
これまで数々のエフェクターが誕生し、時代をリードするアーティストをはじめ、エフェクター好きのプレイヤーたちに愛用されてきました。
コンパクトエフェクターの歴史を遡ると、創成期はBOSSやエレクトロハーモニクスなど、誰もが知る有名ブランドが中心であり、その数も限られていました。
その後、多様化する音楽と比例するようにエフェクターブランドも増えていき、ブティック系ペダルメーカーと呼ばれる、小さな工房で少量生産されるハイクオリティなエフェクターが人気を集めるようになっていきます。
大手の汎用的な生産では難しかったニッチでマニアックなサウンドを追い求めたブティック系ペダルは、世界中のトップミュージシャンにも認められ、一躍ブームに火がついていく事となります。
まさにエフェクターブランド飽和状態となったかともいえる状況の中、さらにブティック系ペダルは工房レベルのみならず、個人ビルダーによるブランドも増え、その人気が年々高まっています。
では、いったい何故ここまでブティック系や個人生産によるハンドメイドエフェクターの人気が高まっているのでしょうか?
目次
たくさんの中から選ぶのではなく、自分だけの一台を選ぶ時代へ
3Dプリンターや印刷技術の革新、そしてインターネットによる情報共有や海外仕入れの低コスト化などにより、これまでよりも低ロット低コストでモノづくりができるようになってきた現代、個人でもハイクオリティなエフェクターを生産することが可能になってきました。
制作者の想いが込められた、それらの作品は個性に溢れ、これまでになかった魅力を放ちます。
サウンドはもちろん、それだけではない目に見えない価値。それは、あたかも自分自身のためだけに作られたような温もり。
たくさんの中から選ぶ一台ではなく、自分だけのために作られた一台。だからこそ、プレイヤーの心に深く突き刺さります。
さらに近年ではTwitterやInstagramなどのSNSの普及、そしてフリマアプリやネットショップが個人でも展開できるようになりました。
その結果、個人ビルダーとユーザーが直接繋がりあい、その距離が一気に近づくことになると、個性的な魅力を持つハンドメイドエフェクターの持っていたポテンシャルが一気に開花していったのです。
そんな中、日本のハンドメイドエフェクターを世界に発信しようと新たな活動を開始した団体があります。
ただひたすらに「より素晴らしいペダル」を「プレイヤーへの愛情」とともに
互いにリスペクトし合い、人の繋がりの連鎖が生み出した出会い
JPBAは北九州で活動する”痛”エフェクターのパイオニア「Sound Project ”SIVA”」のビルダー小澤博氏がサウンドメッセ出展を考え、旧知の仲で、同じく九州で活動する「Sea Side Sound」岩田氏に声をかけ活動をスタート。
事務局には2017年、2018年とサウンドメッセに出展し、2019年には「Reverb.com」の出展をサポートしていた京都の「ギタープロショップ・グウィン」の古谷氏が、以前から面識のあった小澤氏にその経験を買われた形でコミット。
そして、2019年11月に東京で開催されたTokyo Pedal Summitに小澤氏と共同出展した「Sound frog」の村山氏の参加が決まる。その時、お互いの活動を評価していた「factory of the apes」の猿渡氏と面会しJPBAへと誘う形となる。
その後、「D.N.Effects」の長山氏が合流し、これで5ブランドが集まったが、まだブースに余裕があったため、「ASP Gear」に白羽の矢が立つ。こちらも古谷氏との繋がりの深い「Red Housu Guitars」の石橋氏のプッシュもあり参加が決定。これで最初の6ブランドが揃う事となる。
参加ブランド紹介
Sound Project “SIVA”
Sound Project “SIVA” (サウンドプロジェクトシヴァ)は、北九州市の田舎でメガネショートカット巨乳党員の小澤 博が一人でこっそりとやっている、痛エフェクターブランド。いいエフェクターとは、痛エフェクターである必要があるのです。機能が優れているのは当然として、足元にあるだけでテンションが上がるものでなくては、いいエフェクターと言えません。足元で可愛い女の子が微笑んでいるのを想像してみてください。テンション上がるやろ?そーゆーことっちゃ。
SEASIDESOUND
SEASIDESOUND(シーサイドサウンド)は九州の佐賀県でエフェクターを制作しているハンドメイドブランド。ギターエフェクターをメインに、ベースやエレアコ、エレキ三味線などギター以外のエフェクターも作成しています。 Live現場で使用でき、尚且つ操作が簡単な機材をコンセプトに制作。エフェクターのラベルをカスタムしたり、データを準備すれば、世界で一つのカスタムエフェクターを作る事も可能。
Sound Frog
Sound Frog(サウンドフロッグ)は千葉県松戸市にてエフェクターを製作しているハンドメイドブランド。広い操作幅によって好みに寄せていけると同時に、新たな引き出しを発掘出来るようなエフェクターを意識して製作している。エフェクターのオーダーは勿論、アクリル加工や基板の代理製作など、エフェクター関係の仕事も幅広く行っている。
D.N.Effects
大阪にてハンドメイドのエフェクターを製作しているD.N.effects(ディーエヌエフェクツ)。オーバードライブやファズペダルの他にもBOSSのモデファイシリーズなども販売しており、いずれも独自のレリック加工と特殊マーブル塗装が特徴的です。演者個性をより引き出し、演者が求めている音をアンプとギター以外で創造するのがエフェクターの役目という理念のもと、ステージで戦うプレイヤーをアシストできるようなペダル作りを目指しています。
factory of the apes
factory of the apes(ファクトリージエイプ)は宮城県石巻市を拠点とする個人エフェクター工房。ユニークでシンプル、かつアーティストに刺激を与えるペダルを探求し、一人ハンドメイドを続ける。
A.S.P.Gear
神戸発のハンドメイドエフェクターブランドA.S.P.Gear(Addicted to Sound Pressure Gear)。 エフェクター好きの間で話題を呼んでいるURBAN COMP(コンプレッサー)、CROSSAMP(ベースプリアンプ)のほかにも、ジャンクションボックス、シールドなどギターやベースなどの核になるサウンドをプロデュースしています。
JPBAの目指す未来
サウンドメッセ後は次なる展開に移るというJPBA。楽器店での「サウンドメッセ延長戦」的な販売イベントや、海外アーティストによるデモビデオの作成公開、さらには海外の販売店開拓。また、同時に参加ブランドをさらに増やし、最終目標としてJPBAでのNAMM出展を目指すなど、そのアクションはますます加速していきそうです。
今後も注目を集めるであろうJPBAの活動から目が離せません。
(文:ECB山中、写真提供:JPBA/D.N.Effects)
「EFFECTOR COLLECTION BOX」では、エフェクター好きの皆さまにご満足いただけるようなサイト作りを目指しています。「こんなページにしてほしい」「こんな情報がほしい」などのご要望や、お気付きの点がございましたら、どのようなことでも結構ですのでご遠慮なくお申し付けください。
→お問い合わせフォームはこちら