス状態(OFF)になっていないか、レベルノブが絞られていないかなど、基本的な設定も再確認。
トラブル時は、「ボード全体を疑う」のではなく、1台ずつ・1本ずつ切り分けていくのが解決への近道です。
ライブ本番で慌てないためのチェックリスト
スタジオやライブにボードを持ち出す前に、次のチェックリストを一度見直しておきましょう。
- 全てのエフェクターが電源ONになるか。
- 各ペダルの音量・トーン設定が極端になっていないか。
- メインの歪みとクリーンサウンドの音量バランスが取れているか。
- 予備のパッチケーブルと電池(必要な場合)を用意しているか。
- セッティングにかかる時間を一度ストップウォッチで測り、間に合うか確認したか。
ほんの数分の確認で、本番中のトラブルをかなり減らすことができます。
エフェクターボード作りがもっと楽しくなるアイテム・便利グッズ
エフェクターボードの組み方に慣れてくると、「もう少し見た目をきれいにしたい」「ケーブル周りをスッキリさせたい」といった欲も出てきます。そんなときに役立つアイテムを、ジャンルごとに紹介します。
- ボード本体
ソフトケース一体型のボードは、軽くて持ち運びに便利。フレームタイプのボードは、裏側に電源やケーブルを逃せるので配線がスッキリしやすいです。 - パッチケーブル
プラグがコンパクトなものや、自作用のパッチケーブルキットを使うと、省スペースなレイアウトがしやすくなります。 - パワーサプライ
アイソレート(独立)出力のタイプはノイズに強く、デジタル系エフェクターを多用するボードでも安心です。 - マジックテープ・結束バンド
粘着力の強いものを選ぶと、ライブ中でもペダルがズレにくくなります。結束バンドは、あとから外せるタイプ(面ファスナー式)も便利です。
こうした小物を少しずつアップデートしていくことで、エフェクターボード作りそのものが「趣味」の一部になっていきます。
まとめ|完璧を目指しすぎず、まずは一度ボードを組んでみよう
今回は、「エフェクター ボード 組み方」というキーワードに沿って、初心者向けにエフェクターボードの基本を解説しました。
- まずは王道のエフェクト順(チューナー → コンプ → 歪み → モジュレーション → ディレイ/リバーブ)を押さえる。
- 机の上で音の順番とレイアウトを仮決めしてから、ボードに移す。
- パッチケーブルと電源を仮配線し、音を出しながら微調整する。
- 最後にマジックテープで固定し、ケーブルをまとめて完成。
最初から「完璧なボード」を目指す必要はありません。まずはこの記事の内容をもとに、手持ちのエフェクターで一度ボードを組んでみて、使いながら少しずつ育てていく感覚でOKです。
あなたのエフェクターボード作りが、これまで以上に楽しく、そしてストレスの少ないものになりますように。もしボードが完成したら、ぜひ教えてください。