「70年代の太い歪みが欲しい」「コードも単音も気持ちよく伸ばしたい」——そんな人に刺さるのがマクソン D&S(Distortion & Sustainer)。ファズの荒々しさとディストーションの扱いやすさを併せ持ち、ロックからシューゲイザーまで幅広く対応します。この記事では特徴、音作り、ブースターや空間系との組み合わせ、よくある疑問までを一気に解説。購入検討中の方は、まずは仕様と“自分の音”に合うかをサクッと確認してください。
特徴と要点
- ファズ寄りの質感:中〜高ゲインで倍音が豊かに立ち上がり、単音リードで粘るサスティン。
- ローミッドが心地よい存在感:バンドアンサンブルで埋もれにくい“芯”。
- 3ノブの直感操作:ゲイン/トーン/レベルの基本構成で初心者でも迷いにくい。
- 幅広いスタッキング:前段ブースターで密度アップ、後段ブースターで音量リフト。
- 個体差を楽しむペダル:年代や状態でキャラクターが微妙に異なるのも魅力。
「シンプル操作で“太いのに抜ける”」がD&Sの醍醐味。手持ちのオーバードライブやブースター、空間系(ディレイ/リバーブ)と組み合わせて、自分だけのドライブ面を作りやすいのが人気の理由です。
どんなジャンル・現場で効く?(使用シーン)
- ロック/ハードロック:パワーコードに厚み、リードで歌うような伸び。
- オルタナ/シューゲイザー:ゲイン高め+空間系で「壁」を構築。倍音の毛羽立ちが気持ちいい。
- ガレージ/パンク:トーンやゲイン絞りで粗さを残しつつ、前に出る押し出し感。
- ベース:原音ブレンドやコンプと併用で低域をタイトに。アンサンブルの下支え+抜けを両立。
- 宅録:マルチでは出しづらい“アナログの質感”をワンテイクで付与。
音作りのコツ(ステップ解説)
- 初期値:ゲイン=11〜12時/トーン=12時/レベル=ユニティ。アンプはクリーン寄り。
- 役割を決める:リズム厚みならゲイン控えめ、リード主役ならゲイン+レベルを上げて存在感。
- トーンは“耳が痛くないギリ”:対バン箱では12〜2時、リハではやや控えめから上げていく。
- ブースターとの順番:前段=密度アップ/後段=音量持ち上げ。必要に応じて入れ替えテスト。
- 空間系は後段:ディレイ/リバーブを後に置くと輪郭が保たれやすい。
ジャンル | ゲイン | トーン | メモ |
---|---|---|---|
ロック | 11〜1時 | 12〜1時 | 中域の芯を残す。ブースター軽く前段。 |
ハードロック | 1〜3時 | 12〜2時 | ローミッドを活かしてリードが前に。 |
シューゲイザー | 2〜MAX | 11〜1時 | ディレイ/リバーブを後段で深めに。 |
ガレージ/パンク | 10〜12時 | 1〜2時 | 抜け優先。コンプ軽めでアタック維持。 |
ベース | 9〜11時 | 10〜12時 | 原音ブレンドやコンプ併用で輪郭キープ。 |
D&S系のモデル違い・比較
年代や仕様によりキャラクターが少しずつ異なるのが面白いポイント。代表的な違いをざっくり把握しておくと選びやすくなります。
モデル | キャラクター | 扱いやすさ | 向いている人 |
---|---|---|---|
D&S(初期系) | ファズ寄りの毛羽立ちと粘るサスティン。ローミッド豊か。 | ★★☆(ノイズはやや出やすい) | 太く荒い質感を求めるギタリスト/ベーシスト |
D&S II | ややタイトで分離感アップ。コードの輪郭が出しやすい。 | ★★★ | リズム重視・コードワーク多め |
D&S+ | 中域の押し出しが強めで抜け重視の味付け。 | ★★★ | バンドで前に出したいリードプレイヤー |
他方式とのざっくり比較
- ビッグマフ系:より分厚く広がる傾向。D&Sはローミッドの芯が立ち、やや“前に出る”。
- オーバードライブ(OD808/SD-1系):中域の滑らかなドライブ。D&Sは倍音の毛羽立ちが強くキャラが明確。
- マルチ内蔵ディストーション:再現度は高いが、単体D&Sは“弾いたニュアンス”の粗さと粘りが魅力。
おすすめの組み合わせ
- 前段ブースター(クリーン/ミッド系):密度とピッキング追従性がアップ。
- コンプレッサー:リズムの粒立ちを整え、サスティンをさらに伸ばす。
- 空間系(ディレイ/リバーブ):余韻で“広がり”を演出。深めにかけても芯が残りやすい。
- ノイズ対策:ゲートは軽めに。電源・ケーブルの見直しでまずはS/N確保。
よくある悩み&失敗しない選び方
- 「低域が膨らんで抜けない」:トーンを上げすぎず、レベルを少し上げてアンプ側でEQ。必要ならブースター後段で音量リフト。
- 「ハウリングが出る」:ゲインを1段下げ、立ち位置をアンプ軸から外す。ピックアップの高さも見直し。
- 「個体差が不安」:試奏時はコード→単音→アルペジオの順でチェック。特にローミッドの出方とノイズ感を確認。
- 「ベースで使いたい」:原音ブレンド可能なミキサーや2系統出しで輪郭を確保。
こんな人に向いています
- ファズの荒さとディストーションの扱いやすさを一台で欲しい。
- リードで歌うようなサスティンが好き。
- ロック〜オルタナで“壁”も“抜け”も両立したい。
- マルチでは出しづらいアナログならではの質感を求める。
FAQ
Q. D&Sは初心者でも扱えますか?
A. はい。3ノブで直感的に調整でき、まずはゲイン11〜12時/トーン12時/レベルはユニティから始めれば失敗しにくいです。
Q. ブースターは前と後、どちらがいい?
A. 前段=歪みの密度アップ、後段=音量リフトが基本。ソロで前に出したいなら後段が手早いです。
Q. ベースでも使えますか?
A. 使えます。低域が膨らみすぎる場合は、原音ブレンドやコンプを併用して輪郭を保ちましょう。
Q. マルチの歪みと比べて何が違う?
A. マルチは再現度が高い一方、D&S実機はピッキングの粗さや粘りが心地よく、単音の“歌い”が出しやすいです。
Q. 近いキャラクターの現行ペダルは?
A. “ローミッドに芯があり、倍音が気持ちよく伸びる”ディストーション/ファズ系が候補。好みで試奏し、リードが歌うかを基準に選ぶと失敗しません。
Q. ノイズが気になります
A. 電源の質・シールド・ボード配線の見直しで改善することが多いです。ゲートはかけすぎないのがコツ。
まとめ:太いのに抜ける“粘り”を一台で
D&Sは、太いローミッドと倍音の気持ちよさで、リズムでもリードでも“主役”になれる一台。ブースターや空間系と合わせれば表現力はさらに拡張します。気になっているなら、まずは初期値セッティングで試し、手持ち機材と重ねて“自分の音”へ仕上げていきましょう。
