Strymon BigSkyは、いまや“リバーブの定番”として名前が挙がる存在。12種アルゴリズム、豊富なパラメータ、MIDI対応。宅録からライブまで幅広く使える一方、初見では取っつきにくい面もある。本稿では長所・短所を整理し、競合との違い、ボード組み時の要点を解説する。
目次
高音質×運用のしやすさが特徴
Strymon BigSkyは、ハイファイなリバーブを安定して出せる万能機だ。音抜けが良く、残響が混濁しにくい。シングル空間系としても、ディレイやモジュレーションと組み合わせても破綻しない設計である。
こんなプレイヤーにおすすめ。
- 宅録でクオリティを求めたい人
- アンビエントやポストロックなど、深い空間を作るスタイル
- MIDIでプリセットを管理したいプレイヤー
逆に、向かないケースは「小型ボードを組みたい」「ワンノブで済ませたい」タイプ。価格も安くはないため、“使いこなす前提”の機材といえる。
仕様とアルゴリズムの全体像
BigSkyは12種類のアルゴリズムを搭載しており、ホール・プレート・スプリングの定番から、シマー(倍音を重ねる幻想的な残響)やクラウド(アンビエント向き)まで幅広い。どのモードも自然な音のつながりが特徴で、過剰なEQ補正をしなくても成立する。
主要ノブは以下の通り。
- MIX:リバーブ量。原音とのブレンド比率
- DECAY:残響の長さ
- TONE:高域の明るさ
プリセットは最大300個(MIDI連携時)。ステレオ入出力、キャビシミュ後段配置にも対応する。電源は9Vセンターマイナス、消費電流は約300mA前後。筐体サイズは大きめだが、音質優先設計で妥協はない。
strymon bigskyの長所と短所
長所
- ノイズが少なく、原音の存在感を損なわない
- 残響の粒立ちが細かく、音が濁らない
- プリセット運用が強力で、MIDI連携で現場対応も容易
- 高域の伸びが自然で、ハイファイ志向の録音にも向く
短所
- 筐体サイズが大きく、ボード内でスペースを取る
- アルゴリズムやパラメータが多く、最初は理解に時間がかかる
- 深い編集時に階層がやや複雑
実践的な使い方
薄く常時かけて空間を保つ“常時ON”、曲中の転換で使う“スポット”、Pad的に広げる“アンビエント用途”など、運用次第でキャラクターが変わる。音の主張を抑えればライブでも埋もれない。
競合比較――どれを選ぶべきか
| 機種 | 強み | 弱み | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| Strymon BigSky | 高音質・MIDI・多機能 | サイズ・学習コスト | 宅録〜ライブの主力リバーブ |
| Source Audio Ventris | デュアル同時・多彩 | 操作慣れ必要 | レイヤー派 |
| BOSS RV-500 | 多機能・堅牢 | 音色の好み分かれる | 多機能志向 |
| TC Hall of Fame 2 | 手軽・小型 | 深さ控えめ | 初めての1台 |
よくある質問(FAQ)
Q1:BlueSkyとの違いは?
→ BlueSkyは即戦力の単機能モデル。BigSkyはプリセット管理と特殊モードが充実しており、より「作品制作」向き。
Q2:ライブと宅録で設定を変えるべき?
→ 変えたほうが良い。ライブではMIX少なめ、宅録では広がり重視が基本。
Q3:MIDIは必須?
→ 必須ではない。ただし、曲ごとに呼び出すなら非常に便利。
Q4:パッチ切替時に音が途切れる?
→ 設定でリバーブ残響を残すモードを選べば、自然につながる。
Q5:電源やノイズ対策は?
→ 消費電流が高めなので、電源タップは500mA以上を確保。アナログ歪みと電源ラインを分けると安定する。
購入判断フローチャート
- サイズ・入出力に問題なし? → YESなら次へ。
- シンプル操作より多機能を求める? → YESならBigSkyが候補。
- 音の方向性はホール/アンビエント重視? → YESならほぼ確定。
まとめ――“定番”を選ぶ理由
BigSkyを選ぶ理由は、**「迷わず高品質なリバーブが欲しい」**という一点に尽きる。音作りの方向性が明確で、どのジャンルでも破綻しない。
ただし、小型化・簡易操作・コスト優先を求めるなら他機種のほうが合う。
定番には理由がある。もし「一台で完結する空間系」を探しているなら、BigSkyは安定した答えのひとつだ。

