オイル・カン・ディレイが描く、揺らめくエコーの世界
「Strymon OLIVERA(オリヴェラ)」は、1950年代末に登場した「オイル・カン・エコー」と呼ばれる音響装置を、現代のエフェクタとして完全に再構築した一台である。
回転する金属ディスクと潤滑油という異端のメカニズムが生み出した“ムラある反復”“ゆらぎ”を、専用アルゴリズムで忠実に再現。暗く曖昧で、しかし決して無意味ではない“音の粒”が空間を漂う。典型的なテープ・ディレイやデジタル・ディレイとは明らかに異なる質感――それはゆらめき、揺らぎ、そして崩れながら繰り返される。
Short/Long/Bothという3種の“仮想再生ヘッド”を切り替えることで、スラップバックにも、深いアンビエントにも、激しい自己発振にも応答する。その上、モダン仕様としてステレオ入出力、USB接続、MIDI/エクスプレッション・ペダル対応、300プリセットまで保存可能という拡張性も兼ね備える。ライブ/レコーディングともに「ノーマルなトーンでは満足できない」「音に揺らぎと揺動を与えたい」ギタリスト/サウンドデザイナーにとって、OLIVERAは強烈な武器となる。力強く、揺らぎ深く、個性的なエコー空間を演出したい者にこそ相応しい装置である。
