エフェクターを自作してみたいけど何から始めればいいんだろう?道具やパーツは何が必要?費用は一体どれくらいかかるんだろう…。
そこで!これからエフェクター作りに挑戦してみたい初心者の皆さまにむけて自作エフェクター入門講座を開講いたします。
講師は”痛エフェクター”のパイオニア的ブランド「Sound Project “SIVA”」を主宰するビルダー小澤博氏。エフェクター作りの基本や基礎知識が学べるのはもちろん、実際に小澤氏が使用しているおすすめの工具やパーツもご紹介していただきます!趣味としてはもちろん、もっとスキルアップしたい方、さらには将来自分のエフェクターブランドを立ち上げてみたい本格派の方も必見のコンテンツです。
小澤博氏プロフィール ”痛エフェクター”のパイオニア的ブランド「Sound Project “SIVA”」を主宰するエフェクタービルダー。完全オリジナルのイラストを纏ったケースはもちろん、優れた機能とハイクオリティサウンドで世界中のアーティストから注目を集めている。最近ではエフェクターのみならずアンプキャビネットの開発を行うなど活躍の幅を広げている。 ≫ Sound Project “SIVA”のエフェクター一覧はこちら |
こちらでは、エフェクターの自作をこれから始めてみたいという初心者向けの内容から初めて、オリジナルのエフェクターを作るところまでを連続講座としてご紹介してまいります。
≫ 道具編
≫ 部品編(前編)
≫ 部品編(後編)
≫ 筐体加工編
≫ 塗装編
≫ 基板製作編
≫ 組み立て編
≫ 回路図記号と回路図のルール
≫ 2 Transistors Fuzzの基板レイアウトを書こう
様々な道具を使ってエフェクターを作ります。これからエフェクターを自作する方を対象に書きますので、そういう視点で読んでください。
ハンダごて、こてスタンド
エフェクターを作るときに、一番手にする時間が長いであろう道具がハンダごてです。ハンダを溶かして部品などを基板や端子につけるための道具です。
様々なW数のものがあります。W(ワット)数が大きいほど高温になります。あまり大きなW数のものは熱で部品にダメージを与える可能性が高くなりますので、エフェクター製作では20~30W程度のものが使いやすいでしょう。先端が非常に高温になりますので、くれぐれも火傷に注意してください。
そのハンダごてを置くためのスタンドが必要です。高温になったハンダごてをそのまま机などに置いておくと火事の原因にもなりますので、ハンダごては必ずスタンドに置きましょう。こてスタンドには耐熱スポンジや金属たわしのようなものが付属していることが良くあります。ハンダ作業中に汚れたこて先を、水を染み込ませた耐熱スポンジや金属たわしなどで綺麗にします。
私の使っているハンダごてはGootさんの30Wのものです。
▼おすすめはこちら!
ハンダごてにはこて先の温度を調整できる高性能なものなどもありますが、とりあえず初めての方はそんなに高価なものである必要はありません。使っていて不満が出てきたら買い換えればOKです。
ハンダ
ハンダごてで溶かして、部品などを基板や端子に固定するためのものです。
色々な種類がありますが、とりあえずヤニ入りのものを選んだ方が使いやすいです。鉛を含まない鉛フリーのものもありますが、鉛フリーのハンダは溶けても流れが悪く、作業性がよくありません。まずは『ヤニ入り』『鉛入り』のものを選んでください。
私は楽器関係では定番と言われているKESTER44を使っています。溶ける温度、流れやすさなどの作業性の良さと、グラム単価で考えたときのコスパの良さで、これを選んでいます。
▼おすすめはこちら!
ハンダによる音の違いを気にされる方もいますが、それを気にするのは後回しで大丈夫です。ハンダによって確かに音は変わりますが、その違いは必ずしも『音が良くなる』のではなく『ちょっと変わるだけ』です。ハンダの銘柄を変えるより、回路内の抵抗値を一箇所変える方がよっぽど音が変わります。
まずはしっかりとハンダ付けできるようになり、結線が外れたりするトラブルの無いように、しっかりとした作業ができるようになることが大切です。
ペンチ、ラジオペンチ
ワイヤーや部品の足を曲げたり、細かいものをつかんだり、様々な用途に使います。ちょっと大きめのもの、細い作業をするためのもの、できれば二つ用意するといいでしょう。
▼おすすめはこちら!
これもそれほど高価なものは必要ありません。自分の手にあったものがあれば、それを使ってください。
ニッパー
ワイヤーや部品の足を切るのに使います。エフェクター作りではそんなに太いものを切ったりすることはないので、適当に手に馴染むくらいの大きさのものがいいです。
バネ付きのものを選ぶと、勝手にバネの力で刃が開いてくれて連続での切断作業がめちゃくちゃ楽になります。
▼おすすめはこちら!
ワイヤーストリッパー
配線材の皮膜を剥くための道具です。器用な方はカッターで皮膜を剥くこともできますが、結構な数の皮膜を剥くことになるので、是非用意しておいた方が良いものです。
大型のもので一度に複数本の皮膜を剥くことができるものもありますが、とりあえずこれくらいのものがあれば十分です。大型のものも使ってみたことがありますが、私には合わずにコレに戻ってきました。
▼おすすめはこちら!
ヘルピングハンズ
基板のハンダ付け作業中に基板を固定したり、部品とリード線を結線するときに固定したり、様々な場面で活躍します。コレがあると無いでは基板作りの作業のしやすさに雲泥の差が出ますので、用意するといいでしょう。
▼おすすめはこちら!
テスター
電圧や電流などを測定する計器。まずはそれほど高価で高性能なものは必要ありません。高性能なものはコンデンサの静電容量なども測れるものもありますが、抵抗値の計測、通電の確認、電圧が図れる安価なものでとりあえずOKです。
抵抗値の計測、通電の確認は頻繁に使うことになるので、必須機能です。抵抗値の計測にオートレンジ機能などがあると便利です。
▼おすすめはこちら!
ノギス、定規
長さを測る道具です。これ以上どう説明しろと?
ケース内の部品の配置などを考えるために部品の大きさ測る、などに使います。それほど高価なものは必要ありませんが、精度がガバガバなのは困るのでコレくらいのものが丁度いいでしょう。
▼おすすめはこちら!
センターポンチ
ケース加工の時に穴あけ位置をマーキングするために使います。
エフェクターのケースにはアルミダイキャストのケースを使いますが、何もマーキングせずにドリルの刃を当てると滑って正確な位置に穴を開けることができません。センターポンチを使って穴位置に『ちょっとしたくぼみ』を作るとこで、刃が逃げずに正確に穴開けができるようになります。
ハンマーを使って打つポンチと、グッと押し込むことでバネの力を使って打つオートポンチがあります。精度を求めるならハンマーで叩くセンターポンチ、数をこなすならオートポンチが良いと思います。まずはハンマーで叩く方を買って、数を作るようになってからオートポンチを買ってもいいと思います。
▼おすすめはこちら!
ドリル、ドリルビット
アルミケースに穴あけをするための工具です。安いハンドドリルもありますが、一箇所開けるだけでもめちゃくちゃ苦労するので電動ドリルをお勧めします。いきなりボール盤を買う必要はありません。充電式のドライバードリルだと日曜大工にも使えて便利です。
電動工具を使った作業は、必ず安全に配慮して作業をしてください。最悪の場合、大怪我になることがあります。長い髪の毛は必ず結んで前に垂れてこないようにしましょう。軍手などの手袋は使いません。袖が適切な長さのものを着用してください。十分に明るくて視界の確保された環境で作業をしてください。
ドリルビットは、鉄工用のものを選んでください。木工用は刃が負けます。理想はそれなりの品質のものを吟味して揃えた方がいいのですが、とりあえずいくつかのサイズのものがセットになっているものを買って、必要に応じて買い揃えていくといいと思います。
下穴で1.5mmくらい、そこから2mm、3mm、4mmと1mm刻みであると良いです。
▼おすすめはこちら!
防護メガネ
ケース加工時にドリルで作業をする時に、飛んでくるアルミ片から目を保護するためのものです。細かいアルミ片が飛んできますので、必ず着用してください。
▼おすすめはこちら!
テーパーリーマー
ケースに開けた穴を拡張するための道具です。目的の大きさのドリルがない場合に、これを突っ込んでグリグリと拡張して行きます。また、何かの原因でいびつな穴が開いてしまった時に、穴を整形するのにも使います。
回すときに使う棒が付属していることもありますが、ドライバーなどを突っ込んで使った方がやりやすいです。
▼おすすめはこちら!
レンチ
部品をケースに固定するときに使います。10mm、11mm、12mm、14mmあたりがあると大丈夫です。とりあえずセットになっているものを買っておくと色々と重宝します。
▼おすすめはこちら!
ドライバー
ケースの蓋を閉めたりするのに使います。高価なものは必要ありませんが、1セットあると重宝します。
▼おすすめはこちら!
グルーガン、ホットボンド
LEDや基板をケースに固定したり、絶縁のために塗ったり、色々な用途で使います。グルーガンでホットスティックを熱で溶かして、押し出すように塗って行きます。
▼おすすめはこちら!
マスキングテープ、絶縁テープ
マスキングテープは基板に部品をはんだ付けする時に仮止めで使ったり、絶縁テープはケース内の絶縁のために貼ったり、あると重宝します。
▼おすすめはこちら!
六角レンチ・精密ドライバー
ねじ止め式のノブをPOTに固定する時に使います。スプリットシャフトのPOTには、はめ込み式のノブを使いますので、その場合は必要ありません。
▼おすすめはこちら!
「エフェクター自作講座」道具編は以上となります。一個一個はそれほど高価なものは必要ありませんが、種類がたくさんあるので一から揃えるとトータルでは結構な出費になります。必要に応じて徐々に揃えていくといいと思います。
こちらでは、エフェクターの自作をこれから始めてみたいという初心者向けの内容から初めて、オリジナルのエフェクターを作るところまでを連続講座としてご紹介してまいります。
≫ 道具編
≫ 部品編(前編)
≫ 部品編(後編)
≫ 筐体加工編
≫ 塗装編
≫ 基板製作編
≫ 組み立て編
≫ 回路図記号と回路図のルール
≫ 2 Transistors Fuzzの基板レイアウトを書こう